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鈴本演芸場

『 窓樹改め 萬窓襲名真打昇進披露公演 』の 客 席 か ら

2001・9・26
鈴本演芸場・夜の部





ま ず は 番 組

文 弥助


道灌     三之助
  (マジック) 美智
  新寿限無   円丈
  初天神    権太楼
  ろくろっ首  扇橋
  (津軽三味線)元九郎
  鬼の通い酒  圓窓
  例の漫談   こん平
  禁酒番屋   金馬
中入
  (口上)   こん平(司会)
         木久蔵
         扇橋
         萬窓
         圓菊
         圓歌
  (漫才)   のいる
         こいる
  饅頭恐い   圓菊
  彦六一代記  木久蔵
  GアンドG  圓歌
  (曲独楽)  小雪
  お花半七   萬窓


ピ ン ポ イ ン ト 感 想

 $「例の漫談」というのは、あの人はいつもの例の漫談です。(笑)
   ずーっと前(私が高校生の頃)、あの人が[お花半七]をやったのを聞いたこと
  がありますが……。
 $ 口上に幹部がずらり6人並んだのにびっくりした。師匠と本人のほかは二人く
  らいと思っていたので。
 $ 圓窓師匠の噺[鬼の通い酒]、初めて聞きました。
 $ 萬窓さんの[お花半七]、前に聞いたときよりもよかったです。噺に若さが感
  じられました。
 $ 披露興行のときには、お客さんからのもらい物を高座にいろいろ並べる人が多
  いが、今回は一斗樽とウイスキーがおいてあるだけで、非常にシンプルでよかっ
  た。





噺 の 絵 が 浮 か ん だ

文 ぺり


 萬窓師匠、おめでとうございます。
 あの[お花半七]、絵の浮かぶ楽しいお話でした。
 圓窓師匠の[鬼の通い酒]も、きれいな絵の浮かぶお話でした。
 こういうのって芸の伝承なのでしょうか。
 他の寄席芸でも、いっぱい笑えた。
 萬窓師匠はハンサムだった。もっと前の席で見させていただけばよかった。
 鈴本は末広亭よりきれいだった。机がついていて面白い。


 さて、終演後、打ちげに誘ってもらった。
 圓窓師匠もご一緒して下さった。
 その打ち上げでは、ビール:3杯か4杯(いい気持ち)、たばこ:3本か4本(よ
ろしくない)、お料理:いろいろ(おいしかった)。特に薩摩揚げ(大変よろしい)
すっごく楽しかった。
 カルさんや仮名さんに初めてお目にかかれた。お二人の薩長同盟は頼もしい。
 楽しい気分のまま布団に入った。幸せ。
    (今日読み終えた「ブリジット・ジョーンズの日記」風に書いてみました)





こ れ か ら 目 を 離 さ な い

文 仮名


 都合で行けない予定だった今回の披露興行、都合で急遽行ってまいりました。
 同世代の萬窓師匠と私は、これからも同じぐらい生きていきます。(多分)
 生きている間中、萬窓師匠のご活躍の噂を聞くたびに「あぁ、私はこの人の真打昇
進を目撃できなかった」と悔いるのかと思うと、無念で無念で、、、、。


 今回、行けてよかったのか、無駄なことをしたのかの判断は、今後の萬窓師匠のご
活躍次第で後年判断させていただきます。
 その判断を下すためにも、今後のご活躍から目を離すわけにはいきません。
 女は執念深いんでございます。


 さて、私、”披露興行”と名のつくものは一昨年の馬生襲名披露と今回と2度しか
 ありませんが、会場のめでたさの中の緊張感、お客さんが気持ちで高座を押してい
 る雰囲気は、とても好きです。
 口上のトチリも含めて、寄席ならでは、、、なのではないでしょうか。
 三本締めは、落語を好きになってよかったなぁって、心から思う至福の時です。


 萬窓師匠の高座は、予想に反してとてもリラックスされているように見えました。
噺の流れも柔らかくて、ご本人も楽しそうに見えました。
    (見えただけで本当は大変だったと思います。勝手な感想で、すみません)
 噺の中の唄(?)の披露、いいノドでした。
 トリにふさわしい、とてもいい一席だったと思います。


 昼夜問わず平日の寄席は、平均的なサラリーマンには厳しいですよね、、、。
 その無念さを抱えていらっしゃる方には、寄席へ立ち寄る時間が与えられますよう
に、お祈りしています。
 そして、時間はあるけど、まだお迷いの方がいらっしゃったら、あとの興行日に是
非是非お運びくださいますように、強力に推薦をばさせていただきまして、今回の〆
とさせていただきます。


 上野鈴本の入り口の横は、いつからあんな飲食店になっていたんでしょう?
 打ち上げは寄席の時間に勝るとも劣らぬ、笑いの絶えない至福のひと時でした。
 圓窓師匠、弥助さん、ペリさん、無弦さん、そして瞼の和田さん、楽しい夜をあり
がとうございました。





気 迫 の こ も っ た 語 り 口

文 無弦


 高田屋に集った面々は師匠にご馳走になりまして、まことに有難う存じました。
 これで感想のひとつも書かないとなると、顔向けできませんね。


 全体に普段の寄席とは違った熱気と「華」があり、豪華な顔ぶれと合いまって誠に
豊穣なひと時でした。心底楽しめました。
 演ずる側と見る側の双方に目に見えぬオーラが行き交っておりました。
 演者で印象に残ったところから・・・


 円丈師・・・[寿限無]の面白さを損なわず古典性の枠内でそうきたか! と感心
させるアレンジをしてみせた。
 よくあるお茶の葉を入れ替えず、お湯だけ変えて現代化したつもりのアレンジとは
違う。
 でも、老婆を必要以上に罵倒する等、品位に欠けるのは相当な問題か。


 権太楼師・・・[初天神]。先日、鈴本のトリで聴き、上手さに唸ったが当夜も良
かった。
 もしかしたら、志ん生師が持っていたいい気な図太さ、即興性、大きさに近づける
人だろうか?


 こん平師・・[例の漫談]。某客のこの人の高座を観てる時のなんともいえず不機
嫌な視線が全てを語っていた。
 ただ、披露口上の時のきりっとした態度は割と良かった。


 円歌、金馬師・・・[GアンドG][禁酒番屋]。観て楽しい。眼福。お懐かしい
味わい。


 圓窓師匠・・・[鬼の通い酒]。いつもながら話のきびきびした運び・語り口の上
手さ、情景描写の的確さ、豊かな詩情などさすがです。
 ただ私には、今回に限って「物語の筋」そのものはあまりピンときませんでした。
'鬼'が登場する事で大きくなるかもしれない悲しさ、ファンタジー、意外性等が少な
いように思えました。
 スミマセン。私の感受性が鈍いだけかも・・・・・・。


 萬窓師匠・・・[お花半七]。プレッシャーをおくびにも感じさせぬ堂々とした高
座でした。比較的短時日の間に、師匠の同じ噺を伺えた訳で、その意味でも興味深く
拝聴しました。
 前回に比較して、格段に気魂のこもった語り口で客席を圧倒して、見事でした。
 夜道、お花にいつのまにか先を越されてしまう場面の描写ひとつにも、そのスピー
ド感や滑稽さの妙にハッとしました。
 叔父さんの二階で二人きりになってからの推移も、若い色香の立ち上るような的確
な情景・心理描写でした。
 〆の仕草も見事に決まり!


 何度か伺ってきて、ハンサムで整った姿形そのままに、端整な高座ぶりが印象に残
っております。
 まだお若いから妙なアクの強さより、将来の為には其の方が大切だろうと思う反面、
優等生的なフラが無い感じのまま行かないで欲しいとは思っておりました。(素人の
勝手な言い草,お許しください)
 でも今回の大きな芸風に接し、そうした事も年輪と共に自然と身に付けらるだろう
な、楽しみだな、と感じました。ますますのご活躍を期待しております。





上 品 な る 仕 上 げ

文 宇田川


 さて、萬窓さんの披露興行聴かせて頂きました。
 萬窓さんの噺の選択もよかったですね。
[お花半七]はよく知られている噺ですが、上品に仕上げるのは難しい噺で、ひやひ
 やして聴くこともあるのですが、圓窓さんの指導よろしく何時でも心地よく聴いて
 ますし、9/26は特によかった。
 圓窓さんの[鬼の通い酒]もいいですね。また、どこかで聴いてみたいです。





肝 っ 玉 の 座 っ た 笑 顔

文 野火助


 26日の萬窓さんの披露目最前列で見せて頂きました。
 萬窓さん、堂々としていましたね。あの肝の座った笑顔がいいですね。
 トリの[お花半七]もこのところ、寄席の定席でも出くわすことの多いネタですが、
萬窓さんのは丁寧で、上品でよかったです。
 萬窓さんは、地味な努力が地力となっているだけに噺に厚みがあって。個人的には
好きな芸風の噺家さんですので、これからも応援したいです。
 口上で圓窓師匠のおっしゃった、「真打昇進の披露目を何人でしようが、数は問題
ではない。一人ひとりの質(良いか、悪いか)が問題」という考えには大きく同意し
たいです。
 どの世界でもそうですが、出来る人はどんな処にいても光るし、埋もれることはな
いと思います。
 技術や芸を偏差値で量っても仕様がないですから、自分をいかに磨くかの一点のみ
ですね
2001・10・31 UP






『 圓 窓 の ト リ 窓 門 ズ ラ リ 』公演の客席から

2001・7・24
鈴本演芸場・夜の部
千馬千恵の”まるがお通信”No52 

 $ 35℃は当たり前の東京。連日猛暑に熱演の鈴本で涼もうってものです! ホ
  ラ、窓輝さんの涼しげなお顔立ち。声も安定して聴きやすい[転失気]。
 $ ニューフェイスの和助さんをヴェテランの和楽さん小楽さんがしっかりとバッ
  クアップ。息のあった芸は見ていてすがすがしいです。(客席の方がダラーッと
  していて恥ずかしい!)
 $ 窓里さんの[桃太郎]。ずいぶんと聴きましたが、あいかわらずのテンポのよ
  さ、ひきこまれます。今、問題の「学校のセキュリティ」の話題も入れ、寄席と
  世相の風通しよい事、抜群!
 $ 本日の代演は文楽さん→文朝さんになっただけ。ほとんどプログラムどおりな
  のがうれしい。
 $ 吉窓さん。高座に上がるとトタンに雰囲気がパーっと明るくなります。マクラ
  の「レイボーブリッジ」で拍手が!!(吉窓ファン来てますね。これは心強い!
  !)[近日息子]。生きている本人を前に近所の人達がお悔やみを言う場面が所
  作を含めて、やたら面白い。
 $ 柳月三郎さんの津軽三味線の後、登場は、喜多八さん。あの噺(演題を存じま
  せん。圓窓注:[癇癪])、大昔に観たTVドラマ「おやじ太鼓」を思い出しま
  す。御存知でしょうか?)しんどうえいたろう(漢字が・・・)という俳優さん
  が主演でしたが。
 $ 鈴本の客席に大きな雷が鳴ったところで、圓菊師[鮑のし]。ふつう、口上を
  聞いて、べらんめえ調に感心してしまうのですが、この口上がなんだかハッキリ
 (?)言わなくても笑えてしまうのは話術? はい、お中入り!
 $ 紋之助さんの独楽が氷の刃の上を渡った後、窓樹さんの登場。窓門会ではミニ
  色紙、ありがとうございます。秋から真打ち、お忙しいのに色紙を一枚ずつ大変
  だった事と・・・、アレ? お着物の衿元が・・・、チョットてれんとしていま
  す。やっぱり忙しいのかな?・・・、気になるとどうも・・・。噺[権助魚]は
  つつがなく口演。9月26日の鈴本演芸場のトリ、がんばって!
 $ さん喬師。ホント、おっしゃる通り「秋風が吹き、東京もめっきり涼しくなり
  ました」って言いたいっ!!
 $ 「あした ひろし・順子」。今日のベストドレッサー賞はこのお二人に決定!!
 $ さて、圓窓師匠の[唐茄子屋政談]。プログラムには師匠のお名前の前に「面
  白くて楽しくて、ちょっぴりためになる」と書いてあります。(圓窓注:看板に
  は「ちょぴりためになる」って、っの字が抜けてんの(笑)。あたしゃ江戸っ子
  だよ(笑))
  聞きながら腹の中で言いましたよ。
 「若旦那、しっかりしてくださいよ。あなたが立ち直ってくれる為にどれほどオジ
  さん、オバ(ア)さんが心を砕いているか。
 『ちょっぴりためになる』くらいじゃダメ。しっかり料簡がわかってくれなきゃね。
 『唐茄子を売り歩くのはみっともない』なんて言うんだから、じれったいったら
  ありゃしませんよ。
   なぜ浅い笠にしたのか、その笠に青っ葉を入れる心遣い・・・。
   やっと担いだ天秤で路地を出て行く時でさえ、納豆屋にまで気を遣い、若旦那
  の姿が見えなくなるまで見送るオジ(イ)さんには頭が下がります。
   なのに、ヒョロヒョロの若旦那。そしてバッタリ倒れる若旦那。ああ、見ちゃ
  いらんない!」
   雷雨、麦茶、蚊柱、鰻・・・、噺に出てくるこれらの様子もまた一興。
   聞きながら一句  人情に 唐茄子暑く 迎えられ
2001・10・31 UP






          圓窓ひとり枕

鈴 本 の 唄 い 文 句

 圓窓 記

                            
 鈴本演芸場の看板を注意してみると、ちょいとした唄い文句が載っていることがある。
 九月上席の予告の看板に、それがある。
「今、寄席のどこが面白いか、見つけて下さい。寄席は十分に面白いはずです」と。
 そうなんだよ、そうなんだよ。
 これを後ろから言葉を替えて言うと、普通の会話になる。
「寄席は絶対に面白いはずなんだ。どこが面白いか、わかるかい?」
 前記の唄い文句は、通る人に問い掛けて、納得させようという、意気込みが感じられる。
 昼の部のトリは三遊亭金馬。唄い文句があって「お楽しみ。秋にいななく金馬噺」。
 高座でいななくんだね。ヒヒヒヒヒーンのヒンル席って。
 夜の部は、「馬治 改め 十一代目 金原亭馬生 襲名 披露興行」。
 これも一種の唄い文句。しかも、落語史に輝く唄い文句。
 それに、当人は「水も滴るようないい男」と己れを評しているそうだ。その水も滴る男が馬生になるんだから、観光地も黙ってはいないね。
 これがほんとの、水馬生って……。
                          
1999・8・吉日 UP