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俳句三昧

四九八句会 だくだく連句 句集諸々 御蔵山一日一句


第22回 四九八句会 

例会は 月に一度
初 回 2002年1月30日
第22回 2003年10月20日
18:30(月)
会場 "オフィス樹"稽古場


提出句(兼題「濁り酒」「添水(獅子脅し)」各1句 当季雑詠3句)
選 句(特選句 1句 / 秀選句 1句 / 佳選句 5句)
点 数(◎特選句 3点 / ○秀選句 2点 / ●佳選句 1点)


出席者(11名): ひでを 大蛇 初鰹 児遊 昴 晴坊
花留 千恵 圓窓 吉窓 輝窓
投句者(4名): 無銭 佐助 仮名 まど香
会報の打ち手 仮名





10月の最高点句 10点


           銀幕を退きし佳人や菊籬    晴坊


10月の高点句 6点


           車座の追分聞こゆにごり酒   吉窓


           光琳の構図きまりて添水音   初鰹


晴坊 19点
銀幕を退きし佳人や菊籬 ◎ひ◎昴○児●吉●み 10
きれいごとばかりいふなと濁り酒 ○恵●昴●鰹●ひ
呑みすぎて尻もちをつく僧都かな ◎恵
添水鳴る互いに吾に戻りけり ●鰹
初成りの柿の色づき日々ながめ
吉窓 14点
車座の追分聞こゆにごり酒 ◎鰹○蛇●昴
素裸で風呂屋の庭の猪おどし ◎輝●昴
踏切はあかず刈田の広さかな ○晴●蛇
せいろ待つそば屋に響く添水かな ●み
どぶろくの徳利振ってる赤ら顔
千恵 13点
青蜜柑免許とりたて伊豆の旅 ○吉●花●蛇●児
にごり酒母校の歌の荒ぶりて ○鰹●花●み
忍び駒付けし音色の夜長かな ○ひ
畳の目かぞえるばかり添水鳴る ●吉
入院をしてゐると聞く藪からし ●晴
圓窓 10点
―貞丈師を悼む 身に入(し)むや釈台使ふ人のなく ○昴●晴●み
膝に座す孫の頭上の濁り酒 ◎吉●児
じらすごと間を含ませて添水鳴る ●蛇●鰹
月を見し祖父逝きにけり障子貼る
はぐれたる子の泣き行くや秋の暮
花留 10点
濁り酒さかなはお国なまりなり ◎蛇●輝
三味(しゃみ)の音切れて添水の調子入る ○み●鰹
箒きゆけば穂先にひかり稲の粒 ●ひ
秋祭ゆくあてもなし音花火 ●輝
初歩きよろけて優し御茶の花 ●輝
9点
菊の香や鳴子こけしの裾模様 ○圓●恵●児
円座して何の自慢や濁り酒 ●恵●輝
夕雀三尺跳んで鹿威し ●圓●花
粗壁の裾の日溜り冬菜売 ●恵
露冷えの夜をこつこつと古時計
みきを 8点
老いてなほ一人旅かな添水鳴る ○花●ひ●圓
闇市の空は紅色濁り酒 ●晴●恵●昴●児
くれなずむ質屋のネオン秋出水
撫子に霧はれ浮かぶ磨崖仏
きりとおし一人芝居の烏瓜
仮名 7点
寡黙なる父は栗剥く匠なり ◎晴
窓際のボスに栗むき習ひをり ●ひ●吉
集めきし落ち穂の束の重さかな ●圓●輝
添水鳴る爆音のニュース消してより
酔ひ合ふやいや見せまいか濁り酒
初鰹 6点
光琳の構図きまりて添水音 ◎花◎み
なん万のコスモス淋し色淡し
秋時雨肩に水玉日暮道
その恋の行方占うにごり酒
八百万ラッシュアワーの神無月
大蛇 6点
懐古することの多しや濁り酒 ◎圓●児
露天の湯満天おほふウロコ雲 ●昴
納骨を終へて揺れたるススキかな ●吉
背すじ立つ間合ひ正しき添水かな
誰そ彼と口ずさみけり秋の暮
ひでを 5点
―百尋は鯨の腸、美味なり
百尋(ひゃくひろ)を喰ひ底なしの濁酒 ●恵●晴
鹿威し赤子の声の遠くより ●花●圓
秋霖の防犯カメラ我を見る ●吉
毛皮屋の隣の画廊枕絵展
松手入ノンちゃんの雲浮んでる
無銭 5点
永観堂去年と同じ添水聞く ◎児
黒髪のはらりと解けて銀杏散る ●鰹
遠くより友の来たるや濁り酒 ●蛇
餌くるる人に寄り来る秋の鴨
宗匠は十徳姿秋澄めり
まど香 4点
武者のごと命削りし上(のぼ)り鮭 ●圓●花●晴
松茸のおそるおそると泥落とし ●蛇
どぶろくを造りし祖父の下戸上手
文字ふやけ睡魔意気込みばったんこ
ちゅら島の心染めよと鳳仙花
佐助 2点
粕汁にどぶろく少し入れてみる ●ひ
こっくりと間合いのあうばったんこ ●輝
帰郷の日祖母を誘って墓参り
児遊 1点
手折りたる紅葉茶席の主客かな ●み
百舌鳥聞きし朝より冷えの強まりて
詩仙堂添水響きて人まばら
旅先の蕎麦屋自慢のにごり酒
重陽に古人(いにしえびと)まね酒を酌む
窓輝
秋暮るる原のバッタもくたばった
ごんぎつね添水鳴るとも荒し来て
濁り酒縁の下に隠しおり
秋の蚊をパチンとやるは気がひける


 俳句うれしや 十
        『花より、団子』   文 花留


 「俳句の会、やるョ」と圓窓師。「エーッ、本気ですか。やだ!」と私。
  西武のコミカレの講師として来て頂いた木下さんに宗匠をお願いすることにし たと、
 兼題の「梅」を戴いたのは、2001年も終わりに近い頃。
  第1回は2002年1月29日。片手に酒のひでを宗匠と会の進行指導の木の葉さんと
 、迎える面々は気心の知れた10名。東中野のアトリエ樹の稽古場の空間を借り、18時
 30分、記念すべき当日の席題「雪女」。
「 飲みながらやりましょう」と。句も出て選評で座も和む頃、空っ腹で酒に飲まれてしま
 い、悪夢! 終わってみれば窓輝さんが最高点句を、という結果。
  次回から反省も兼ねて『パシリ』を買って出ることに。会も重ねると、食・酒の好みも
 わかり、セッティングの楽しさを味わうことに。
  さて、俳句との拘わりは10年位前、落語好きの安藤蘇山さんと噺家さんとで高尾山へ
 登って、山頂句会でもと始まり、会を重ねたけれども、噺家さんが忙しくなりそれっきり
 。
  本当に好きな事なら続けていたかも知しれないが……。
  そして今回のお誘いは、言葉のキャッチボールの楽しさで、心地良く乗ってしまった。
  選句は苦。選評の折、何が飛んで来るやら、宗匠の飴と鞭で一喜一憂。
  良い年代の組合せも話がはずむ。
  毎回の句作りは勢いだけ。化粧も、料理も、念を入れると失敗ばかりの人生。
  四九八句会での自慢は、2003三年11月迄、無遅刻無欠席(内、酔いつぶれ2回)。
  句作りの前に、安くて美味しいものを探している私。3日、3月、3年の区切りも、二
 ツクリア! 継続は力なり、って事も有るし、これで意外と忍耐強い。
  ナーンて。
  本当の「俳句うれしや」になる日は、来るのでしょうか。


 さて、次回は、11月25日(火) オフィス樹
  兼題「間引き菜」「ちゃんちゃんこ」各一句  当季雑詠 三句

2003・12・27 UP








第21回 四九八句会 

例会は 月に一度
初 回 2002年1月30日
第21回 2003年9月25日
18:30(木)
会場 "オフィス樹"稽古場


提出句(兼題「秋の水」「水の秋」一句 当季雑詠三句)
選 句(特選句 一句 / 秀選句 一句 / 佳選句 五句)
点 数(◎特選句 三点  ○秀選句 二点  ●佳選句 一点)


出席者: ひでを 木の葉 千穂 初鰹 花留
晴坊 千恵 圓窓 吉窓 輝窓 佐助
         11名
投句者: 無銭 児遊 みきを 昴 わかめ
 まど香
                   6名





九月の最高点句 十点


      名月や戦乱予兆の星赤く      ひでを


九月の高点句 八点


      舟着いてとんと途切れし愁思かな  昴


               ひでを 十六点
名月や戦乱予兆の星赤く ◎葉◎穂●恵●花●晴●輝 10
一棹の撓(たわ)みて深し水の秋 ◎み●圓●吉●鰹
秋の雨街の防犯カメラかな
竹林の館に遊ぶ水の秋
木の葉 十五点
かごの内鬼灯かさこそ笑ひをり
◎ひ○鰹●圓
暮れかかる町なほ暗く秋の雨 ○み●穂●輝●佐
ちりちりと胸のやけどやとんがらし ●圓●花●穂
神田川鯉のゆるりと水の秋 ●圓
花留 十三点
水の秋つぶやきほどの泡はじけ ◎圓●ひ●鰹
銀の腹指はね返す秋の鯖 ◎輝●晴
たはむれに裾紮(から)げれば秋の風 ○ひ●穂
恋女お七舞へ舞へ緋のカンナ ●恵
十二点
舟着いてとんと途切れし愁思かな ○晴○恵○吉●ひ●み
水底(みなぞこ)の小石数えて水の秋 ●花●穂
濃竜胆供へてありぬ岩祠 ●み
ギター弾く若者のゐて秋日影  ●圓
晴坊 十一点
しまひ風呂吐息をつけば鉦叩 ◎吉●ひ●葉●恵
友見舞いこだわり溶けて水の秋 ◎佐●葉 
キャビアより紫蘇の実がよし酒とめし ●恵
飛ぶたびに雀ちりぢり野分中
吉窓 八点
一丁の豆腐しゃくりて水の秋 ◎花○圓●恵
義母の墓たわしでゴシと秋彼岸 ●鰹●佐
寄りそいて火星ながむる水の秋
身離れの良さにごきげん秋刀魚かな
まど香 七点
渡り鳥さぞや地球の丸からむ ○花●穂
ほろ酔ひにちんちろりんと廻り道 ○佐
魚の背の藻を梳る水の秋 ●み
沢庵を切り損じてか居待月 ●葉
圓窓 七点
秋水や無言のままの渡し舟 ◎恵●花●ひ●み
秋簾明け方の雨乾かせて  ●吉
眠りをる手の針ぴくり夜なべかな
貰ひたる鈴虫ひと晩鳴いたきり
児遊 六点
地に落ちてもがき空(くう)抱く秋の蝉 ○葉●み●吉●鰹
魚跳ねて波紋も流る水の秋 ●輝
吾亦紅は私の花よと言ひし女(ひと)
眼鏡取り肩ぎゅっと揉む夜なべかな
みきを 六点
秋水に身をまかせたる葛(くず)かづら ◎鰹●花
曼珠沙華戦争(いくさ)ばかりの少年期 ●吉●葉
穴惑回転寿司の夜の皿に
沖花火流燈一群片光る
無銭 五点
キリストと釈迦と向き合ふ夜長かな ○穂●晴
心底の石を磨くや秋の水 ●葉●晴
初鰹 五点
満月のうさぎびっくり火星人 ●ひ●佐
虫の音に右と左と上と下 ○輝
加茂と鴨古都を映して水の秋 ●晴
菊の祭酒よりビール新暦は
わかめ 四点
真鰯の哀しき瞼解き放つ ◎晴●佐
ななかまどつんのめりたき炎かな
身の管の少し疼いて水の秋
秋の段登りつめれば庵ひとつ
千恵 二点
湯治場の山苞(やまづと)浸かる水の秋 ●吉●輝
鶏頭や町内知らるロック狂
すすきの穂カーブまもなく田端駅
芙蓉なぞ食ふや仔犬のリード引く
千穂 一点
銀杏の実を投げ笑う田舎道  ●輝
カラコロと転がしぱきりくるみ割り
高き空とびたつ飛沫(しぶき)水の秋
我毛香マッチ頭をゆらゆらり
窓輝 一点
水の秋恐る恐るとのぞきみる ●佐
運動会フォークダンスをうきうきと
秋の夜レンタルビデオ発泡酒
佐助
秋晴れの人あたりのいい陽のあたり
長雨と残暑を耐えた水の秋
海の家なぜかおでんが売れました
冷凍からようやく解けて旬さんま
室内を冷しつづけた水の秋
秋だなあ思うまなこに水の秋


 駄句学事始 『落語の推敲』                    文 圓窓


 以前、テレビで小林一茶を扱ったドラマがあった。
 期待して見たのだが、いくつかの場面、場面で一茶がいとも簡単に名句を口から連
発するので、「この俳諧師は推敲をしなかったのか」と疑問に思ったことがある。
 あたしの愛読している俳句雑誌類には「俳句には推敲という大事な作業があって」
という教えが必ず載っている。仮に、松尾芭蕉が推敲を重ねていなかったら、「俳聖
」とは言われなかったであろう、と推察できる。
 芭蕉の有名な推敲例を捜してみた。


   山寺や石にしみつく蝉の声
   淋しさの岩にしみ込むせみの声
   さびしさや岩にしみ込む蝉のこえ
  閑さや岩にしみ入蝉の聲


   何とはなしになにやら床し菫草
   何となく何やら床し菫草
  山路来て何やらゆかしすみれ草


   古池や蛙飛ンだる水の音
   山吹や蛙飛込水の音
  古池や蛙飛こむ水のをと


   名月や池をめぐって夜もすがら
  名月や池をめぐりて夜もすがら


 話は、落語に飛ぶ。
 太宰治の「貧の意地」を落語にアレンジするにあたって、あたしは日々、帰宅する
と、直にパソコンに向かい修正を上書きして保存するという作業を続けた。
 これすなわち、推敲である。
 その公演が十月の十七日からの三日間だったので、月に入って間もなく高座本作り
にかかり、稽古や他の高座で試演しながら、毎日のように推敲に推敲を重ねた。プリ
ンターから吐き出された用紙の枚数は電話帳並であろう。
 太宰も推敲を重ねたに違いないと、ふと思ったことがある。
 西鶴の「諸国ばなし」を基に「新釈諸国噺」を書き上げた太宰は、前書きに「これ
は西鶴の現代訳というようなものでは決してない。古典の現代訳なんて、およそ、意
味の無いものである。作家の為すべき業ではない」と述べている。といって、太宰は
西鶴を甘く見ているのではない。「西鶴は、世界で一ばん偉い作家である。メリメ、
モオパッサンの諸秀才も遠く及ばぬ」とも述べているように、多大な敬意を払ってい
る。
 そこで、あたしも高座本の前書きに「同じく[貧の意地]という題にしたのである
が、これは太宰の現代訳というようなものでは決してない。文学の現代訳なんて、お
よそ、意味の無いものである。噺家の為すべき業ではない」と洒落に述べたいと思っ
ている。
 ついでに、「太宰は、世界で一ばん偉い作家である」とまでは書かないが、いろん
な意味で敬意を払うつもりである。
 そうそう。嬉しいではないか。太宰の「貧の意地」の中に、俳句があった。
 

  貧病の薬いただく雪あかり


 さて、次回は、十月二十日(月) オフィス樹
  兼題「濁り酒」「添水(獅子脅し)」二句  当季雑詠 三句

2003・12・25 UP








第9回 四九八句会 

例会は 月に一度
初 回 2002年1月30日
第6回 2002年9月30日
18:30(月)
会場 "オフィス樹"稽古場


兼 題 「馬肥ゆる」一句 「当季雑詠」三句
席 題 「新米」一句
提出句 六十四句
七句選 ◎特選 一句 3点 ○秀逸選 一句 2点 ●佳作選 五句 1点


出席者: ひでを 木の葉 初鰹 花留 円ドル
大蛇 千恵 仮名 圓窓 吉窓 輝窓
10名
投句者: 無銭 わかめ 木の葉 純子
4名
欠席者: 円フラン 無弦 あきら さりあ
4名
合計 会員  名





今月の最高点句  八点


    そぞろ寒布団探しも夢の中    仮名


九月の高点句 七点


    乳ふくむ子に手影する秋日差し   花留


圓窓 十四点
酔ひ覚めのうがいついでの月見かな ○千○仮●大
襟足を濡らせしのみの秋時雨 ◎鰹○ド
還暦の歩み晩秋の中にあり ○輝●千
新米の膳ありがたや菜いらず ●輝
馬肥ゆる宇宙の一部吸ひ込んで
仮名 十三点
そぞろ寒布団探しも夢の中 ◎吉◎千○花
年ごとに新米の光増して見ゆ ◎ひ
微かなる球打つ声や馬肥ゆる ●千
駒ヶ根に金の稲穂を敷きつめり ●輝
種瓢箪(ふくべ)子にねだらせて入手せり
花留 十三点
乳ふくむ子に手影する秋日差 ○ひ○窓●ド●鰹●大
新米のこぼれて真珠の玉のごと ◎窓
蓮葉(はちすば)の露ぷるるんと天(そら)あおぎ ●窓●鰹
やせ猫と三月(みつき)の縁(えにし)秋の雨 ●仮
チンギスハーン駈けし草原馬肥ゆる
ひでを 十二点
文なくて筑波のひとより栗届く ●吉●ド●千●花●輝
朝顔の小さく咲いて九月尽 ◎大●千●花
馬肥ゆる干戈の響きいつの世も ●鰹
新米や夫婦で論ず水加減 ●輝
村あげて鮭待つころとなりにけり
円ドル 六点
馬肥ゆるアンパンの味濃くなりて ○吉●ひ
自惚れのへそのピアスを月照らす ●吉●ひ
吊橋や時を忘れていわし雲 ●輝
秋天や教会の屋根赫々と
新米やねずみ迷わず先に食い
無銭 五点
野分来て首傾きし地蔵かな ●大●窓●千
故郷の山鎮まりて初紅葉 ●輝●仮
寿量無経天下泰平馬肥ゆる
見上ぐるは月より他はなにもなし
木の葉 五点
捨てがたきおもひを捨てむ秋の墓 ◎大●吉
崖の道ぐいと進みし秋の駒 ●仮
湯気の香は年に一度の栗の飯
秋の雨心のうちをぬらすひと
大蛇 五点
いななきを空に吸わせて馬肥ゆる ●ひ●花●窓
秋冷のまわり舞台のごとく来る ●ド●花
炊きたての新米のゆげ囲む夜
なつかしき味求め得ず秋を行く
炎熱も良し圓生をしのぶ会
わかめ 五点
引越しのサーカス淋し秋の馬 ●吉●花
からすうり曳いて林を目覚めさす ●仮
君を追う歩幅が開(あ)いて秋の蝶 ●吉
くり返す旅の途中にカンナ燃ゆ ●ド
初鰹 四点
通草(あけび)食むフラッシュバック色の憶 ◎ド
場違いな街にひっそり獺祭忌 ●花
秋の馬地平のかなた夢を追い
新米はうれしはかなし舌の上
稲重き畦に咲きそう蔓珠沙華
千恵 四点
馬肥えてつとに夕食(ゆうげ)の菜浮ぶ ●花
磨かれし菊や歯車人動く ●花
あたたまる噺目をとじ秋の夜 ●大
秋の雨仕舞ひ忘れし風景画 ●窓
新米を炊き父親の帰り待つ
純子 三点
馬肥ゆる葉音かさこを夕まぐれ ●鰹
幼き日海と描きし鰯雲 ●窓
畦道に絵の具ぽとりと蔓珠沙華 ●仮
秋色(しゅうしょく)に染まりて八百屋衣替え
吉窓 二点
花道を直実乗せて馬肥ゆる ●仮
はばかりの窓あけて聞く虫の声 ●大
新米の丼飯へいざ喰わん
校庭を走る児早し馬肥ゆる
手作りの義姉(あね)の牡丹餅秋彼岸
窓輝 一点
馬肥えて旬の味覚は山越えて ●ひ
馬肥ゆる八百屋の彩に立ち止まり
新米に食す今日ぞありがたし


 駄句学事始    文 圓窓


 改めて、決めごと。
 選句の用語ですが、宗匠から「せっかく選ばれたのに『並選』というのはさびしいですよ。佳作
にしましょう」という発言がありました。
 それに合わせまして、句報の表記も「特選句を◎ 秀逸選句を〇 佳作選句を●」ということに
しました。
 さて、今回は、投句は続けていましたが、句会へ足を運んでの参加は初めてという薩摩の仮名さ
んが大暴れしました。最高点句をものにするやら、二位に食い込むやら。
 もう一つ。あたしの高校の後輩になります、純子さんが投句参加を始めました。
 この句会も色艶やかになって、ありがたいです。


 さて、次回は、十月二十三日(水) オフイス樹 稽古場
  兼題・「紅葉」一句、「当季雑詠」三句
  席題・「?」一句

2003・12・27 UP








第8回 四九八句会 

例会は 月に一度
初 回 2002年1月30日
第6回 2002年8月22日
18:30(木)
会場 "オフィス樹"稽古場


兼 題 「蟷螂(かまきり)」一句 「当季雑詠」三句
席 題 「新涼」一句
提出句 五十一句
七句選 ◎特選 一句 3点 ○秀逸選 一句 2点 ●佳作選 五句 1点


出席者: ひでを 木の葉 初鰹 花留 圓窓 吉窓
6名
投句者: 無銭 わかめ 仮名 大蛇 千恵 窓輝
6名
欠席者:円ドル 円フラン 無弦 あきら さりあ
5名
合計 会員  名





今月の最高点句 六点


     手のひらに蟷螂乗せて釈迦気取る 花留


今月の高点句 五点


     遠泳や前ゆく鼻に陽を集め     千恵


今月の高点句 五点


     鐘の音に腕焼かるごと終戦日    仮名


花留 十二点
手のひらに蟷螂乗せて釈迦気取る ◎ひでを 〇吉窓 ●かつお
折鶴に平和の息かけ広島忌 ◎ひでを
新涼や束ね髪ときそのままに ●木の葉 ●ひでを ●かつお
晩酌が酒になる日の名残酒 
秋雷や聖堂に影かたまりて 
圓窓 八点
動かざるかまきりやがて枝となる ◎花留
仲秋や二つ続けて深呼吸 ◎初鰹
新涼や稽古の続く昼下がり ●木の葉
広き原なぜ竿の先赤とんぼ ●吉窓
姿見ず甚句の上手き前相撲 
西日断つ文字焼けにけり大暖簾
無銭 八点
棒手振りのあと追いかける残暑かな 〇木の葉 ●圓窓
真四角の窓に溢るる鰯雲 ◎木の葉
ほうじ茶の横に羊羹魂迎 〇ひでを
蟷螂になりきれもせず色男
千恵 八点
遠泳や前ゆく鼻に陽を集め ◎吉窓 〇圓窓
磔も美しきかな箱の蝶 ●吉窓
蟷螂やまずは気負いて弧を描く ●花留
勲章をいぶしのらくろ蚊の退治 ●花留
ひでを 六点
灼ける屋根猫は歩幅を計りをり 〇花留 ●初鰹
炎帝の日矢せまりくる軒の内 ●圓窓
新涼の街を回りて肉を買ふ ●花留
蟷螂にわが顔いかに見ゆるらん ●初鰹
木目よき一位の箸や新豆腐
仮名 五点
鐘の音に腕焼かるごと終戦日 ◎圓窓 ●ひでを ●花留
ま新し盆提灯の火のともる
草払いそのかまきりの手借りたし
吉窓 四点
かまきりをつかみし指の痛さかな ●木の葉 ●初鰹
台風のそれてせわしき寄席の木戸 ●木の葉
新涼や宿題する子ひざを立て ●木の葉
かまきりの怒るを靴であしらえり 
秋の蝉昼のTVをしばし消し
わかめ 四点
縁うすき葬列で聞く蝉しぐれ ●吉窓 ●圓窓
石榴開く家族離散の裏庭に ●吉窓 ●ひでを
満月光私の窓を若くする
蟷螂の怒りに出会ふわが迷い 
初鰹 三点
蟷螂のキャメラアングル人を食ふ ●吉窓 ●ひでを
石榴の実ひとつづつ食む長き夜に ●花留
去る夏を羽根に映して法師蝉
祥瑞の器にあふるる菊の祭
大蛇  三点
稲妻を宿る力の神々し 〇かつお
本水のしぶきここまで夏芝居  ●圓窓
浄化するごとくいかづちのいかりゐる
かまきりの目を三角にして挑みけり
木の葉  一点
小さき身をそらして怒るこかまきり ●圓窓
新涼や異国の酒に夜を越え 
登高や馬子の唄声風にとぶ 
強がりの顔をそむけて汗といふ 
さよならといへずまたねとわれもこう
窓輝
蟷螂の鎌ふりあげてあみの中 
蟷螂の住み処今ではビルが立ち


 駄句学事始       文 圓窓
  今月は欠席者が多く、出席は6名でした。
  投句に点が入り、出席者は小さくなってました。(笑)
  選んだのは出席者ですから、面白いもんですね。
  花留さんがまた最高点者になりました。
  あたしが誘ったとき、あんなに嫌がった人が、なんです。(笑)
 「いくら師匠に誘われても、俳句だけはいやです」なんて言ったくせに。(笑)
  今では、この句会の飲食物購入係としてなくてはならない人、花留さんです。


 さて、次の九回目は、九月三十日(月) オフイス樹 稽古場
  兼題・「馬肥ゆる」一句、「当季雑詠」三句
  席題・「?」一句

2003・12・27 UP








第7回 四九八句会 

例会は 月に一度
初 回 2002年1月30日
第7回 2002年7月22日
18:30(月)
会場 "オフィス樹"稽古場


兼 題 「七夕」一句 「当季雑詠」三句
席 題 「向日葵(ひまわり)」一句
提出句 五十一句
七句選 ◎特選 一句 3点 ○秀選 一句 2点 ●佳作選 五句 1点


出席者: ひでを 大蛇 初鰹 花留
    円ドル 千恵 圓窓 吉窓
    8名
           投句者: 無銭 わかめ 窓輝
                   3名
欠席者:  名
合計 会員  名






七月の最高点句 六点


     彫り深きブッタの像や晩夏光     ひでを


     仮名のうのぬらりと招く鰻の日    大蛇


     向日葵のかしら右するハイウェイ   吉窓


七月の高点句 五点


     遠くより見れば寂しき夜店かな   ひでを


               ひでを 十七点
彫り深きブッタの像や晩夏光 ○千○蛇●花●窓
遠くより見れば寂しき夜店かな ◎花●千●蛇
黒の髭つけし童や星祭 ○ド●蛇
向日葵のその一本はテロリスト ●吉●ド
竹の箸割ってのり出す鮎の上 ●吉
晩夏光海はや黒を濃くしたり
吉窓 十三点
向日葵のかしら右するハイウェイ ◎ひ◎窓
七夕の短冊拾う湯の帰り ◎千
駄菓子屋の花火を選ぶ年児(としご)かな ●花●ド
七夕のプラネタリウムどきどきす ●ひ
かき氷しゃじをくわえて見つめおり ●ひ
音やんで蚊の血とびちるふすまかな
花留 十二点
抱いた子が寝息になりて星涼し ○ひ●吉●蛇
七夕の飾りの間の闇少し ◎鰹
初浴衣帯にこぼれる花二つ ●鰹●ド
七夕や紅ひき老女にたづね来て ○鰹
ひまわりの色鮮やかに終戦忌 ●蛇
大蛇 九点
仮名のうのぬらりと招く鰻の日 ◎ド●ひ●花●鰹
ツユ空を払ふ読経や永平寺 ○窓
七夕や願ひひとまづ書くは書く ●ド
終点でふるさとの曲帰省かな
肩車してひまわりと背くらべ
円ドル 八点
白鷺は降りる降りずや田のうねり ◎蛇
七夕や彩(さい)は絡みてふくらみて ●初●窓
あたふたとルージュの仕上げ素足の娘(こ) ●窓●千
歌姫の姿は何処(いずこ)まつり笛 ●鰹
わかめ 七点
井戸さらえ底で目覚める修羅のあり ◎吉●千
青みどろ夢解(ほど)かずに迷いけり ●千●ひ
ためらわず七夕の胸純になる ●吉
熱帯夜明日は別れる決意して
圓窓 七点
寝られぬ夜はがしてみたし暑さかな ●吉●ド●蛇
べったりと旅客機並ぶ暑さかな ○吉
日盛りや切り絵敷きたるアスファルト ●花
七夕や逢はれぬままにひと逝きて ●鰹
七夕竹受けたる雨を垂らしをり
ひまはりや日に日に重くなりにけり
初鰹 四点
ひまわりがひとり迎える午後の駅 ●千●花●窓
ハップルもとらえきれない星迎(ほしむかえ) ●ひ
すがる糸悪人正機河童忌も
見る人の心を映す夏の雲
未草(ひつじぐさ)朝茶の稽古音を聞く
千恵 二点
都会(まち)暮し木々と調弦ハンモック ○花
炎帝や埴(はに)の宿禰(すくね)の大相撲
ががんぼの同じ言ひ訳戸口立つ
向日葵や頭のぞかせ幼稚園
悠久の初恋重ぬ七夕や
無銭
河童忌に大きな魚も逃がしけり
公園に百万の薔薇燃え立ちぬ
母親に団扇を持たす親不孝
七夕の笹にかけたる恋ひとつ
窓輝
七夕や星の数ほど願い事


駄句学事始       文 圓窓
 兼題は次回の直前まで、おっぽっといて、当日、慌てて作る人も多いと聞く。
 席題はほったらかしにするわけにもいかない。
 当日、その場で急に拵えるにもかかわらず、「いいねぇ」と褒められることもあると、
聞く。
 今回、「向日葵のかしら右するハイウェイ 吉窓」は、その部類。
 自衛隊出身ならでは、の句。 圓窓曰く「お前さんが入門志願に来たとき、『とり
あえず、自衛隊へ行け』と言った
 のは無駄じゃなかったな」
 吉窓「はい」


 さて、次 八回は、八月二十二日(木) オフイス樹 稽古場
 兼題・「蟷螂(かまきり)」一句、「当季雑詠」三句
 席題・「?」一句
2003・12・5 UP








第6回 四九八句会 

例会は 月に一度
初 回 2002年1月30日
第6回 2002年6月27日
18:30(木)
会場 "オフィス樹"稽古場


兼 題 「守宮(やもり)」一句 「当季雑詠」三句
席 題 「さくらんぼ」一句
提出句 七十一句
七句選 ◎特選句 一句 3点 ○秀選句 一句 2点 ●佳作選句 五句 1点


出席者: ひでを 木の葉 大蛇 初鰹
花留 円ドル 無弦 千恵
  圓窓 吉窓 窓輝
   11名
           投句者: 無銭 わかめ あきら 仮名
                   4名
欠席者:  名
合計 会員  名





六月の最高点句 十点


    かっぽれの夏足袋軽く板を蹴る    花留


六月の高点句 八点


    配られしウチワの波や寄席の湧く   大蛇


               花留 十八点
かっぽれの夏足袋軽く板を蹴る ◎千◎葉◎ド●蛇 10
天窓にモンローウォークの守宮行き ●ひ●ド●千●葉
余裕なき日々を沈めて水中花 ◎鰹
雨雫昨日のことや百合の花 ●千
さくらんぼ最後の一つに手が迷い
わかめ 十六点
待つという時間の中のかたつむり ◎蛇●ひ●窓●花
千匹の甘き死があり誘蛾灯 ○ド●ひ●葉
たそがれる老母(はは)にうちわの風あげて ○吉●輝
凡な夜の私の窓を打つ守宮 ●千●弦●葉
木の葉 十二点
ブレーキをもたぬおもひや走馬灯 ◎ひ◎窓●弦
廃屋の軒先きやもりと雨やどり ○輝
梅雨寒く両手につつむミルクマグ ●鰹●吉
ぽうぽうと鳩鳴きてをり梅雨の朝 ●鰹
少年のキス目を閉ぢてサクランボ
ひでを 九点
さくらんぼの似合ふ女といはれても ○窓●花
胡瓜もむ名のある塩をいただいて ◎吉
透し見る雨六月のインキ壺 ●ド
なめくじの五階までくる梅雨真中 ●吉●輝
家守りゐて静かに雨をきく夜かな
大蛇 九点
配られしウチワの波や寄席の湧く ◎弦◎花●窓●吉
虫めづる姫の歯白しヤモリ這ふ ●ひ
実朝の気迫長雨とめたまふ
あぢさゐや茎に水路のしかとあり
メロンよりチェリー売り場のかざり立て
無銭 九点
離農して納屋残りたりやもり鳴く ●ひ●窓●吉
不器用にこの世を生きて花南瓜 ○蛇●千
日盛りの峠を越えて茶屋の酒
梅雨入りて訪(おとな)ふ人ひとり全生庵 花●千
円ドル 七点
梅雨闇や白き浜よりくすみをり ○千●花
夕なぎや窓開け放ち膝まくら ◎輝
さくらんぼ小さき順に色の順 ●窓
思い切り浜を走りてラムネ玉
今晩の迎へは君かなぁ守宮
初鰹 六点
飛魚が見た恋ひとつ由比ヶ浜 ○ひ○葉●輝
蓮の池色の綾取り刻(とき)忘れ ●弦
守居落つそこに闇あり光あり
さくらんぼ口にとびちるふたつ恋
風鈴にあやしくからむ恋の音
仮名 六点
下駄探しやもりと出会う縁の下 ●蛇●輝
長梅雨や箒の先の重きこと ●ド●鰹
事務室のあじさいだけの愛想よさ ●窓
下駄の脇動かぬやもりと間合いつめ ●弦
ゆき悔やむ小さき母の初浴衣
圓窓 五点
梅雨晴れや地にはじかれし花の色 ○鰹●ド
荷ほどきの手を休ませしやもりかな ●吉
短夜やあくびのあとの独り言 ●鰹
旅先の卯の花腐(くた)し寝覚めかな
桜桃の盆の中にてからみ合ひ
千恵 五点
くち喧嘩見通し守宮寝に帰る ○弦●蛇
短夜の厨の棚に指輪あり ●葉
紫陽花や着かえて今日も水鏡 ●花
さくらんぼ先に食べるも種ふたつ
風鈴の激励やさし寮の朝
吉窓 四点
登校の列黙々と梅雨の朝 ●弦●輝●ド●蛇
へばりつきミイラのごとき守宮かな
店頭で味見ねだりてさくらんぼ
玄関の守宮ほうきでつつかれり
楽屋口ノブがぬれてる夏の寄席
無弦 四点
梅雨晴れの光に愁を忘れたり ●花
ステテコや親父気取りが板につき ●葉
紫陽花というにいわれぬ藍ほのか ●鰹
守宮来てかかわり暮らす風呂の窓 ●葉
さくらんぼひとついくらだああ庶民
窓輝 一点
ネコじゃれて瀕死のやもりあわれかな ●蛇
ソウメンになぜか入ってるさくらんぼ
あきら
梅雨空に晴れたるところひとつ在り
梅雨湿りなんと重たき背広かな
鱚(きす)釣れて天ぷらにして抹茶塩
暗闇に口裂けやもりの笑い声

駄句学事始       文 圓窓
 今回は、俳句に誘ったとき、あんなに嫌がっていた花留さんが最高点を取った。
 さて、次 七回は、七月二十二日(月) オフイス樹 稽古場
 兼題・「七夕」一句、「当季雑詠」三句 席題・「?」一句

2003・12・5 UP








第5回 四九八句会 

例会は 月に一度
初 回 2002年1月30日
第5回 2002年5月28日
18:30(火)
会場 "オフィス樹"稽古場


兼 題 「母の日」一句 「当季雑詠」三句
席 題 「衣更え」一句
提出句  七十一句
五句選 (◎ 特選 一句 2点)(〇 佳作 六句 1点)


出席者:ひでを 大蛇 初鰹 花留 円ドル 円フラン
 千恵 木の葉 圓窓 吉窓 窓輝 さりあ
12名
            投句者:        あきら わかめ 無銭 仮名
4名





五月の最高点句 六点


    母の日の花泥棒は許しおく     ひでを


    手のひらへ掬う静かな金魚の死   わかめ


    焼けこげの一つありけり夏袴   無銭



五月の高点句 五点


    草にねて心は今も半ズボン     ひでを


    まっすぐな営みである蟻の列    わかめ


    そら豆と清めの酒や小さん逝く   吉窓


    母の日や声張り上げて電話口    吉窓



               ひでを 十六点
もつれつつ空に吸はるる夏の蝶 ◎鰹◎フ○窓○さ
草にねて心は今も半ズボン ○さ○蛇○フ○ド○葉
母の日の花泥棒は許しおく ◎ド○吉
白雨去り夕餉待つ間の鳶の声 ○窓○葉
更衣娘(こ)は銀行勤め一年生
わかめ 十四点
手のひらへ掬う静かな金魚の死 ◎さ○ひ○窓○花○吉
まっすぐな営みである蟻の列 ◎蛇○ひ○輝○吉
密かなる名を付け蛍胸に飼う ◎葉○吉
母の日の懺悔もろもろ産んだ子へ
無銭 十一点
焼けこげの一つありけり夏袴 ◎窓○花○さ○葉○ド
棒手振りの背中を押すや青嵐 ○窓○ひ○蛇
母の日に団子一皿買い求む ○蛇
地獄より舞い戻りたるはたた神 ○鰹
吉窓 十点
そら豆と清めの酒や小さん逝く ◎ひ○鰹○ド○葉
母の日や声張り上げて電話口 ◎輝○さ○葉○千 
洗濯屋台車で運ぶ更衣
夏場所の力士じゅずもち小さん逝く
母の日や空にブルブルヘリコプター
木の葉 八点
信号機隠して枇杷の実のりをり ○窓○花○鰹
スカートに疾風たわむる衣かへ ◎千○輝
母の日やゆふべ夢より泣きてさめ ○蛇○フ
黒き汁指先き染めし桜の実
花留 八点
母の日や根深き草のいとおしく ○千○鰹
引き綱を返して子犬走り梅雨 ○千
若葉風小さん包みて送り行き ○輝
アマリリス見事なまでの自己主張 ○ひ
更衣片身の香り捨てかねて
円フラン 六点
母の日やお茶と助六末広亭 ○蛇○窓
日傘さし出かけた母の細き影 ○輝○千
水ようかんほうばり笑う父のしわ ◎吉 
衣更へまぶしい白さの新入生
朝やけや何も言わずにそばに居て
円ドル 六点
田植え待つ小さき苗に力あり ○花○フ
眠た気に我が家守りしひきがえる蟇 ○さ○千○葉
衣更へワイシャツの袖綻びて ○蛇
母の日は何事もなく飯三度
新緑の息吹きを借りて勝ち相撲
圓窓 四点
夕立の上がりて茶屋の腑抜けかな ○吉○ひ 
同じよに日焼せしひと女別れけり ○輝○鰹
母の日や父の遺品の写真のみ
更衣こぞ去年の古着と言ひにくし
くやしさの涙や汗の跡たどる
千恵 三点
中庭の芥子立ちゆれて気のやまひ ○鰹
くちなしに惑ひてほんの二人きり ○吉
開襟とあとは試験か更衣 ○フ
めぐり来て父生まれけり母の日ぞ
蹴球に居間の蚕豆はや上気
あきら 三点
三坪の畑の主やチビトカゲ ◎花○輝 
梅の実がとろりとろりの酒になる
老鶯や四十を過ぎて転職す
母の日がいつしかばば婆の日になれり
窓輝  三点
更衣長袖まくる不精者 ○フ○ド
母の日や結局自分で後始末 ○ド
母の日でなくとも楽する女房かな
母の日の似顔絵いつぞ懐かしむ
母の日に手伝したら雨が降り
仮名 三点
冷房に新入りそろりうえ上羽織り ○さ○千
今年また梅酒ねだりに里帰り ○フ
あと十分母の日なりと受話器とる
初鰹 二点
更衣白にはならぬ色の彩 ○花○ド
赤か白我れは黒かと母の日は
信長忌敦盛謡う我れ知命
紫陽花が海をバックに成就院
実篤が絵にはかかないかきつばた燕子花
さりあ   一点
母の日がたまの便りとなる故郷 ○ひ
花一輪忘れなければ五月晴れ
母の日は忘れないけど父の日は
大蛇 一点
風かおる新松緑の飛び六方 ○花
散り敷くを見て仰ぎ見るえごの花
さっぱりと下着もおニュー衣更へ
母の日やなんとなく妻に花を買ふ
さみだれや笠碁の高座しのびけり
                                            


 駄句学事始       文 圓窓


 今回から千馬千恵さんが参加することになりました。
 千恵さんは知る人ぞ知る窓門会の会員で、窓門の高座を追っ駆けて、その感想を自
らが発行する「ハガキ・まるがお通信」に載せて、演者に声援を与えているという貴
重なお方です。
 その「まるがお通信」はサイト〔だくだく〕にもアップしていますので、覗いてく
ださい。


 さて、次 六回は、六月二十七日(木) オフイス樹 稽古場
 兼題:「やもり」・一句 当季雑詠・三句 席題:「?」一句
2003・12・4 UP








第4回 四九八句会 

例会は 月に一度
初 回 2002年1月30日
第4回 2002年4月25日
18:30(木)
会場 "オフィス樹"稽古場


兼 題 「葱坊主」一句 「当季雑詠」三句
席 題 「夏めく」一句
提出句  七十一句
五句選 (◎特選一句 2点)(〇佳作六句 1点)


出席者: ひでを 大蛇 初鰹 清女
  代脈 花留 円ドル 無弦
 あきら 圓窓 吉窓
   11名
           投句者: 無銭 わかめ 弥助 窓輝
  円フラン 木の葉 仮名
                 6名
欠席者:  名
合計 会員  名





四月の最高点句 六点


    ねぎ坊主花材になりてすましをり     大蛇


四月の高点句 五点


     夏めくや湯上りのまま長電話       圓窓


     乗り越して東上線のねぎ坊主       吉窓


     
生計なき身の揺れてをり葱坊主     仮名


同      四点


     春霞とりたてて行く用もなし     弥助



               圓窓 十点
夏めくや湯上りのまま長電話 ◎吉◎あ○清
枝ごとに囀り置ひて渡りけり ◎代
づ抜けたるものはあらずや葱坊主 ○蛇○ド
春日傘小さく回し角に入る ○あ
遠足や教師の手をとる小さき手     
                         大蛇 十点
ねぎ坊主花材になりてすましをり ◎ひ○鰹○代○ド○あ
人なみの日がさの数や夏きざす ○窓
ツバクラメななめに空を切らさきて ○ド
ねぎ坊主駆け出す子あり登校時 ○吉
コジュケイの鋭き声や新年度 ○ひ
春うらら襲名四月大歌舞伎
吉窓 九点
乗り越して東上線のねぎ坊主 ○ひ○窓○弦○花○ド
自転車のミニのまぶしさ夏めいて ○蛇○弦
新茶出す前座の顔のにきびかな ○清○花
葉桜や花びら掃かれうず高く
葱坊主眼帯越しに整列し
円ドル 九点
飲み助は春を肴にもう一軒 ○弦○あ○代
夏めくや神田祭の誘いあり ○蛇○花
つつじらはひしめき合いてくもり空 ○鰹○あ
若葉には慣れぬ職場を言い度くて ○代
葱坊主浪人ひとり駆け抜ける ○ひ
仮名 九点
生計(たつき)なき身の揺れてをり葱坊主 ○窓○弦○あ○吉○ド
春服やついと車のキー握り ◎窓
ヨイと背負(しよ)う仕事の上に春の風邪 ◎弦
かぽたぽと甘茶汲む音の間断なし
ひでを 七点
春の闇しずかに笑ふ陰陽師 ○鰹○清
声高く注文したる初鰹 ○代○花
むつかしき客の来てをり葱坊主 ○清○蛇
大黒の一つ売れけり春の暮れ ○吉
奥の間にひと集まりて春の雷
花留 七点
御堂まで導きくれよ白い蝶 ◎蛇○弦
夏めくや浜の香の恋しかり ○清○鰹○代
道成寺踊り始めや葱坊主 ○窓
風の径寒ぎて堂々山椿
飯蛸を一口にして缶ビール
あきら 五点
透明の巨人が撫でて麦青む ◎清
憎体口(にくていぐち)たたく我が子や葱坊主 ○ひ○蛇
支笏湖の底樹海見ゆ姫鱒(ちっぷ)飛ぶ ○ひ
むくむくと富士山(やま)おおう笑う山
夏めけば気絶するほど呑みにけり
木の葉 四点
はしご酒あげく我が家の菜飯かな ○吉○あ
葱坊主あきらめの日々重ねをり ○鰹○花
竹の秋胸突き坂をのぼりけり
風船やあてなきままに漂ひて
無銭 四点
向かひ合ふ膳に一椀木の芽和へ ○窓○ド
鯉のぼり一月早く揚げにけり ○鰹
大海は眼の下に在り葱坊主 ○ひ
駆け抜ける親父の背なの朧月
弥助 四点
春霞とりたてて行く用もなし ○蛇○窓○吉○花
筍の皮も晴れ着にごと遊び
葱坊主追いかけてくる鬼の角
たんぽぽや隅田の川の土手歩き
わかめ 三点
別れあり静謐な春の月 ○花
鳥帰る遠くの人へ出す手紙 ○ド
葱坊主春の光を半分こ ○清
蜃気楼消してはならぬこころざし
窓輝 二点
熱を出し床で思うは葱坊主 ◎鰹
初鰹 二点
漆黒の雨がふるふるこれ穀雨 ○弦
浅き夢ふっと微睡(まど)む春の朝 ○代
ブラウスの夏めく頃のなまめかさ
葱坊主ここにいるぞと影法師
春の窓渕にかけたるあさき宵
春の窓渕にかけたるあさき宵
清女 一点
山頂で眠る子おぶる春スキー ○吉
凛と立つ新入社員や葱の花
甘茶をもカロリー気にして控えぎみ
桜餅つぶよりこしと言い放つ
無弦
街薄着やぶ蚊にさされ夏きざす
葱坊主喰うまではるか鴨南蛮
ブドウ酒にまどろむまなこおぼろ月
代脈
葱坊主これもくしゃみの種かしら
日だまりのけだるさの中葱坊主
駄句学事始       文 圓窓
 宗匠がよく口にするのが「句を作ることと、人の句を選ぶことは同じくらい大事」
ということ。
 そう己に言い聞かせて清記から選句に入るのだが、人の句に感心してしまって、己
の句がどんどん遠避けられていくのがよくわかる。
 それも、「一つの進歩かもしれない」と慰めてはいる。
 俳句は常に壁に囲まれている文芸なのではなかろうか。その壁には所どこと崩れが
あるので、覗きもできるし、覗かれもする。
 それをうまく活用すれば上達も早いのだが……。


 さて、次 五回は、五月二八日(火) オフイス樹 稽古場
  兼題:「母の日」・一句 当季雑詠・三句 席題:「?」・一句

2003・12・4 UP








 第3回 四九八句会

例会は 月に一度
初回 2002年1月30日
第2回 2002年2月28日
18:30(木)
会場 ”オフィス樹”稽古場


  兼 題 「亀鳴く」一句 「当季雑詠」三句
  席 題 「花冷え」一句
  提出句  七十句
  五句選 (◎特選一句 3点)(〇秀逸一句 2点)(●佳作四句 1点)


出席者: ひでを 大蛇 初鰹 さりあ
 清女 花留 円ドル 無弦
 あきら 圓窓 吉窓 窓輝
   12名
           投句者: 無銭 わかめ 弥助
  円フラン 木の葉
                 5名
欠席者: 代脈 仮名
2名
合計 会員 19名





               句 作者 選(◎特選 ○秀悦 ●並選) 点数
圓窓 15点
 散る桜ひとまず傘に運ばれて ◎輝●吉●ド●あ
 好きな子に向けて飛ばせてシャボン玉 ◎吉●輝
 父の息途絶へて蛙鳴きやまず ○吉●ひ
 神田川捨てられし身の亀鳴けり ●ひ  1
 花冷えや路地駆け抜ける親子猫 ●弦
              
ひでお 13点
 風船の雲ともならず流れゆく ◎ド◎花○蛇
 迷ひつつやはり行きけり花の冷え ◎蛇●吉
 春の夜の居酒屋(パブ)は芝居を見るがごと ●花
 亀鳴いてスイカかイオか悩みをり
 若芝やタイガーウッズといふ男
      
円ドル 13点
 春雷を霞ヶ浦ははね返し ○鰹●窓●蛇
 亀鳴くか話は尽きず五合酒 ○花●蛇●輝
 花冷えに一人作りし焼うどん ●あ●窓●輝
 春疾風(はるはやて)力の限り風車 ●吉●清
              
木の葉 10点
 傘をとづひとひら花の土産かな ◎窓○輝●蛇●弦
 亀鳴くや新築現場のつ鎚の音 ○ひ
 時刻む針の音のみ春炬燵 ●あ
 病床の窓にやさしき春の雨
 
             わかめ 7点
 亀鳴くをたしかめ胸の谺(こだま)かな ●ド●あ●弦
 西行忌ふっと遠のく死のおそれ ○窓
 ひなだんに降り積む夜の神話かな ○弦
 軽やかに桜ふぶきが語る過去
            
大蛇 6点
 四神旗のだらりと垂れて亀の鳴く ◎鰹
 花冷えに灯油売り屋の車追い ●花●窓
 夕闇に何やらのそり亀の鳴く ●窓
 落ち椿そのままふわり池でも咲き
 老木の桜命のかぎり咲き
 春塵を清める雨のありがたさ
               弥助   6点
 しまいにはだれでも誘う花見酒 ◎あ●蛇●輝
 浦島は亀鳴く声に誘われて ●ひ  
 客席も馬場のむこうも花吹雪
 春風や時計の針は午後三時
円フラン 5点
 花吹雪はじめて触れた君の髪 ◎清●吉
 誰と来たセピア色した桜道      ●清
初鰹 5点
 この月の花をそろえて利休の忌 ●ド●花●窓●ひ
 花の下達治(たつじ)がうたう女子(おみなご)が ●吉
 境内の亀鳴く笑う不動明王
 花の冷え肩をわたしてストールで
 シュタイナー天使がまねく春の夢
              
あきら 5点
 亀鳴くや事務所泊りも今夜まで ◎ひ
 昼よりも夜に紅さす桜かな ●蛇
 飲み明かし眩む景色に初音かな
 花冷やコアラァと鳴くカラスいて
 彩卵に一つペルーの交じりけり
             
吉窓 4点
 花冷えの楽屋で着換え腕さすり ●花●輝
 雨降りの何が嬉しや亀が鳴く ●鰹
 花冷えの笑みを囲みてお喰い初め ●清
 投函の葉書き手に持ち亀が鳴く
 子供には怪獣の声亀が鳴く
              
無弦 4点
 遠き日も桜踏みしめやわらかに ●清●鰹
 春風に躍るよ舞うよ花いちりん ○あ
 はなびえにはなひらひらとちりぬるを
 指踊りきしむ音(ね)のごと亀の鳴く
 春埃黄砂の向こうで亀が鳴く
               無銭 2点
 亀鳴くや二番でよいと言い聞かす ●鰹●ひ
 昼席の追い出し太鼓鳥帰る
 佐保姫の声聞きしかと人の問ふ
 春風に誘われて出る大あくび
清女 2点
 あの人の面影写す春の池 ●鰹 
 初恋の淡き思いで桜色 ●あ
 冴え返り池の中をも静まりし
 並木道桜吹雪に躍る息子(せこ)
 亀が鳴き恐竜現る夢の中
              
窓輝 2点
 亀鳴きてミニに生足(なまあし)繁華街 ●清●弦
 亀鳴くや花粉飛び散り人も泣く
 花冷えやネコを抱えて床につく
 

 駄句学事始       文 圓窓
 今月の兼題が「亀鳴く」。
 俳句とは「生活の中や身の回りをじっと観察して独自な感性を表現するもの」
と書かれた本を読んだことがある。
 が、この「亀鳴く」は架空の季語。
 この点を宗匠に訊くと「昔から亀の鳴き声を聞いた俳人は一人もいない。だけ
ど、この季語に挑戦する俳人は多い。
 俳句の世界は間口が広くて奥が深いんです」と断言する。
 連中も「難しい、どしよう」と言いながらも、作句していました。
 広くて深い世界へ足を踏み入れましたよ、みなさんは。

 さて、次 4回は、4月25日(木) オフイス樹 稽古場
  兼題・「葱坊主」一句、「当季雑詠」三句
  席題・「?」一句

2002・9・18 UP








 第2回 四九八句会

例会は 月に一度
初回 2002年1月29日
第2回 2002年2月28日
18:30(木)
会場 ”オフィス樹”稽古場


正月晦日
兼 題 「春眠」一句 「当季雑詠」三句
席 題 「沈丁花 または 二月尽」一句
提出句  八二句
五句選 (◎特選一句 3点)(〇秀逸一句 2点)(●並選四句 1点)


出席者:ひでを 木の葉 大蛇 初鰹
代脈 清女 花留 円ドル
あきら 圓窓 吉窓 窓輝
12名
投句者:仮名 さりあ わかめ 弥助
代脈 無銭
6名
合計 参加者 18名








作者 選(◎特選 ○秀悦 ●並選) 点数
ひでを 19点
 やはらかき雨となりたる二月尽 ◎ド○蛇●葉●あ●窓
 沙漠にも春の闇あり生臭し ◎吉○あ●蛇●葉
 うなぎ屋のなくなっていて沈丁花 ○窓●吉●蛇
 春眠やエサを待つものあまた居て
 沈丁花さがしてをれば目と合ひぬ
無銭 13点
 春愁やそば一枚を持て余す ◎葉●輝●蛇●窓
 富士山を大きく見せて春の雪 ◎蛇○鰹●輝
 安房上総下総常陸山笑う ●清
 春眠し明けの烏の啼くを聞く
仮名 11点
 別れ際振る手の白さ春の宵 ◎窓◎清○葉●鰹
 春眠や電話のベルの憎らしさ ●さば
 桜餅一つあり皆よそ見して ●窓
 山城よ天下へ出で来と遠霞
大蛇 10点
 おさなごがツクシを見つけ親を呼び ◎あ●清●さば
 ジグザグに近づいてくる春を愛で ◎鰹
 正月もきのうのごとし二月尽 ●輝●ド
 春あさし江戸川の土手寅がいて
 春眠や猫にアクビもうつりけり
 春眠を覚ましさえずるむら雀
木の葉 8点
 二月尽到来物の酒まろし ◎花●蛇●窓
 海苔買ふや朝市とうに昼さがり ●吉
 すれ違ふ人知り人か月おぼろ ●花
 春眠や雨だれ遠く耳にして ●窓
 酔ひ冷めの夜道誘ふ沈丁花
 ふらここをいくつ漕ひでも迷ひ道
清女 7点
 振り返るひと女性(ひと)の残り香沈丁花 ◎輝●蛇●さば
 雪解けと共に消えゆく恋心 ●鰹●さば
 ふきのとう良薬でなくても口苦し
 春眠を理由に遅刻リストラに
 雪遊び計画中に二月尽
 山焼きを見ながら頭をなでる君
窓輝 7点
 春浅しひなた選びて散歩道 ○さ●あ
 春浅く動きが鈍い草野球 ○吉●さ
 春眠がけいこ不足に拍車かけ ●葉
あきら 6点
 二月尽畳の上に光射す ◎さば●葉
 摘みたてをサクッと揚げたふきのとう ●輝●鰹
 耕しつ「始まりました」と吾答ふ 
 春眠や子供の頃の夢を見つ
 枯山の枯木の枝に春の雨
わかめ 6点
 恋文がひんやり届く早春譜 ●清●ド
 逢いびきの夢で春眠めざめなん ○清
 春眠の陽だまり猫にうばわれり ●ド
 早春の川きらきらともりあがる ●清
花留 4点
 花まつり稚児の顔(かんばせ)顔貝の紅 ○ド
 剪定の音聞いて猫ねむり ●鰹
 角二つ曲りてふりむく沈丁花 ●輝
 行く先をここぞと決めて落椿
 春眠を間断するや音花火
圓窓 4点
 春眠やなされしままに漂うて ●あ●ド●花
 紅梅の枝の向ふの人通り ●葉
 岩肌にしがみつきをり残り雪
 猫の尾の短かに切られ二月尽
 春の川落とせし下駄を追ふ少年
吉窓 4点
 春めくやCDかけてくつ洗う ○花
 春眠や留守電作動時計見る ○輝
 大声の酔人夜の沈丁花
 図書館の新聞の音東風ふきぬ
 駅前の菓子屋の雛を母が指す
円ドル 2点
 沈丁花遠き闇より我召く ●花
 少しだけ朝の光に春の色 ●鰹
 春眠はカラスかあでも夜が明けず
 オープン戦ことしはどうだたての縞
 早春は今だ冷たき雨の中
 春眠さ行きつ戻りつ朝八時
さばく屋 2点
 春眠や猫を横目に旅仕度 ●吉
 事務室で一人渡さる卒業証書 ●あ
 居酒屋の菜の花漬けに知らされる
弥助 2点
 学割をこっそりつかう春休み ●あ
 春駒の背に名人の鞍もなく ●吉
 なき人のうぐいすの声谷間から
 春眠をするもさせぬも授業中
さりあ 1点
 飽きもせず冬眠抜けても春眠る ●清
 春眠で覚えず赤付き期末試験
 うたた寝で春の到来知る早朝
代脈 1点
 ホワイトデーお礼の山に苦笑い ●吉
 春眠や目覚めてみたら夕焼けに
 ビル街で明るく微笑むヒヤシンス
初鰹
 給料があがるはずもない二月尽
 春あさき君が想いを陽と共に
 春うらら君がみむね御胸(みむね)にぼくの夢
 春眠のたがいの夢やあらおかし
 春の香のまだまだ見えぬ雪の下


 駄句学事始  = 文 圓窓
 第一回では「雪おんな霜とつららで飾りけり 窓輝」が6点という最高点句。
 驚いたのは本人。
 季語が三つ入っていようがいまいが、なにしろ生まれて初めての句作でこういうこ
とですから、病み付きとなることでしょう、きっと。
 第二回は、「投句て近句」の活躍が目立って、目立って、賑わいましたね。
 蝦夷の無銭さん、薩摩の仮名さんの二人が並んで上位を占め、それに、初参加のワ
カメさんがスルスルスルッときました。


 さて、次 三回は、三月二九日(金) オフイス樹 稽古場
  兼題・「亀鳴く」一句、「当季雑詠」三句
  席題・「?」一句
   







第1回 四九八句会

例会は 月に一度
第1回 2002年1月30日
18:30(水)
会場 ”オフィス樹”稽古場


圓 窓 口 上

 木下ひでを氏の俳句と雑学に惚れて、臆面もなく「初心者ばかりなんですが、指導
していただきたいのです。お金はありません。お酒なら少々だせます」と頼み込んで
始まったのが、この四九八句会。
 誰もが当然のごとく体験するであろう「四苦八苦」を洒落て「四九八句会(しくは
っくかい)」。

 落語やインターネットを通じての友人が参加してくれました。もちろん、メールに
よる投句も大歓迎。「投句て近句」という情も通うことでしょう。
 噺家として「落語にもっと季節感を大切にしよう」という夢を実現させるため、弟
子の吉窓、窓輝にも参加させました。
 この四九八句会は月に一度の会合を持ち、挫折することなく、少なくとも、498
回までは続けるつもりでます。計算すると、41年と半年かかります。
 そうなると、メンバーのほとんどがもうこの世にはいないでしょうが、窓輝をはじ
めとする何人かの若者が老人となって、苦吟できるかもしれません。
 運営費は宗匠や会場主からご理解をいただいて、お安くなっております。
「出席会費 2000円、投句会費 1000円」という次第。
正月晦日





 兼 題 「梅」一句 「当季雑詠」三句
 席 題 「雪女・雪女郎」一句
 五句選 (◎特選一句 2点) (●並選四句 1点)


出席者:ひでを 木の葉 大蛇 初鰹
         代脈 清女 花留 円ドル
 円フラン 圓窓 吉窓 窓輝
            12名
投句者:    あきら、仮名、無銭
                 3名
合計参加者 15名








作者 選(◎特選 ●並選) 点数
 雪おんな霜とつららで飾りけり  窓輝 ◎葉●鰹●フ●花●窓  6
 日本酒はひやにかぎると雪女郎  ひでを ◎フ●ド●窓
 少年の指のふるへや雪女郎  木の葉 ◎蛇◎吉  
 梅が香に思ひ出したる人のあり  無銭 ●蛇●鰹●窓 
 居酒屋の梅のはなしも湯島かな  ひでを ●葉●代●窓  
 梅まつり甘酒売りの声高し  円ドル ◎輝●花
 かじかみし莟に日差し手を延べて  圓窓 ●代●花●吉
 くらやみの細き風音雪女  木の葉 ◎花●吉  3
 いろりからだるそうに立つ雪女郎  圓窓 ●清●フ●吉  3
 手入れせぬ空き地の梅のリンと咲き  大蛇 ◎代●ド
 実をつけた娘と同い歳の梅  あきら ◎清●蛇
 梅が枝に今年も待てりうぐいすを  円フラン ●清●ド
 雪女熱き想いに心溶け  円ドル ●清●輝
 梅園へ友をつのりてバスツアー  吉窓 ●輝●ドル
 白梅や行き交う人の紅い顔  清女 ●葉●純
 吐く息と強さ競うや梅の白  仮名 ●清●蛇
 雪女洗髪をしてくしゃみする  吉窓 ◎鰹
 この花も後には酸っぱい梅干か  あきら ●葉●フ  2
 梅の影ゆれて仔猫にさわりけり  圓窓 ◎ド
 寒梅やふたりの答へ見へぬまま  木の葉 ●鰹●窓
 絵馬握る子らをたばねて梅キリリ  仮名 ●蛇
 ロウ梅がかすかににおう路地の裏  初鰹 ●代
 厚着して手には団子の梅花見  清女 ●輝
 白梅や通院帰りの坂の道  木の葉 ●輝
 うぐいすよ来て止まれよと枝まびく  大蛇 ●吉
 雪女肩身の狭い昨日今日  円ドル ●葉
 ロウ梅がかすかににおう路地の裏  初鰹 ●代
 うぐいすよ来て止まれよと枝まびく  大蛇 ●吉
 湯けむりに見えるはずない雪女郎  清女 ●代
 梅のうた考えすぎてねむられず  円ドル ●鰹
 合格の絵馬が咲きそう湯島宮  初鰹 ●花


  髪乱れ思う姿は雪女
  梅が枝に太きカラスや月曜日
  涙目で梅の句を詠む花粉症
  造成地に仁王立ちする古き梅
  半月の淡き影抱きしだれ梅
  ふぶく宵まなじりけっする雪女郎
  ふぶく朝足とられしや雪女
  梅散るや祈りの宮に絵馬ヒラリ
  紅梅の色香に咲く音ありぬべし
  山小屋へスロープ描く雪女
  梅咲けど人影まばら山の里
  終電車手もちぶたさや雪女郎
  城址の匂ひこぼるる梅の花
  梅林の空気胸いっぱいに吸いにけり
  花ごよみ梅にせかされ買い求め
  夕暮れに燃ゆる姿の寒紅梅
  住む人の心にふれる梅の里
  梅の香が集めたのかなアリマキを
  急カーブすべってころんで雪女郎
  梅も咲きやっと梅酒が呑める頃
  梅が好き先へ行く連れ待たせても
  ほころんで心の隙間を梅の花



 個人別綜合点
   木の葉 10点
   圓窓   8点
   ひでを  7点
   窓輝   6点
   あきら  5点
   大蛇   4点
   清女   4点
   円ドル  4点
   仮名   3点
   無銭   3点
   
(木の葉 記)


 初めての四九八句会、初めての会報。
 馴れないことばかりでしたが、木下宗匠、木の葉さんの指導の許になんとか形にな
りました。
「感想は?」と訊きますと、みなが「お腹が空いたよ」と。
 なにしろ、会場は演劇の稽古場。そこのオーナーの平樹さんも「句会にお貸しした
のは初めてで、勝手がわかりませんで。みなさんが芝居の本読み、読み合わせのよう
に静かで真剣だったので、飲食類を出すタイミングがわからなくて。本読みは飲食し
ませんもんで(笑)」とおっしゃる。
 二回目からは、最初から宴会のように飲食物は出しますので、ご安心くださいませ。
 会報をサイト用に編集しましたので、よろしく。       (編集後記 圓窓)


 次回・二月二八日(木)
 兼題・「春眠」一句、「当季雑詠」三句、席題「?」一句