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新宿末広亭

2000・4・29(祝) 昼の部

『 新 宿 末 広 亭 』の 客 席 か ら

文 モカ

 末広亭の木戸のお兄さんの言うに、「今席は、超豪華メンバー」らしい。
 もちろん、それを目指してきたわけだからと思いつつ、入ると、あれれ ……。GW
初日なのにかなりの混み様。やっぱり超豪華メンバーのせいか。
 寄席歴の短い私だけど、これほどの入りを見たのは真打披露興行くらい。
 通常、寄席でこれほどって、、、、、、、こんなには、、、、。


 入ると、窓輝さんがやっている。急いで席に座って聞いていると、
 窓門会には入ったものの、窓輝さんの落語は初めて聞くという事に気がついた。
 意外と聞く機会ってないもんだなぁ。
 でも、お話は知っている。「タヌキがお札に化けて、借金取りを騙す」というお話。
 

 漫才・落語・曲独楽と続くうちに、どんどん席が埋まっていって熱気が出てくる。
 

 吉窓さん。 落語に続いて今回も踊りを披露してくれました。今日は踊りも落語も
ノリノリでした?
 はじめて吉窓さんの落語を聞いた私の友達は「本人が楽しそうにやっているね」と
のコメント。
 同感。やっぱり、客席が満席だとノリノリになるのでしょうか。
 もうこの頃には、ほぼ椅子席は満席。


 紙切り・落語と続くうちに、今度は脇にあるボックス席のような靴を脱いで座る畳
席も満席状態。
 ・・・あの席はいったい・・?
 中入りになると、そこに座っている人たちは大の字で寝てしまうし・・・・。不思
議・・・というか不気味。特等席・・?
 私は、椅子席のほうが正面から聞く事ができていいと思うんだけどなぁ。


 なんて思っていると、あっという間に、圓窓さんの登場。
 演目は本年度からの小四の国語の教科書にも載っているという[ぞろぞろ]。


 お稲荷様によい事をした夫婦のお店がその後に大繁盛。
 1足しかなかったはずのわらじが、1足売れるとまた1足。売れるとまた1足、ぞ
ろぞろ、ぞろぞろ、天井からわらじが涌き出てくる。
 雨降りも手助けとなり、わらじは涌き出る、売れる、涌き出る、売れるの大繁盛。
 

 それを見ていた隣のつぶれそうな床屋。繁盛の理由を聞いて、自分も真似しようと
お稲荷様に。
 高額のお賽銭を払って、お願いして帰ると、もう店には客がいる。
「さすが、効き目が早い」と、お客さんのヒゲを剃ると、なんと。
 あとから、新しいヒゲが「ぞろぞろ!」


 帰り道、友達と[ぞろぞろ]について語る。
私「あれは笑い話? 教訓がある? 欲を持つなとか」
友「んー、ッていうか、ちょっとホラーがはいってるよね」
私「言えてる。剃っても剃っても生えてくるなんてさぁ。考えただけでもぞっとする
 よね」
友「夏にあんな事が私達の身体に起こったら泣くよ」
私「やっぱりさぁ。剃ったら濃くなるっていう節は立証されたって感じだったね」
友「うん、やっぱり剃っちゃいけないんだよ」
私「でも、ヒゲは剃らないとさぁ」
友「今はヒゲだって永久脱毛あるんだよ。男性がするらしいよ」
私「へぇ。じゃ、あの床屋さんどんなにお参りしても、今の時代、失業だね」
友「でもさ、頭の禿げている人相手だったらどう?」
私「おお! いいそれ! 剃れば剃るほど生えてくる!」
友「もう、髪様誕生! だよ」
私「じゃさ、じゃさ、金融業の人がお参りに行ったらどう?」
友「貸せば貸すほど、お金が増えてくる!」
私「いいね! 私も開業するよ!」
友「・・・でもさ、金融業ってみんなそうじゃないの?」
私「・・・そうだね。お参り関係ないね」


 ・ ・・小学生の方がまともな討論をしていると思いマス。

2000・5・14 UP







1999・12・22 夜の部

『 新 宿 末 広 亭 』の 客 席 か ら

文 ゆみこ

 クリスマスも近い12月22日、国立劇場へ歌舞伎の[芝浜]を観に行った。
 その後、会社帰りの友達とごはんの予定だったのだが、待ち合わせの時間まではまだ少
しある。とりあえず新宿に出て映画でも見ようかと思ったが、時間が中途半端で合わない。
じゃあデパートへでもと思いかけたが、せっかくだから末広亭に行ってみることにした。
 思い立ったらすぐに入れる。そこが寄席のいいところだ!(そして時間が来たらすぐ出
られる。そこも寄席のいいところ(笑))
 満員ではなかったが、客席はそこそこに埋まっていて、経営者ではないのに、まずは一
安心。

 入ってみるとギター漫談のぺぺ桜井さん。
 私は落語にハマってまだ一年、寄席や落語会も100回くらいしか聞いてないけれど、
ぺぺ桜井さんはもう何度目だろう? ご縁があるらしい。ちょっとすねたような冷めたよ
うな口調で、短調と長調の違いを説明してくれる。(笑)
 同じ話を淡々と語っているのだが、何故か面白い。お腹抱えて笑うということはなくて
も、会うと嬉しい芸人さんの一人になっている。最近多い若手の会の中に、一人、ぺぺ桜
井さんが入っていたらどうだろう?

 と楽しく想像している内に次の噺家さんが登場。右朝師匠、演目は[転失気]。
 右朝師匠はたぶん初対面だが、[転失気]という噺は、多く聞いている噺のひとつだ。
ご縁とは噺にもいえることなのかもしれない。今年100回行った中で一番多く聞いてい
るのは、たぶん[野ざらし]。続いて[寝床][粗忽の釘][まんじゅう怖い][転失気
]などなど。
 しかし、同じ噺でも演じ手によって全然印象が変わってくるところが、落語の面白いと
ころ。それに[転失気]という噺は、[転失気]のなぞ(?)を知ってから聞いた方が楽
しめるかもしれないと今日改めて実感した。今日のお客さんは初めての人が多いとみえて、
「転失気をおつけの実にして食べちゃった」と言われてもあまり反応がないが、私はもう
最初から受けていた。それにしても、右朝師匠の様子はとても品が良くていい。

 次に出てきたのが、さん吉師匠。
 私にとっては2回目だ。以前、聞いたときも漫談だったが、今回も漫談だった。落語は
あまりしない方なのかな??  落語を聞いていないのに、出てきてすぐに前回のことを
思い出せたのは、やっぱり面白かったからだろう。
 時事ネタや楽屋の話で会場を沸かせる。実は柳家びいきの私にとって、漫談の中でも、
大師匠小さんの話が聞けるのもうれしいことのひとつ(笑)

 続いてアコーディオンの近藤しげるさん。
 芸術祭賞を受賞したこともあるらしい。そう思って聞くと、なにげなく弾いているアコ
ーディオンの音も、かなりのテクニックを感じる(?)。漫談から歌へ流れ、私の知らな
い世界に入る。ちょっと川柳師匠を思い出した(笑)。お客さんのリクエストの[九段の
母]をなんと3番まで熱唱してくれて、拍手喝采の中、お後と交代になる。

 初対面の志ん輔師匠のお噺は[相撲風景]だった。
 先ほど、さん吉師匠が漫談の中で誉めていたので、志ん輔師匠が楽しみになった。同業
者が誉めることほど、お客にとってインパクトがあることはないと思う。
 実は私、この噺の後半の、〔トイレに行きたいのだが、行けず手近で済ませてしまう〕
という場面の辺りから、想像するとほんとに「うわー」と思ってしまうので、あんまり真
剣に聞かないようにした。演者にはごめんなさいと思いつつ、今日もそのつもりでいたの
だが、自分で制御する前に、いつの間にか聞き込んでしまっていて、「うわー」。きっと
高座に向かって思いっきり嫌〜な顔をしていたと思う。志ん輔師匠、ごめんなさい……。

 続いて文朝師匠の登場。
 噺は意外にも(?)、[子褒め]だった。私は前座の人でしか聞いたことのない噺だっ
たが、こうして寄席番組の中程で真打の師匠が演る[子褒め]というのは、私にとってと
ても新鮮なことだった。知っている噺だと、どうしても聞いてる頭の中で「次はこうなっ
て、こうなって」と先へ先へ進みがちなのだが、文朝師匠の[子褒め]は柔らかく、すっ
ぽりとその世界に入っているような感じがしてよかった。
 以前、花緑師匠がやはり前座噺の[道灌]や[初天神]などをごく丁寧に熱っぽく演っ
ているのを聞いたときも、前座噺でもこんなに面白くなるんだと感心したことがあったが、
今日もその芸の違いを見たような気がした。

 次は落語から変わって、巳也さんの独楽の芸。
 女性の曲独楽は初めて見たが、落ち着いていて、間の話もとてもうまいと思った。刀の
刃渡りの刀はさすがに短刀だったが、巳也さんが師匠に見せたら「う〜ん」と唸ったと言
っていた投げ独楽は、とても迫力があって見ていて気持ちがよかった。

 そして、いよいよ中トリの円窓師匠。
 後ろの席で中年夫婦の奥さんが「そろそろ帰ろう」と言っているのを、旦那さんの方が
「もう一人だけ見ていこうよ、いいから」と止めている。
 落語協会の広報紙[ぞろぞろ]でおなじみの円窓師匠の落語も、実はちゃんと聞くのは
初めてだった。颯爽と登場し、マクラに入るが、生憎というか間が悪く、さじき席へ予約
のお客さんがぞろぞろと入り始めた。気の弱い私は、こういうのは落語家さんがやりづら
いのでは、と気になって仕方なくなるのだが、円窓師匠は余裕でお客さんに話かけ引き込
んでいる。
 場内がだいたい落ち着き、そろそろ、噺に入る頃、また第2弾の団体が入場してきた。
私はまた気になって師匠を伺ってみたが、今度はそちらにチラッと目を向けただけで、そ
のまま、[町内の若い衆]へと入っていった。
 しかし、私にはどうもあの「チラッ」の目が、挑戦的に見えてならなかった。
 噺はテンポ良く進んでいく。いつの間にか団体客のことなど忘れ、噺に引きずり込まれ
た。そして、あっという間に落ちがきて、幕が降りるとともに師匠は去っていった。
 ふと気がついて団体客の方を見てみると、まだコートも脱がずに聞いていたらしい。
 そして、後ろの夫婦の奥さんの声が聞こえた。
「うまかったねえ。もう少し見ていこうか」
 やっぱり、師匠のあの目は落ち着かない客に対する挑戦だった。
 ハァー、やりましたねえーと思い、気持ちが高揚した。

 中入りと同時に席を立った。
 残念ながら、今日はここまでしかいられない。そろそろ待ち合わせの場所へ向かわなく
 ては。
 しかし、やっぱり映画でなく寄席にしてよかった。今夜はちょっといいものが聞けた。
 おかげで私の寄席通いは、まだ当分続くことになりそうだ。(笑)

1999・12・30 UP




『末広亭友の会』 会員募集


この度、多くの方に寄席芸を楽しんでいただこうという趣旨のもとに、
末広亭友の会を作りました。

年会費:10,000円  入会金:なし

特 典


三ヶ月毎に一枚ずつ、チケット(三ヶ月有効)がもらえる。
つまり、年に4回、無料招待がある。
落語グッズ(センス、手拭い、茶碗の内、二品)ももらえる。
会員証を提示すれば、チケット(2700円)が200円引き。

問 合 わ せ


末広亭  T 03-3351-2974  F 03-3341-2282

                             1999・8・吉日 UP