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映画三昧

ヨーガス長屋 映画素人評論

「ヨーガス長屋」かわら版

第五回 ヨーガス総見


今月の月番 ムービー大家
『 ハ リ ケ ー ン 』
(00年度:アメリカ 製作)


ボクシングの映画は やはりアメリカ制作がいい


 日本にもそれをテーマとした作品はあったが
どうしても 見劣りがする 貧弱だ


その原因は
日本には 絵になるプロボクサーがいない
ボクシングをこなせる役者がいない


しかし それだけではない
人間になくてはならない愛がないからだ


この映画には その愛がある


月日:2000年7月30日(日)
時間:10時00分 上映スタート
??時??分 終映



 映画館:日比谷 シャンテ シネ(T 3591・1511)


チケット:当日券 1800円 シニア 1000円 前売り 1600円
(前もって前売りを買ったほうがお得です)


総見後 食事



確認のため 参加・不参加の連絡ください


三遊亭 圓窓
2000・7・20 UP





「ヨーガス長屋」かわら版

第四回 ヨ ー ガ ス 総 見

今月の月番 小井出正行
『 ガ ラ ス の 城 』
(98年度:香港 製作)

メイベル・チヤンが自らの出身校を舞台に
 学生時代への哀惜を込めて描く
近来まれにみる スイートなラブストーリー
香港返還前夜の1996年の大晦日
ロンドンのビックベンで
不倫の二人の事故死
遺体確認に向った二人の子供達も含めた二た通りの男女ストーリーが
国際都市香港を舞台に詩情豊かに描かれる


月日:2000年4月23日(日)
時間:11時30分 上映スタート
13時30分 終映



  映画館:岩波ホール(地下鉄・神保町駅から2分 岩波ビル10F)
デンワ 3262―5252



チケット:当日券 1800円  シニア 1000円  前売り 1600円
(前もって前売りを買ったほうがお得です)


渋谷から始まって 日比谷から 新宿へ回りましょう
総見後 食事
                                
確認のため 参加・不参加の連絡ください
三遊亭 圓窓
2000・4・6 UP






  「ヨーガス長屋」かわら版

 第三回 ヨ ー ガ ス 総 見


今月の月番 長島良枝


『 マグノリア』

(アメリカ作品)


 学校で習う歴史は 体制側からものばかり
しかし 人それぞれに それぞれの歴史があるはず
それを無視されてきた のではないだろうか


自分という過去を持つ 複数の人間が
偶然に触れ合い 巡り合い
同じ日に何かを 起こしている
ハッピーなのか アンハッピーなのか


ヨーガス長屋も そんな流れの中から 生まれた
住民一同の声が聞こえる
「ハッピーである!」


月日:2000年3月26日(日)
時間:11時15分 上映スタート
11時40分 終映


ちょい長の作品です
予告編だけでも 45分あったそうです(笑)
たっぷりの腹拵えを お忘れなく

映画館:新宿ミラノ座(大久保公園裏・コマ劇場奥)
 
デンワ 3202−1189

チケット:当日券 1800円  シニア 1000円  前売り 1600円
(前もって前売りを買ったほうがお得です)


渋谷から始まって 日比谷から 新宿へ回りましょう

総見後 食事
確認のため 参加・不参加の連絡ください
三遊亭 圓窓
2000・3・23 UP







第2回 総見 『遠い空の向こうに』住人の感想文集

       ストーリー                     文責 圓窓

 米ソ冷戦時代の1957年10月、ソ連は人類初の人工衛星〔スプ
ートニク〕の打ち上げに成功した。
 ウエスト・ヴァージニア州の炭坑町の高校生のホーマーは友達三人
に声をかけ、自分たちの手でロケットを打ち上げようと、その製作を
始める。
 ついに、AUK−1号は完成するが、打ち上げは炭坑を直撃して失
敗に終わる。その後も失敗の連続。そんな折、「近くで起こった山火
事の原因は実験したロケットにある」と、四人は警察に捕まってしま
う。
 父親の猛反対、校長の冷たさ、町民からの冷笑。
 その数日後、炭坑の落盤事故でホーマーの父は重傷を負う。ホーマ
ーは高校もやめ、ロケットも諦め、父に替わって炭坑で働き一家を支
えるようになった。
 そんなある日、ホーマーは、日頃から四人を応援してくれていた物
理の若い女教師が不治の病と闘っていることを知り、見舞いに行く。
 そして、病床の教師から「夢を捨ててはいけない。君たちの夢を育
てる指導をするために、あたしは教鞭をとっていたつもりよ」と、逆
に励まされ、炭坑夫をやめ、高校に戻り、再び、ロケットの夢を追い
駆ける。
 ありがたいことに、思考錯誤の実験のたびに、町の見物人の数は増
えてくる。やがて、とうとう、念願だった、全米科学コンテストで優
勝する。
 その後、高校最後の打ち上げのとき、嫌悪の中で今まで一度も見に
来てくれなかった父がひっそり立っているのを発見したホーマーは、
発射のスイッチをその父に頼む。
 打ち上がられたロケットは、遠い空の向こうへ上昇を続ける。
 それを見上げる、大勢の顔、顔、顔、顔。
 もう一つの顔があった。病床から窓の外の空を見る、満足そうな女
教師の顔……。

(備考)
 ロケットの名の「オーク」とは、飛べなくなって絶滅した海ツバメ
の一種の鳥の名。「なんとかして、飛ばしてやろう」という執念を込めた命名なのだろう。




『 家庭教育と学校教育 』

感想文:ヨーガス長屋 住人 楽女(平岩佐和子)

 ヨーガス長屋の皆様。
 この日の午後1時30分より上野でやるオペラのチケットをずっと前から購入して
いたため、洋画鑑賞後の評論家大会に参加できず、残念でした。すぐあの場を立ち去
り、大変失礼しました。
 さて、第二回のヨーガス長屋の総見。なんと、先月の総見以来、私は映画を見てい
ないことに気がつきました。ショック。
『遠い空の向こうに』は、文部省認定映画にも見えてきました。実話である、という
ところが、そうでなくも見えますが(涙も誘うし)・・・。
 教育という視点から言うと、二つに分けて、家庭の教育と、学校教育。
 家庭内では、あの親父さんは、日本の高度経済成長期の親父像を絵に描いたような、
そっくりな部分があったように思います。あと、気になったのは、親は平等に愛情を
注いでいるつもりでも、兄弟がいると、偏ることがあるということ。映画では、それ
を誇張して逆境の材料の一つとしていましたが、実際問題として、(兄弟間での愛情
差が)どのくらい影響があるのか、気になりました。
 学校教育でも、すぐ形に見えるスポーツ系に「奨学金が下りる制度」と言う校長先
生。それに対して「興味を持ったときが勉強しどき」と促す担任の先生。
 日本の学校教育制度も、広く一般の知識を詰め込むのではなくて、想像性を高めた
り、興味を強くもたせたりするような考え方だと、また面白い日本人が増えるだろう
に・・・。
 何年か前の『陽のあたる教室』(教師の方が主人公でしたが)にも似ているような
感じを受けたのは、教育の姿勢・方向性を考えさせるからかもしれません。


 ついでに……、ちゃっかり…、(当日のオペラの感想も載せておきます)
 <実相寺演出『魔笛』>の感想。
 ウルトラマンの実相寺監督が、モーツァルトのオペラ『魔笛』を演出すると言うの
で、観てきました。もう8年くらいオペラを観ていなかったし、『魔笛』は、話が複
雑であるような印象があったし、あんまり期待して行かなかったわけです。
 しかし、会話は日本語で、歌は原語(ドイツ語)で字幕スーパーあり、魔法の笛を
吹く(夢の)部分では、ウルトラマンの怪獣、お馴染みのエレキング・カネゴン等々
が出てきて爆笑。
 火の世界では炎が、水の世界ではドライアイスの煙の滝が(まんまと言えばまんま
んなのですけど)、夜の女王には、レーザー光線、三人の女王の手下もポータブルの
蛍光灯を持たせ、照明をうまく使ってました。
 ここまで、書いたのを見ると、なんだ、金をかけただけじゃないか、と思いがちで
すが、複雑な『魔笛』の話をわかりやすく、楽しく伝えることができていて、とって
も面白かったです。
 で、一番印象に残ったのが、モーツァルトの重唱(場面によって二重唱〜六重唱ま
である)の作り方が、美しいと思ったこと。改めてオペラが芝居であると思ったこと。
演出が違うとこうも違うか、と思いました。
 一番安い席(2千円)で、1時30分から5時まで楽しめました。




『 自分の経験と重なった 』

感想文:ヨーガス長屋 住人 (武田安史)

 本日は、映画鑑賞のあと、人ごみにまぎれて、皆さんの姿を見失ってしまい、食事
会に参加することができませんでした。ご心配をおかけしたことと思います。申し訳
ありませんでした。
 あとから考えれば、プリントをいただいた封筒に、師匠の携帯電話の番号が書いて
あったので、そこに電話すればよかったのですが、そのときはとっさにそういうこと
に気づかず、そのまま、他の用事を済ませるために新宿へ行ってしまいました。大変
失礼しました。
 さて、映画の内容についてですが、私自身、去年の秋に『キューポラのある街』を
みて以来、映画を久しく見ていなかったので、雰囲気そのものに飲まれてしまったこ
ともあるかもしれませんが、実に感動しました。
 高校生の少年が、さまざまな苦労を乗り越えながら、自分の生きる道を開拓してい
く姿は、私自身の経験と重なり合い、終わり近くなって、ずっと涙を流しておりまし
た。
 とくに、すばらしい先生との出会いとか、父と息子の葛藤を乗り越えて、最後にロ
ケットの発射ボタンを父親が押すシーンなどは、涙なしでは見られませんでした。
 研究者のはしくれとして、学問することのすばらしさを訴えかけるこの映画を、今
の日本の高校生にもぜひ見てほしいと思いました。
 勉強とは、「受験とか資格のためにするもの」と思っている人たちに対して、「そ
うではないんだ、自分というものをより豊かにするためにするものなんだ」というこ
とを、この映画を通して知ってほしいと思いました。
 そして、このことは円窓師匠のおっしゃる「笑涯楽習」と、根本的には同じことで
あり、金や名誉にとらわれない、心の豊かさを多くの人々に知ってもらいたいです。
 ヨーガス長屋の皆様方と話をすることができず、かえってご心配をおかけしたこと
と思いますが、こんなすばらしい映画を見られて、今日は感動の一日でした。
 本日はありがとうございました。また次回も、よろしくお願いします。




『 暗闇でボロボロ涙って、素敵 』

感想文:ヨーガス長屋 住人 ロッキュー(玉木文子)

 あの日、あの時、映画の素晴らしさに酔いしれていましたが、それが少し醒めると、
「それにしても、あの映画館の非常燈は、なんであんなにチカッチカッしてたんだろ
う!」
「あの映画館は、なにを考えているのか!」
「あんなに良い映画を、上映しているのに!」
「プライドってものが、ないのかしら!」
「これだから、日本の映画界は、衰退してしまうんだよ!」
 などと、映画そのものはそっちのけで、プンプンプン。
 いけない、いけない。映画の感想でしたよね、映画の。
 それは、もう、もちろん、文句なしのブラボー。
                   (あとの、ピザもブラボーでしたが……)
 元気、勇気、感動を、ありがとうございました。
 なんと言っても、あの暗闇の中でボロボロ泣けるって、素敵。
 また、来月も楽しみにしてます。




『 傷ついた経験は 人の傷の痛さを知る 』

感想文:ヨーガス長屋 住人 清女(三橋馨)

 <差別からの脱出は、人の心をたくましく、また優しくさせる>
 これは、この映画が、色々な場面で訴えかけていた事だと思います。
 実際に、映画の中では、『人種差別』があるわけでも、『女性差別』がある訳でも
ないのです。ただ、あまりに日常的に、自然な形で入り込んでしまっている為に、気
がつく人は少ないのかも知れません。この映画の中では、1,兄弟での差別 2,ク
ラスメート同士の差別 3,地域の差別 が出てきます。
 兄弟で、兄ばかりを褒め称える父。兄も、同じように弟を馬鹿にしている。親を心
底嫌う子どもはいないでしょう。どうしても兄には勝てない、だけど親には認めて欲
しい。そんな状況を経験した事はないでしょうか。
 クラスの中で、「ちょっと変わっている」と言うことで、仲間はずれが起こったり
しているのは、どこでも一緒。日本でも、「いじめ」が問題になっているのだから、
経験をしていなくても想像はできる事でしょう。
 日本では、狭い国である事もあり、出身地域で職業の選択が難しい所は少ないが、
広いアメリカではうなずける話です。でも、こんな狭い日本だって、まだ同和問題が
片付かない状態ですから。
 主人公を含めて、この4人の少年達は、これらを全て克服していくのです。それに
は、努力も必要でしたが、この努力するには、たくましい精神力が必要なのです。周
りに反対されたり、馬鹿にされたりしながらも貫き通す精神力は、達成したとき、自
信というものに変わっていきます。また、反対されたりすることによって、多くの傷
を負ってしまいますが、これが優しさに変わります。傷ついた体験が多い程、人の傷
の痛みが分かるのです。
 私は、この映画で人の心に直接触れたような気がしました。そんな暖かいものを感
じる事が出来、本当に嬉しく思います。




『 清女の感想を読んで 洒落が浮かぶ 』

感想文:ヨーガス長屋 住人 代脈(三橋敏武)

代脈:「差別」なんて考えもしなかった。よくそんな発想ができるね。
清女:見方が違うのかもしれないけど、いろんな意味があったよね。
代脈:それもそうだ。じゃあ、感想文には「清女」と書いてありましたが、本当は「
  代脈」です、って書いたら?
清女:嘘はいけませんね。考えもしなかった内容なんでしょう。
代脈:そうそう。でも、これだけ内容が詳しく書いてあるのに、ロケットという字が、
一つも出てこないのはすごいね。
清女:あらら…それもそうね。メインはロケットだったのにね。
代脈:まぁ、やればできる! 支えてくれる人とか、見守ってくれている人がいる、
  と言うことだね。
   周りに反対されても、学校の先生や、内緒で板金技術を教えてくれたり、材料
  の提案をしてくれる人がいる。そして、最後には、一番反対していた父親が助け
  てくれた所は、感動と言う言葉に匹敵するかもしれない。
   やればできる! という意志が、周りを動かしたのかもしれないが、共感でき
  るものが多かったように思う。
   ところで、あの映画、実は続編があるんだよ。
清女:へぇ、そうなの?
代脈:ロケットができあがった時に、お祝いのパーティをやったんだって。
清女:本当!?
代脈:打ち上げパーティ…、といってね。
清女:それ、本当なの!?(笑)
代脈:空見た事かってネ。




『 原作も読んで 二重奏 』

感想文:ヨーガス長屋 大家 ムービー(富塚久美子)

 ヨーガス長屋の住人になって、良かった。……、ありがとう。
 本(この映画の原作・〔ロケットボーイズ〕)とこの映画に出会えて、良かった。
……、ありがとう。
 この映画をまだ見る予定に入れてない頃、わずか、150kmの上空を毛利さんを乗せ
て飛んでるエンデバーに思いを馳せながら、〔ロケットボーイズ〕を読んでました。
 原作を読んでいたことで、映画にさらに深く入ることができたと思います。
 映画のセリフが本のセリフの情景と重なって、二重奏のように頭の中でぐるぐるを
回ってきました。
 前に見た映画〔海の上のピアニスト〕の原作は一人芝居の戯曲でしたが、この映画
の原作は自叙伝です。原作の種類の違いによって、こんなにも意味合いが違ってくる
ものかと、しみじみと感じました
 映画を作る監督さんも、見る側のわたしにもかなりの思い込みがあり、それがまた
合ったり、隔たったり。だから、映画は楽しく、面白いのかも……。
 ヨーガス長屋の住人になってから、あたしの頭の中は俄かに忙しくなりました。
 三月の月番さん、よろしく。




『 辛くなったとき ビデオでまた観よう 』

感想文:ヨーガス長屋 住人 月番 マッコ(二口真規子)

 おいしい、果物のような映画でした。


 フレッシュでジューシーで、あと味すっきり。
 渋みとか、コクとか、深みとか、そういうものはないけれど
 観た後は、とっても元気になって幸せになっていました。


 映画の途中で、何度も涙が出ました。
 どういう涙なんだろう、と思います。
 悲しいからでも、悔しいからでもv 嬉しいって訳でもない。


 何かを信じられるって思った時、
 あんな感じの涙が出るのかな。


 やっぱ、私も頑張るよ、明日っからって
 思えた映画でした。


 何かを本当に純粋にやろうとしている人を
 人って助けてあげたくなってしまうものなのでしょうか。


 私も思った。
 何か、彼のためにしてあげたいって。
 できること、ないかなって。


 この映画がビデオになったら手に入れて
 ちょっと辛くなったとき観よう。
 きっと、元気になる。


 そう思った映画でした。




『 〔スタンド・バイ・ミー〕をしのぐ 』

感想文:ヨーガス長屋 住人 おぷあ(三浦紘一)

〔スタンド・バイ・ミー〕〔スリーパーズ〕〔サンド・ロット 僕たちがいた夏〕等、
数え上げたら切りがないほど、少年たちのグループを題材とした映画は多い。
 今回の映画は宇宙ロケットに夢を馳せたところがユニーク。〔スタンド・バイ・ミ
ー〕をしのぐ出来に感動した。
 人間は興味を持つと、手に届かないものが届くようになる。日本の教育ももっとそ
の子の持っている才能を伸ばしてやる教育へ変わっていかなければ……。
 この映画の中の出来の悪い、数学などにはまったく興味を持たない子でも、のちに
は、難しい科学技術まで解き明かせるようになるのだから……。まさに、好きこそも
のの上手なれ、である。
 父と子の葛藤もこの物語にはからんでいる。
 炭坑夫を継いでほしい父親。お父さんが負傷して、その子は一時的に炭坑夫となり、
退院後、父子が数日間一緒に働く。この何日かが、父親にとってはもっとも嬉しい日
々であったであろう。
 どこの父親も一緒だ。

 炭坑夫を描いた映画〔わが谷は緑なりき〕〔ブラス〕等、それぞれ、ストライキ、
落盤事故が出てくる。それだけ命をかけた厳しい仕事なのであろう。
 感動した。
 映画は楽しい。

 毎年、行っているメジャーリーグ観戦。
 今年はこの映画を観たので、ヒューストンに行って、ヒューストン×アストロズ戦
を観たいなぁ……。




『 アメリカ映画らしい作品 』

感想文:ヨーガス長屋 住人  めぷあ(三浦美智子)

 小学校のときの卒業記念の文集などに、「将来の夢」とか「大人になったら」とか
書かされましたが、ほとんどが儚い夢で終わってます。
 この映画のように、どんな艱難があってもくじけず、突き進むことの出来る人は世
界な中の何分の一でしょうか。
 そして、その夢の実現のために四人の仲間がいろいろな事件にあいながら、一つの
事をやりとげたという情熱は、素晴らしいものです。
 人間、いくら小さいときから仲が良くても、ほとんどが離れて行くのが現実です。
 炭坑夫の仕事人間で頑固なお父さんとの間。、お母さんの優しさ。スポーツ選手と
して優秀なお兄さんとの関係。とてもわかりやすく描かれておりました。
 アメリカ映画らしい「悪を憎んで善に親しむ」というようなウイットの場面もあっ
て、とても素晴らしい作品でした。




『 やれば 出来るさ 』

感想文:ヨーガス長屋 先達  まるまど(三遊亭圓窓)

 おぷあさんから貰った、リスト〔アメリカ人の選んだアメリカ映画ベスト100〕
の作品を全部見てやろうと、ビデオ屋へせっせと通っているが、映画はやはり映画館
で見るのが一番いい。
 暗闇の中で映画が始まると、観客は一人ひとりが孤独に入り込む。
 しかし、ある程度の時間がたつと、回りの人々がどのような感情で画面を見つめて
いるか、じわじわ伝わってくる。
 俺と同じように、笑っている。泣いている。
 ということは、孤独ではないのだ。

 名画には名台詞があるものだ。
 この作品も字幕を読みながら、ズシン、ズシンと名台詞にやられっ放し。
 とくに、女教師の「夢を捨ててはいけない。君たちの夢を育てる指導をするために、
あたしは教鞭をとっていたつもりよ」というような意味の台詞には泣いた。
 教師にとっては当たり前のことかもしれない。しかも、ごく易しい言葉。
 泣かされた理由を捜せば、思い当たる。
 あたしが、夢を描くことが好きなせいだからだろう。

 圓窓一門は12年ほど前から、盲人スキーヤーを応援して、チャリティー寄席を続
けている。盲人がスキーなんぞ出来るわけないと思っていたあたしは、彼らの練習、
プレーを目撃してショックを受けた。
 やれば、出来るのだ!
 そんなことから、彼らを謳った詩〔やれば出来るさ〕を作ったら、PC仲間のたく
みさんがPCで作曲をしてくれたことがあった。
 色紙にも、そんな都々逸(五字被り)を書くことがある。

  なにごとも
  やれば出来るさ
  できないわけは
  やろうとしない
  だけなのさ

 誰か唄ってみてよ。
 唄えない…?
 なぁに、やれば出来るさ。








第2回 「ヨーガス長屋総見」月番控え帖

月番 マッコ(二口真規子)


年月日
上映時間
タイトル
映画館
入場料
2000年2月27日(日)
AM11:10
「遠い空の向こうに」
日比谷 シャンテ1
1800円(前売り1500円)
総見の参加者 (11人)
圓窓 大家 おぷあ 樂女 清女 小井出 代脈
武田 マッコ めぷあ ロッキュー
総見の不参加者 (5人)
田辺 テンコ チビアン 裕の字 良枝姫
会食 ブラボー
会食の参加者 (9人)
圓窓 大家 おぷあ 樂女 清女 小井出 代脈
マッコ めぷあ ロッキュー
会食の不参加者 (7人)
田辺 テンコ チビアン 裕の字 良枝姫 武田
樂女
(武田は上映後、圓窓を見失って行方不明)
現在の住人総数 (16人)





映画〔遠い空の向こうに〕の選定理由
 2月の月番に決まってから、あわてて映画雑誌をみていると、こんな紹介文が目に
入りました。
「仕事柄、山ほど映画を観るけれど、ずっとこのまま観ていたいと思う作品は残念な
がら年に五本もない。だがこれは、その五本のしかもトップランクに入る」
 そのとたん、どうしてもこの映画が観たくなりました。
あらすじは、先に知ってしまうのが嫌で、読まなかったのですが、実話のようだし、
なんだかさわやかな青年が主人公のようだし・・・。
 ヨーガス長屋 第二回総見の作品は、これだ! と思いました。
 日にちの方も前の日から始まってくれて、間に合ってラッキーでした。
 ヨーガス長屋の総見の映画を決める、というのはむつかしかったのですが、とても
楽しい作業でした。
 皆さんが観て、それぞれ、それなりに感じるところがあって、そしてやはり、私が
とっても観たいものがいいなあ、と。
 お陰で、ちっとも映画に詳しくない私がけっこう、最近の映画に詳しくなりました。
 ヨーガス長屋のの住人の方々も気に入ってくださってたら、嬉しいな、と思います。


御食事処〔ブラボー〕の選定理由
 やはり十人近くが、そろってお食事できるということは、どこか予約した方が安全
なので、映画館からさほど遠くなく(あまり感激の薄まらないうちに・・・)、せっか
くのアメリカ映画なので日本風の定食屋ではなく(イタリアンでしたが・・・)、など
と考え、「ブラボー」というあのレストランに決めました。
 やはり、映画帰りの人が多く利用する場所のようで、結構混んでいました。
予約に行ったときはガラガラだったのに・・・。
文責 圓窓
2000・3・27 UP



 「ヨーガス長屋」かわら版

 第二回 ヨ ー ガ ス 総 見



『 遠い空の向こうに』

(アメリカ作品)

これは実話である
 ソ連の世界初の人工衛星にスプートニックに魅了されたアメリカの四人の高校生が
試行錯誤を繰り返しながら手作りのロケットの完成を目指すが ことごとく失敗する
彼らの夢に批判の目 しかし 温かい目も向けられる
夢を描くことの素晴らしさを教えてくれる 後世に語りつながれる作品

「創る」という字には「キズ」という意味もある 「満身創痍」の「創」
「創る」ということは 「キズをつける」ことでもある
木を切ったり削ったり キズをつけることによって 家は創られる
立派な家を褒めるとき 木に詫びと感謝をすべきである


月日:2000年2月27日(日)
時間:11時10分 上映スタート

映画館:日比谷シャンテシネ1 (T 3591・1511)

チケット:当日券 1800円  シニア 1000円  前売り 1500円
(前もって前売りを買ったほうがお得です)

この映画館は日比谷の宝塚劇場(改装中)の斜前にあります

今回はチケットのナバーリングはありません

会場は10時40分です
退屈はさせません
初顔合わせの歓談をしましょう
総見後 食事

確認のため 参加・不参加の連絡ください
三遊亭 圓窓
2000・2・19 UP









 第1回 総見 『季節の中で』 住人の感想文集

ストーリー
 ベトナムのホーチミン市の市井の人々の厳しい現実の中から、四組
のカップルを淡々と語るように画面は描き始める。
 蓮の花を摘んで売り歩く少女と、世捨て人同然の難病の詩人との心
の通い合い。
 娼婦に想いを寄せるシクロ(自転車タクシー)の運転手の愛。
 我が娘を捜し求めるアメリカ元海兵隊員。
 商売用のカバンを盗まれた男の子となぜか付きまとう女の子、とも
にこの街のストリートキッズ。
 この四組がぐるぐる回るように登場して、いつのまにか、ほんの少
しだが、お互いに織り込まれていく。
 最後には、少女は亡くなった詩人の遺志を継いで、どっさりの蓮の
花を川へ流す。
 運転手の真摯な愛のおかげで娼婦をやめた女は、夢叶って火炎樹の
下に立つ。
 アメリカ人は娘と対面なる。
 カバンも戻り、子供二人は元気になる。
 貧乏で生活はつらくとも、街は汚くとも、映画は雨季と乾季の他に
花の季節を美しく描いていった。





『 全編 まさに 詩 』

感想文:ヨーガス長屋 大家 ムービー(富塚久美子)

 書くことは大の苦手で、筆を持つのも億劫になってしまうのですが、先に他の住人
の方の感想文を読んでしまうと、もうなおさら書けなくなってしまいそうなので、思
い切って早めに書いてしまいます。

 いろんなlave storyの映画を見ながら、自分を照らし合わせて、とても
良い気分に浸っている自分、あるいは、こんな愛し方、愛され方があるのだなあ、と
羨ましく思える自分、いろいろあって、lave storyって、楽しいのですが、
この作品はとてもナイーブに一つひとつ、とても丁寧に描かれています。
 最後の息をもつかせないシーンと、そして、見終わったとたんに溜息ばかり……。
 病に侵された蓮の花の池の持ち主が詩人なのだけれど、映画全編がまさに誌に満ち
溢れてました。





『 生きる、ということを強列に感じた 』

感想文 ヨーガス長屋 住人 楽(ガク)(平岩佐和子)


 ヨーガス長屋は洋画を観るグループなので、てっきり青い眼の西洋人が出てくる作
品だと思っていた。
(つまり、下調べなどをして行かなかったのデス。ゴメンナサイ。でも、何の先入観
もなく観るのは、けっこう好きな見方デス)
 ベトナムを舞台とする映画は、初めて見た(ような気がする)。
 アジアを感じる。
 と同時に、アジアのことをアジアにいながら知らない自分も感じる。
 すぐに、数年前にマレーシアの人達と共同で舞台を作った時のことを思い出してし
まった。
(それは、置いておいて……)
 淡々と四つの話が進んでいくのに、飽きなかった。
 それに加えて、ベトナム語の言葉の響きが、新鮮だった。
(発語しながら、飲み込むような母音を家に帰ってから、真似して楽しんだ)
 流れてくる歌も同様に、やっぱり言葉からくるフレーズなんだなあ、と思って聞い
ていた。音楽の方は、西洋人がアジアを意識して作る曲だなと思った。
 ラストの色のコントラストが印象的だった。
 テーマがラストに出てくるが、『愛』とか、『自分らしく』ということより、『生
きる』ということを、より強く私は感じた。
「自分は毎日を一生懸命に生きているのか?」
 と、改めて問い直す良い機会になるような気がした。





『 やはり、ハーヴェイ・カイテルは 魅力的 』

感想文 ヨーガス長屋 住人 マッコ(二口真規子)

 本当に「ヨーガス長屋」で観て良かった映画でした。
 多分、こういう単館の映画は、一人で見には行かないし、ビデオでも借りないかも
……。
 又、ビデオで観ても、あの感激は得られなかったと思います。
 三浦さん。本当にいい映画を選んでくださって、ありがとうございました。

 ヴェトナムは何から何まで知らない国でした。
 本当に新しい国に行ったようで、食い入るように観ていました。
 ヴェトナムは今の私達にとって、
 アメリカやヨーロッパよりもよっぽど未知の国なのですね。

 小さな子供が物売りをしながら生活をしていて、
 缶を拾いながら生きていて、
 なんて生き生きした人生なんだろう、と思った自分に驚きました。
 盗んだパンを分け合って、雨の中でサッカーをして。
 夜遅く、塾に通って勉強している子供たちより、幸せかもしれない。
 なんでもありの人生だから。

 ちっとも幸せに見えない人たちを描いて、
 でも、とっても幸せに見えたのは、
 監督のやさしさや、若さかもしれない。

 やはりハーヴェイ・カイテルは魅力的でした。
 あの1シーン。
 娘を見つけて、涙があふれるシーンで、きっと観客のハートを一掴みですね。
 さすが、と思いました。
 今までの彼の生きてきたことが全部こやしになってる、
 そんな感じがしました。

 さて、次回、2月27日はどんな映画にめぐり会えるでしょう……。
 あたしの月番だっけ……?





『 [ありのままで] の言葉に感動 』

感想文 ヨーガス長屋 住人 清女(三橋 馨)

 「ありのままで」という、この言葉と共に、本を手渡す感動的な1シーン。この言
葉をどれだけ深く、考えさせられた事でしょう。
 4人の主人公が、それぞれの人との関わり合いで、何かを見つけていきます。それ
は、一言では語りきれない、奥深いもの。
 ここに登場してくる主人公は、「愛しい」とか「好き」などと一言も口にしません。
しかし、その行動や思いで、しっかりと伝えられているのです。
 心に残るシーンの一つに、ストリートチルドレンの主人公が同じ年くらいの子供と
の関わりがあります。
 自分の商売道具を盗まれ、途方に暮れている主人公の元へ、同じストリートチルド
レンがやってきます。つきまとう事に、うっとうしさを感じながらも、次第にうち解
けあっていく。そこで、おいしそうにパンを食べる子供。それを見ている主人公。お
互いの間に、何の言葉も交わされません。しかし、自然に半分に分け合う事ができて
いるのです。
 なんて事のないシーンかもしれませんが、私にとって、何か残るものがありました。
 他の主人公も、何を相手に言う訳ではありません。誰も、要求はしないのです。た
だ、自分の思うままに行動しているだけなのです。それが、相手に通じることによっ
て、相手は自然と変わって、気持ちを受け止められるようになるのです。
 どこかで見栄を張ったり、意地になったりしている自分に気づかずに生活している
私が、「ありのまま」にいるとは、どういうことなのか。
 赤い花びらに包まれて、素敵な笑顔を見せている女性を羨ましく見ると共に、改め
て私自身の「ありのまま」について考えさせられてしまいました。





『 人間の愛と優しさに 素晴らしさ 』

感想文 ヨーガス長屋 住人 テンコ(平樹典子)


 貧しくとも力強く生きようとするベトナム人の底力を感じた。
 そんな背景の中でさまざまな人間の愛と優しさを描いているのは素晴らしい。
 特に、ラストの子供二人が連れだって走り去る姿に希望を感じた。
 
 あたしの主宰する「オフィス樹」(演劇制作事務所)の5月公演〔秋雷〕も、ある
家族の愛をテーマに描いてみました。
 これもなにかのご縁ですので、お時間がありましたら、ご覧くださいませ。
 と、宣伝を兼ねて、すいません。





『 この映画をみなさんに薦めてよかった 』

感想文 ヨーガス長屋 住人 おぷあ(三浦紘一)


 コンピュータ・グラフィックに代表される科学の発達によって、ここ十数年、アメ
リカ映画はそれに頼りすぎ、堕落の一途を辿ってきました。
 数年前からやっと〔ファーゴ〕や〔LAコンフィデンシャル〕〔世界中からアイ・
ラブ・ユー〕〔プライベート・ライアン〕等、質の高い作品が少しずつではあるが、
登場し始めました。
 そして、この〔季節の中で〕である。
 久し振りにみんなが観ても喜ぶ、涙する映画でした。
 タイミングよくヨーガス長屋の観賞会が始まり、この映画の観賞をみなさんに薦め
て、「とても、よかったです」と言われて、こんな嬉しいことはありません。また、
住人の皆さんと語り合えたのは非常に有意義でした。
 オリバーストン監督の映画などで、ヴェトナム戦争を通してのヴェトナムを観てき
ました。

 しかし、一人一人の人間がこの映画のように不幸であった社会から立ち直ろうとし
ているのだろう。
 蓮摘みの少女、シクロの運転手と体を売るひとりの女性、元兵士で娘をさがすハー
ヴェー・カイテル、そして、ストリート・キッズ……。
 これらの人々のさりげない関係(接点)の描き方も見事。25歳のトニー・ブイ監
督の瑞々しい感覚で粛々と描かれていく。
 特に、蓮摘みの少女が奉公に来るところは、名作〔青いパパイヤの香り〕を思い出
す。ヴェトナムの地方の娘はこうして都会のお金持ちの所へ奉公に行くのでしょう。
 ヴェトナムの現状を思うと、この映画のあとも、この主人公たちにはまだまだ大変
な苦労が待っているはずです。
 しかし、我々観客もこの映画から人生を明るく生きる勇気を学びました。
 最後に、運転手が言った「飾らないで、自分らしく生きよう」の言葉を改めて噛み
しめましょう。





『 印象に残った 色彩感覚 』

感想文 ヨーガス長屋 住人 めぷあ(三浦美智子)


 ヴェトナム映画というと、どうしてもある”先入観”が先に浮かんでしまいます。
東南アジア特有の暗さを持ったものとか、戦争と何か関係のあるものとか、多分、制
作費もあまりかかっていないスケールの小さい映画だろうとか……。
 ところが、そんなものは吹き飛んでしまいました。

 鑑賞して、一番印象に残ったのは、この映画の色彩感覚です。
 ハスの花、アオザイの白、広大なハスの池や田園の緑、火災樹の真っ赤、それはハ
ワイなどでみるような、あざやかな色ではなく、日本でみる花々の色でもない、多分、
昔のヴェトナムはのんびりしていて、広々としていたのを想像させるような色でした。

 以前、ヴェトナム帰還兵を主人公にした"MR.Pのダンシング スシバー"という
映画を見ましたが、その主人公もロスアンゼルスで出した寿司バーの成功には満足で
きず、自分が戦争で行ったヴェトナムに心のやすらぎ、穏やかさをみいだすというス
トーリーでした。
”季節の中で”のトニーブイ監督も、「アメリカで得られなかったものが、ヴェトナ
ムにはある」と言っていますが、現代の張りつめた個人主義の時代には、そこに”生
きることとは何か”という問題を、今一度、考えさせる何かがあるかもしれません。





『 ショックあり 物足りなさあり 』

感想文 ヨーガス長屋 住人 ロッキュー(玉木文子)


 一番感じたのは、アジアを知らなすぎる私のことでした。
 歌だって日本の民謡を聞いてるようですし、スクリーンに出てくる人たちも、なー
んか、どこかで見たことあるなぁ……、みたいな人ばかりなのに……、ベトナムにつ
いての知識が、私にはほとんどない!
 だから、あの貧困さはショックでした。まぁ、ドキュメンタリーではないので、多
少の脚色はあると思うのですが、それにしても、やはりショックでした。
 ラストシーン近く、子どもたちが自分の仕事道具を抱えて走って行った後ろ姿が、
力強く、働くことへの誇りに満ちた笑顔で、とっても素晴らしかったです。
 一ヶ所、気になったというか、ちょっと物足りなかったというか……。
シクロ乗りの青年が惚れた娼婦の家を尋ねて、拒絶されて立ち去ろうとした時、バ
タッという大きな音がしたので、戻って部屋の中へ入るとその女が倒れていて、結局、
二人は結ばれていくのですが……。
 その、部屋に戻るきっかけが、ちょっと安易だったなあ。もうちょっとドラマとい
うか、ひねりがあると、もっとその後も感動的に思えたのだが……。
 それに、彼が裸体の彼女の背中にしたスプーンによる愛撫は、倒れる病気を治すた
めのお灸をするという風にも思えてしまって……、(こんなこと思うアホは私だけ
かもしれませんが)とにかく、もう一ひねり欲しかったです。
 と、口で言うのは実に簡単。でも、ああでもない、こうでもないと、あとで思うの
も観賞の楽しみかな、なんて……。





『 白いハスが 切なく綺麗 』

感想文 ヨーガス長屋 住人 良枝姫(長島良枝)

  とにかく映像がきれいでした。
ラストの白い服の上に赤い花が降ってくるシーンは、娼婦だった過去を洗い流すよ
うで、とても開放された気分になりました。
 でも、そのシーンよりも印象に残ったのは、白いハスの花です。
 乱雑なベトナムの街並みの中で、白いハスの花がとてもきれいに描かれていました。
 それはハス園の主が病に侵される前の、光の下の人生の象徴のように思えたからな
のかもしれません。
 だからよけいにせつなくきれいに残っています。
 ストーリーは4つの物語りが1つの街を舞台にして少しづつ係わっていき、それが、
違和感なく描かれていておもしろかったです。





『 こりゃ 捨て難い映画だ 』

感想文 ヨーガス長屋 住人 先達(三遊亭圓窓)


 記念すべき〔ヨーガス長屋〕の最初の総見に参加した人たちが、一人のこらず感想
文を提出してくれた。
 映画の感激もさることながら、この感激も人に伝えたい。
 これは思いもかけなかったことで、たぶん、半数の人は「なんだ、かんだ」と言っ
て嫌がって書かないだろうと踏んだのだが、見事に裏切られた。(笑)
 みなさんの文を読んでて、あたしの筆先が恥ずかしそうに萎えていくのを感じた。
 でも、なんとか、奮い立たせて……。

 あたしも、これほどいい映画だとは……、と見直してしまった一人。
 名作ぶって無理に力んで作った、というところがないのが、実にいい。
 ラストの赤と白の花を映し出すシーンも、スピルバークだったら、道という道を、
空という空を、川という川を、大量の赤と白の花でベターッと埋め、観客に「どうー
だ! これなら!」とぶつけるだろうと、思いつつ見てしまったが、もちろん、そう
ではなく、ごく自然に、飾らず、さわやかに、自分なりに、というまさにこの映画の
テーマにかなった花の量に、じわじわとくる感動を味わえて、たまらなく嬉しくなっ
た。
 あたしもあることが気になって、あの日以来、寝苦しい夜をおくっている。
 うつ伏せになった娼婦の背中に香油を塗り、その上を男がスプーンでなぞると、赤
い筋がつき、娼婦は歯を食いしばって堪える、という問題のシーンが、それである。
 ベトナムの真人間になるための儀式なのか、風習にある愛撫なのか、二人の性癖な
のか、思い付きのプレーなのか。
 住人にも尋ねたが、みな口を揃えて、「あのような体験はしたことがない」という。
 プログラムにもその件は触れてないようなので、これからの研究課題、笑涯楽習と
して捨てないでおこう。
 この映画、捨て難い……。


2000/2/6 UP



『スプーンの謎を解く』

感想文 ヨーガス長屋(札幌) 住人 無銭


〔ヨーガス長屋〕が第1回の総見として取り上げた課題作(笑)、〔季節の中で〕見
ました。
 詩情溢れる映画でした。
 他のヴェトナム映画を見たわけではありませんが、ヴェトナムでもこのような映画
が作られるようになったのかと感慨深いものがありました。
 忌まわしい体験を経て、その後のこのすがすがしい映画、まさに「ハスは泥よりい
でて、なおかつその泥に染まらず」です。
 自ら引き起こした戦争と、外力に抗して立ち上がった戦争と、その背景は違います
が、戦争という経験を経て日本でもあのような映画がたくさん作られた時期がありま
した。
 ヴェトナムでもそのようになってきたのでしょうか。

 感想文での圓窓師匠の疑問ですが、あの謎のスプーン(?)は治療ではないかと思
いました。
 ホテルで一晩眠ってみたいという願いを叶えるために、好きな女性の寝ている姿を
一晩中見守っている心優しい男性ですから、家で倒れた彼女を見て、きっと治療をし
たのだと思います。
 スプーンの後で上着を着せてマッサージをしていました。
 別の行為であれば、上着を着せる必要はありません。

 スプーンで縦に背骨と、あと左右それぞれの肋骨の間を斜めに2カ所ほどこすって
いました。
 あんなにこすると皮が剥けると心配していましたが、案の定、血が滲み出しました。
 日本でも真空吸引による「おけつ(?)」という民間治療法があったと思いました
が、それと似たような方法でないでしょうか。
 映画の冒頭の方でシクロの仲間にマッサージオイルを渡す場面がありました。自転
車乗りの商売のためにスポーツマッサージとか、多少の民間治療の心得がある人とい
う設定ではないでしょうか?





『 東洋的治療法の気配あり 』

参考文  たくみ


 映画は見ていませんが、無銭さんの記述からすると東洋的治療法の気配ありだと思
います。
 名古屋の医師で、スプーンではなくガラスコップを使って背中を何度も擦ると、悪
い箇所が発赤して液が滲み出してくるという治療をしている人をみたことがあります。
皮膚を擦るのに、コップの湾曲とスプーンの後のそれとが、ちょうどよい具合になる
のでしょう、、たぶん。(^^;)
 真空吸引による「おけつ(?)」という治療法の名前は「吸角療法」といい、吸角
を使う以前は、蛭(虫)を使って「悪い血を出す」という名目で血を吸わせていたも
のと同系列の療法です。
 出血させることで、末梢の循環改善に多少はつながるので、全く科学的に根拠がな
い療法でもないのです。(^^)
 お血(お=病ダレの中に於という字)というのは、簡単に言うと「血(けつ)」の
変調、血滞のことで、停滞した生理機能を失った血液がもとで起こると考えられてい
るものです。
 マッサージオイルがでてくるとなると、インドのアーユルベーダ系の流れをくむ治
療法なのかもしれませんね。
2000・3・2 UP







第1回 「ヨーガス長屋総見」月番控え帖

月番 大家(富塚久美子)
おぷあ(三浦紘一)


年月日
上映時間
タイトル
映画館
入場料
2000年1月30日(日)
AM11:30
「季節の中で」
渋谷文化村 ル・シネマ2(125席)
1800円(前売り1500円)
総見の参加者 (8人)
圓窓 大家 樂女 清女 テンコ マッコ
良枝姫 ロッキュー
(おぷあ めぷあの夫婦はこの選定映画を前に見て
いるため不参加。隣の1で「橋の上の娘」を見る)
総見の不参加者 (3人)
チビアン おぷあ めぷあ
(おぷあ めぷあの夫婦はこの選定映画を前に見て
いるため不参加。隣の1で「橋の上の娘」を見る)
会食 (店名は誰も覚えておらず)
会食の参加者 (10人)
圓窓 大家 樂女 清女 テンコ マッコ
良枝姫 ロッキュー
会食の不参加者 (1人)
チビアン
現在の住人総数 (10人)





映画〔季節の中で〕の選定理由
 最初、大家のムービーが選んだ映画は〔風に吹かれて〕と〔季節の中で〕の二つで
した。
 先達も相談に乗って、〔風に吹かれて〕を決めたが、後日、〔季節の中で〕を見て
いる三浦夫妻(おぷあ・めぷあ)から、「〔季節の中で〕なら、間違いがありません。
〔風に吹かれて〕は好き嫌いの差が出るかとも思われます……」という評論家顔負け
の指導を貰って、〔季節の中で〕に変更して、第一回総見の選定映画としました。
 おかげで、皆さんに喜ばれ、第一回が晴れやかにスタートできたことに感動を覚え
ました。
 これを記念して、長屋の住人を増やし、125名になったら、このル・シネマに「
貸し切り」の札を貼らせて、記念上映会を企画しようかと、夢を馳せています。
 よろしくね。


御食事処〔?〕の選定理由
 10人が会食できる店を決めるのに不安があった。
 なにしろ、誰一人、この辺で飯を食った者がいないという。それに、金に糸目をち
ゃんとつけるのが長屋の建前。値段は安くて、店は広々して静かで、料理は旨い、と
なると、出っくわすのに何年もかかるだろう。
 こんな心配をよそに、大家と良枝姫の二人が映画の開場前に、「映画館の階上にレ
ストランがありそうだ」と見聞に出かけ、「映画が終わったら、よろしく」と予約を
入れてきた店がある。
 そこで、てんでに好きな品を注文し、各自、勘定をするシステムにして、なんと、
2時間30分は歓談、評論をしたであろう。
 その店を出て、夕景の空間を感じながら、また、映画を見た者もいるとか。
 ヨーガス長屋、万歳、である。


文責 圓窓
2000・3・27 UP

 「ヨーガス長屋」かわら版

第一回 ヨ ー ガ ス 総 見



『 季 節 の 中 で 』

(アメリカ資本 ベトナム作品)

今までの東南アジア映画は貧相な画面に走り勝ちでした
だが この映画の画面の美しさにびっくりするでしょう

原題は「スリー シーズン」
ベトナムは雨季と乾季の2シーズンです
あと一つのシーズンは?
それは あなたが見つけてください

月日:2000年1月30日(日)
時間:11時30分 上映スタート

映画館:渋谷文化村6F (T 3477・9264)

チケット:当日券 1800円  シニア 1000円  前売り 1500円
(前もって前売りを買ったほうがお得です)

このル・シネマ2は座席が125という可愛らしいスペース
定員・入替制です

多くの人の参加を望んで 日曜日にしました
座って見たいので 一回目の上映にしました

10時から受付してます
先達は10時に控えてます
なるべく早めに(1時間前には)お越しください
退屈はさせません
初顔合わせの歓談をしましょう
総見後 食事

確認のため 参加・不参加の連絡ください
三遊亭 圓窓
2000・1・10 UP





 外国映画ファンクラブ〔ヨーガス長屋〕へのお誘い


〔ヨーガス長屋〕の趣旨

外国映画ファンが
 月に一度 同じ日時 同じ館で
一つ映画を鑑賞し
そのあと
 食事をしながら 評論家大会を開く


〔ヨーガス長屋〕の規約

大家:富塚久美子
先達:三遊亭圓窓
月番:持ち回り
会合時間:上映時間帯+食事タイム
チケット:各自で購入
年会費(通信、印刷代):2000円
実費:自己負担


〔ヨーガス長屋〕の特典

クラブ報(指定映画の情報)の配布
徳用チケットの案内
圓窓のHP(圓窓落語大百科事典)に会員の感想を掲載
出欠席は自由 キャンセル料なし


〔ヨーガス長屋〕への申込み

事務局:オフィス樹

〒164・0011中野区中央2・21・6 第2山田ビル2F TF 5337・8368
年会費(2000円)の振込み先
郵便振替口座番号:00120-7-42521 口座名義:オフィス樹
「ヨーガス長屋の年会費」と記してください)
(途中入会の場合 月166円の計算になります)


2000・1・吉日 発行






 99年度のあたしの洋画ベスト20+2

         文責 「ヨーガス長屋」住人 おぷあ(三浦紘一)
 1 季節の中で
 2 運動靴と赤い金魚
 3 恋に落ちたシェイクスピア
 4 セントラル・ステーション
 5 リトル・ヴォイス 
 6 ライフ・イズ・ビューティフル
 7 永遠と一日
 8 ラン・ローラ・ラン
 9 風の吹くまま
10 エイミー
11 黒猫・白猫
12 ゴースト・ドッグ
13 海の上のピアニスト
14 シン・レッド・ライン
15 エリザベス
16 ウェーク・アップ・ネッド
17 交渉人
18 アイズ・ワイド・シャット
19 橋の上の娘
20 チャイニーズ・ボックス
21 ファイト・クラブ
22 ドッキング・オン・ヘヴィンズ・ドアー

2000・2・6 UP







 99年度のあたしの洋画ベスト10

文責 「ヨーガス長屋」大家  富塚久美子
                  
 あたしはこの一年の洋画を”名子役”そして”アメリカ映画以外の外国映画の魅力
”という二つの観点から振り返ってみました。

まず、第1位は、『ライフ イズ ビューティフル』(イタリア)
 今でもCDを聞いて感動しております。思いかけずこの音楽が流れてくると、未だ
に胸がキュンと鳴ります。全てが好きです。シナリオも洋服も帽子も含めて。

第2位は、『運動靴と赤い金魚』(イラン)
 兄弟役の二人の表情が忘れられません。男の子の困った顔と女の子の笑顔と怒った
顔が……。

第3位は、『エイミー』(オーストラリア)
 本当に泣かされました。彼女の演技力に乾杯! 暗いテ−マが音楽と彼女に支えら
れ素敵な映画となりました。

第4位は、『ガッジョ・デーロ』(フランス・ルーマニア)
 ロマ(ジプシ−の物語)、生活そのものの中に音楽が溶け込んでいる人々のエネル
ギ−が全編にあふれ、生きる事を、真の自由を心から楽しんでいる。羨ましいほどに。
テアトル西友から出たら銀座だったのがうらめしい程でした。

第5位は、『恋に落ちたシェイクスピア』(アメリカ)
 ベスト5の予定だったんですが、困りに困って、途中からベスト10へ。

第6位は、『シックスセンス』(アメリカ)
 いかにもアメリカらしい映画です。 奇抜な発想を狙ったのでしょう。男の子の名
優ぶりに敬服します。

第7位は、『セントラル・ステーション』(ブラジル)
 『ライフ イズ ビュ−ティフル』に外国部門のオスカ−賞を譲りましたが、この映
画も忘れません。

第8位は、『タンゴ>カルタン』(アルゼンチン)
 映画に音楽に踊りと3拍子揃って、この贅沢さ。踊りが主人公!?

第9位は、『永遠と一日』(ギリシャ)
 「明日の時の長さは?」の答えが「永遠と一日」。一日だけのストーリ−でした。

第10位は、『バジル』(ギリシャ)
 イギリス作家コリンズの作品の映画化。イギリスのイギリスたる映画でした。鳥達
のオアシスの中で階段中央に彼女が孔雀のように気品高く座っている、そのシ−ンが
強烈でした。

2000・1・23 UP





99年度のあたしの洋画ベスト5

文責 「ヨーガス長屋」住人 長島良枝
 99年は今までで一番多くの映画を観た年でした。数えてみると、17本!!
 全てが良い作品だったわけではなく、忘れかけてしまっているものもあります。
 その中で特に良かった5作品をあげて、感想などを自分勝手に述べてみたいと思い
ます。

 まず、第5位は、『恋におちたシェイクスピア』
 有名な〔ロミオとジュリエット〕が出きるまでを、シェイクスピアのラブストーリ
ーのもとに描くというストーリー。
 何といっても主役の2人が素敵! ゆえに画面の中が綺麗!!
 ストーリーもテンポが良いので、ラブストーリーにありがちな中だるみがなく、飽
きのこない作品だと思います。(すでに2回観ました)

 第4位は、『メッセージ・イン・ア・ボトル』
 偶然に浜辺で拾った瓶の中のラブレターがきっかけで生まれたラブストーリー。
 愛するということに傷ついている2人が、再びお互いを愛して、その傷を埋めよう
としている姿がとても綺麗に描かれていて、切なくなってしまいました。 

 第3位は、『エイミー』
 大好きなパパが目の前で亡くなったショックで、歌でしかコミュニケーションがと
れなくなってしまった少女のストーリー。
 歌でだったら聞くことができて、会話も歌で、というのは大好きなパパが人気ミュ
ージシャンだったからなんでしょうが、それがミュージカルのようで、映画の中を明
るくしています。
 マジメな警官たちがエイミーの捜索時に歌って呼びかけるシーンなど、真剣なだけ
におかしくて、そして、とても心温まります。
 そんな場面がところどころにあり、優しい気持ちになれる映画です。 

 第2位は『パッチ・アダムス』
 一度、精神を病んだことのある男が医者を志し、患者たちの〔病んだ心〕を治して
いく、という実在の人物を描いたストーリー。
〔パッチ=修理する〕のその名の通り、長く苦しい闘病生活を送る患者たちの〔病ん
だ心〕を救っていく姿、その〔修理〕の仕方がとてもユニークで、心がシーンとしま
した。 自然とその魅力のもとに仲間が集まり、人と人とが触れあうことの大切さを
感じました。 

 そして、第1位は、『ライフ・イズ・ビューティフル』
 ナチスの収容所に入れられてしまったユダヤ人の男が、愛する妻と息子を不安や恐
怖心から守りぬく姿を描いたストーリー。
 ナチスの収容所の様子は細かく描かれてませんが、妻と息子を守ること、それが自
分の生きてる証として、明るく振る舞う姿から、返ってナチスの残酷さを感じました。
映像で観るよりもつらい歴史の出来事だということが伝わってきた気がします。
 最後まで笑顔を絶やさず、つらい収容所生活をのりきった男から、生きていくとい
うことへの勇気をもらいました。今もその時の感動は忘れられません。

 こうやって振り返ってみると、〔マイベスト=心に残る作品=感動したもの(何か
精神的に訴えかけるものがあるもの)〕という図式が成り立ちました。
 その中で『恋におちたシェイクスピア』は、ちょっと異質かもしれません。
 2000年はどんな映画に出会えるでしょう?
 ただ「面白い」だけの映画より、いつまでも心に残る、そんな作品に今年も出会え
ることを期待しながら、たくさん観に行きたいと思います。

2000・1・10 UP