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 会員のカルチャー

謎 の ゆ か た 会−−だんな衆の芸能発表会

主催  邦楽名吟会
日時  200.7.22 13時から
場所  名古屋 料亭「河文」
文責  窓門会会員・モテ


 きっかけは、飲み屋のカウンターでの会話からである。
 164回目の〔圓窓五百噺を聴く会〕を終えた師匠と追っ駆け(圓窓師匠の)数名
は、世話人さんである小島社長(窓門会会員)のご案内でこぎれいなお店〔千秋〕で、
生ビールに枝豆(この枝豆がうまい!)、新鮮な刺身に焼き魚と次々に料理を作って
くれるママのきれいな笑顔を鑑賞しつつ、社長の次から次へと繰り出す洒落に反応し
ていた。
 追っ駆けは洒落(駄洒落も少々)が分かると喜ぶが、こういう場面での師匠は、穏
やかだが冷静で、洒落も「フーン、フン」と聞き流す態である。
 小島社長は落語のことにとどまらず、家業のこと、大学での教え子のこと、また古
典芸能にも詳しく、話のスピードについていけない追っ駆けである。
 あたしは、社長の話の断片をとらえて質問をした。


モテ「新橋演芸場で一ヶ月も!! 何をなさっていたのですか?」
社長「カトウブシを唄っていた。新之助の助六のときに御簾(みす)の内で・・・」
   カトウブシ? 加藤武士? 聞いたことがないワ・・・
モテ「どんな字を書きますか?」
師匠「河の東と書いて河東節。浄瑠璃だよ」
社長「今度、新内を唄うから聞きにおいで」
   とプログラムを渡して下さる。
社長「日高川を唄う。船頭と清姫の話を二役でやる」
   これは行かずばなるまいなあ。
   河東節というものをはじめて知った私。新内を唄われると聞いたが、河東節と
  どのように違うのか? 新内とか浄瑠璃とかの区別も判然としない。今まで縁の
  ない世界である。


 土曜日の午後、会場である〔河文〕へ。
 ここは名古屋でも有名な老舗割烹で、黒塀に囲まれたいかにも格式ありそうな店構
えである。
 ここを借り切って〔ゆかた会〕。邦楽名吟会は発表会を開くらしい。
 こんなところ、一見さんは入りにくいデス。ちゃんと下足番がいて、下足札をくれ
る。
 曲がりくねった廊下をずんずん行くと聞こえてきます、うなっている声と三味線の
音。つい、落語[寝床]の中で、無理やりにお稽古事を聞かせるお店の主のこと、落
語[小言幸兵衛]の中で入居希望者に常磐津を語る長屋の大家を連想してしまう。
 お座敷を3部屋くらい開け放して屏風を立てて舞台があつらえてあり、お客さんは
座敷机をはさんでいくつかのグループに分かれていて、それ以外の畳にも座布団を敷
いてお客さんが座っている。
 舞台の前は結構、空間が空いているのに、なぜか後ろのほうが混み合って、あとか
ら来た人は廊下で聞いている。
 発表者はゆかた会らしく、全員そろいの浴衣姿である。浴衣姿は20人くらいで、
残り50人くらいはその家族や知人なのでしょう。女性はさすがに華やかで髪も結い
上げて浴衣姿といえども白足袋、帯もおたいこである。なかでも化粧の濃―い人が、
お三味線のお師匠さん方で、髪型もひさしがある結い方だ。座って三味線を弾く姿が
様になっている。
 プロの三味線をバックに料亭で小唄や清元や新内、長唄を唄う。これはこたえられ
ないお遊びでしょうね。でも、演じている方達は真剣そのもの、大まじめでいい顔を
していた。
 お目当ての小島社長は後半の出番、新内「日高川―飛び込みの段」である。清姫が
後を追っ駆けてきて、行き当たったのが日高川。女の身では渡ることができない。船
頭に頼み込むが、船は出せぬという。かきくどく清姫に冷たく突き放す船頭、清姫の
口説きと船頭の嗄れ声、二役を唄い分けて見事でした。
 三味線が二人で上調子をかけている人がお師匠さん(?)。三味線は、あくまでも
歌い手を引き立てるように弾いています。
 名古屋は昔から芸事の盛んだと言われた土地柄です。そいう評価はこういうところ
を指しているのかって思いました。お稽古事は粋筋で習い、発表会も料亭を借り切っ
て行う旦那衆は存在しているのでした。
 今回、日頃縁のない世界を、垣間見る機会が与えられて少しは世間が広がった気分
である。
 が、結局、河東節も新内も清元も区別がつかなかった。
 帰宅後、見たHP(THE TOKYO SHINBUN MEIRYU)には、「河東節"ご連中"とし
て、市川新之助が助六に挑む。成田屋の助六には河東節がつきものであり、江戸の名
残を伝えるご連中の浄瑠璃が彩る。メンバーは元大臣や作家、大学教授、老舗の旦那
衆が出演」とあり、名古屋代表で小島社長の参加の弁が載っていて、おおーっと思い
ました。
 行く前に読んどきゃあよかった。「邦楽百科CDブック2巻日本の音 声の音楽」
(音楽の友社)は行く直前に読んでいきましたが・・・。
 これが本との泥縄で。(スンマセン)
 HPにはこんなことまで書いてありました。「稽古や祝儀や招待や弁当代で、ご連中
参加費は百万円くらいの出費になる」という。
 古典の継承は生半可なことでは出来ないのですネ。


2000・8・5 UP








 映 画 『 マ ザ ー 』


1999年度 カンヌ国際映画祭 国際批評家連盟賞 受賞作品

撮影助手 橋本彩子(会員・橋本節(圓窓の弟)の長女)


主演 三浦友和
映画館 東京・渋谷ユーロスペース T03−3461−0211
渋谷駅南口下車 歩道橋を渡り JTBさくら通り右側
平成11年10月23日〜12月10日まで


圓窓のちょっかい


「会員の橋本節は、なにを隠そうあたし(圓窓)の実弟。その長女がどういうわけか、映
画が好きで、現在は撮影助手をやっている。
 弟に『観てやってよ』と言われたが、果たして、撮影助手の腕の見せどころを見つける
ことができるだろうか。あたしにとっては、真剣にならざるをえない映画だ。遅くなった
が、紹介します」

1999・12・10 UP






『 永 井 民 子 展 』

'99 9/1(水)〜9/10(金)
10:30から18:30
日 本 画 廊
日本橋画廊中央区日本橋3―1―4
T 03―3281―8921
地下鉄:銀座線・東西線 日本橋駅下車 B3出口


圓窓のちょっかい
「永井泰宇会員から『我が女房の個展です。ちょっと覗いてみてください』と葉書がきましてね。夫は先日、本(寄席殺人事件)を出したばかり。女房がそれを絵画にしたのかな、と早合点。違う、ちがう。
 あたしが普段、考えもしないようなことを絵にしている。『みどり色の太陽・胎動2000』ってタイトルの絵なんかは、すごいッ」
 '99・8・15 UP