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俳句三昧

四九八句会 だくだく連句 句集諸々 御蔵山一日一句

御蔵山一日一句 口上
2005年05月 御蔵山一日一句 圓窓 西女 ナミ
2005年04月 御蔵山一日一句 ナミ参加  圓窓 かな女 ナミ
2005年03月 御蔵山一日一句 スタート  圓窓 かなめ


御蔵山一日一句 口上

昔、この世に「小倉山百人一首」といへる歌集あり。
ならば、平成の我らも閑にあかせて、一日に一句を吟じたり。
とはいへ、あまりの稚句駄句ゆえ、とてものことに世に披露もできず、
みなこぞってお蔵入り。
そこで、改めて「御蔵山一日一句」と命名し、サイトにアップなす次第なり。
2005年3月27日


2006.11.22 UP



2005年5月(皐月)御蔵山一日一句
圓窓の腰の調子がおかしくなり始める。
かな女さんが「西女(かなめ)」と改名。
「要町」と所縁のある人なので「要」を分解した。





5月 1日
雨漏りも五月雨のうち裏長屋          圓窓
半袖で自転車こぎぬ五月かな          かな女
噺家のお江戸訛りや清和節           ナミ
5月 2日
水羊羹また残されて次の客           圓窓
足跡を波崩しくる啄木忌            圓窓
アロエ蕎かかえる夫と麦茶かな         かな女
すっと呆け寝呆け本呆け木瓜の花        ナミ
5月 3日
黒板を虹の形が消してゆく           圓窓
大口を叩き泳ぐや鯉幟             圓窓
彼帰京ともに憲法記念の日           かな女
葉隠れに咲いておはりぬ熊谷草         ナミ
5月 4日
下の段から泳ぎだす鯉幟            圓窓
二つ目の葉を重ね置く柏餅           圓窓
冷や奴友と昔を取り戻し            かな女
窓若葉ガラス食器を磨きあぐ          ナミ
5月 5日
振られたることもあろうに業平忌        圓窓
夫立ち一人夕餉やこどもの日          かな女
新緑に浸かりて大船観音像           ナミ
新緑に浸かりて大船観世音           ナミ
赴任地へ夫を送りぬ端午かな          ナミ
赴任地へ夫は帰りぬ子どもの日         ナミ→西女
5月 6日
新郎にそつとハンカチ渡す人          圓窓
荒れ畑に風なんのその葱坊主          西女
孫に伝ふ白詰草の首飾り            ナミ
5月 7日
囀りや勇みて襲名幕開きぬ           圓窓
取り込みしタオルの嵩や風薫る         圓窓
とりどりのカーネーションに子ら迷い      西女
どろんこの饅頭に照り夏来る          ナミ
5月 8日
蜜豆や愚痴の数より突つかれて         圓窓
母の日やまた聞かされる祖母のこと       圓窓
母の日やせん切りの音そのままに        西女
桔梗の茎むらさきに芽立ちたる         ナミ
蜜豆のチェリーをあちらこちらかな       ナミ
5月 9日
百足虫の子やつと二足の草鞋履く        圓窓
苗売りの肩入れ替へて土こぼす         圓窓
大きめの白靴眩し校庭に            西女
姑の道吾も行く道さみだるる          ナミ
5月10日
拾ひ手のなきハンカチの踏まれをる       圓窓
青桐や来し方行く末影にして          圓窓
一輪の紫陽花包む小さな手           西女
書くたびに辞書を頼りや薔薇盛り        ナミ
5月11日
新刊書伏せて二番の古茶すする         圓窓
降り出しに水面を譲るみづすまし        圓窓
鬼ごっこ駆け足鈍る日陰かな          西女
故郷は水満々の代田かな            ナミ
5月12日
五月雨の雨垂れとなり路地穿つ         圓窓
五月雨の漏りたる茶室人を待つ         圓窓
夏蜜柑人差し指で皮を剥く           西女
すぐ止んで埃のにほい夏の雨          ナミ
5月13日
東西の男呼び出す扇子かな           圓窓
ミルクきてミツきて苺つぶされて        圓窓
教室に入り来る蛾を歓迎し           西女
蜘蛛の囲に懸かってしまふ無様かな       ナミ
5月14日
ほろ酔ひの山肌あらわ夕桜           圓窓
振られたることもありけり業平忌        圓窓
赤面し答える朝餉はバナナなり         西女
ふしぶしに痛み増したる昼寝覚め        ナミ
5月15日
離れまで風を誘ふや若楓            圓窓
桶音を夏の天へと仕舞ひ風呂          圓窓
夏嵐無人自転車なぎ倒し            西女
お互いを許せる齢夏の月            ナミ
5月16日
短夜の時もち寄りて二人かな          圓窓
あぢさゐの色振り分けて闇とする        圓窓
三日月やコンビニ弁当抱え込み         西女
雲の峰読みかけの本山積みに          ナミ
5月17日
夏の夜の近道路地の行き止まり         圓窓
本心のまにまに苺つぶされて          圓窓
サングラス男に刺股そっと向け         西女
夕焼け雲鬼で終はりし鬼ごっこ         ナミ
5月18日
五月雨の漏りたる音の茶室かな         圓窓
覚へなきハンカチ女房に洗はれて        圓窓
夕立のあと自転車の行く小路          西女
夏風邪の嬰の目うるむ哀しさよ         ナミ
5月19日
夕立の止むまで待てぬ雨宿り          圓窓
浮草を眼下に置きてみずすまし         圓窓
腕時計覗き見走る洗ひ髪            西女
読みかけの本を開きぬ夜涼かな         ナミ
5月20日
大いなる尻は母なり髪洗ひ           圓窓
うたた寝の夢を刺したる蚊を払ふ        圓窓
下敷きが冷房代わりの昼下がり         西女
花冷えのフランスパンを抱え持つ        ナミ
5月21日
長つ尻食いたる温き水羊羹           圓窓
風薫るテレビアンテナ直しをる         圓窓
小満の夜聞こえ来るモーツァルト        西女
小満の月上がりたるやや南           ナミ
5月22日
降り出しに傘まばら三社祭かな         圓窓
動き出す神輿は声となりにけり         圓窓
客席に浮かぶ横顔昼寝中            西女
若鮎のぴちぴち跳ねる流れかな         ナミ
5月23日
指添へる胴のくびれやラムネ吸ふ        圓窓
夕立や携帯電話の声響き            西女
浅草の雨に遇ひたり神輿渡御          ナミ
5月24日
仲見世の人波を消す夕立かな          圓窓
焼酎の瓶軽くなり声弾み            西女
雨兆す雲の広がる茶屋の前           ナミ
雨兆す雲の広がる夏祭り            ナミ
5月25日
お相撲の差したる小さき日傘かな        圓窓
短夜の刻(とき)をもち寄り二人かな      圓窓
鼓笛隊リズム乱れし蝉丸忌           西女
冷えたるも尚よし茄子の御みおつけ       ナミ
5月26日
蝙蝠の向こふへ行きぬと思いきや        圓窓
夕凪や煙突なりの煙立つ            圓窓
日盛りに十人合わせピラミッド         西女
夏服の白き腕にBCG             ナミ
5月27日
裏山をむさぼるやうに茂りゆく         圓窓
くやしさの涙や汗の跡たどる          圓窓
細道に喪服の行列夏の夜            西女
縁側に猫のお見舞い走り梅           ナミ
縁側に見舞いの猫と走り梅雨          ナミ
5月28日
行きずりの日傘に入りぬ赤信号         圓窓
岩になる寸前に釣る岩魚かな          圓窓
朝顔の新芽指さす少女かな           西女
草蒸して兵士に戦後なかりけり         ナミ
5月29日
藤の色滴り落ちむ刻(とき)を待つ       圓窓
芍薬の花を支えるブリキ缶           西女
雨傘の薔薇を散らして回覧版          ナミ
5月30日
返したる傘また借りて梅雨の入り        圓窓
ボール二個残る庭にも夏の雨          西女
白薔薇のたふれ重なる郵便受け         ナミ
5月31日
窓に見ゆがさつく街に夏の川          圓窓
組体操汗染みこむは紅白帽           西女
入院の朝の小縁やアマリリス          ナミ
星涼し入院初日の床に就く           ナミ
2006.11.24 UP







2005年4月(卯月)御蔵山一日一句
スタートが月末だったので、すぐに翌月。
かなめさんが「かな女(かなめ)」と改名。
「ナミさん」が御蔵山一日一句に参加。





4月 1日
抱かれたる子の手に柄杓花まつり        圓窓
子に柄杓持たせ抱きあぐ潅仏会         圓窓
潅仏の柄杓落として子の泣きぬ         圓窓
花時や惜しまれつつも去りし門         かなめ
4月 2日
軒端から菖蒲ののぞく宿に入る         圓窓
花時や去りし門には泣き笑顔          かなめ
4月 3日
人毎に言はれてもまだ春炬燵          圓窓
春しぐれ木々よみがえる家路かな        かなめ
大掃除休む片手に木の芽和           かなめ
4月 4日
雨だれを打たずにゆくや春時雨         圓窓
スーツ着てなほなつかしや春炬燵        かなめ
スーツ脱ぎ背すじをぴんと春炬燵        かなめ
スーツ脱ぎ猫より丸く春炬燵          圓窓
4月 5日
真っ先に鳴きし春蝉飛びにけり         圓窓
黒板の五分咲き桜笑顔待つ           かなめ
4月 6日
繋がれし馬の尻打つ柳かな           圓窓
花の下カメラに母が緊張し           かなめ
4月 7日
どの顔も四万六千日の砂埃           圓窓
澄わたる夜に桜がぽっかりと          かなめ
澄みわたる夜にぽっかり桜かな         圓窓
4月 8日
逃げ水や魚津に続く道なりき          圓窓
夜桜や四百年に思い馳せ            かなめ
夜桜や芭蕉渡りし神田川            圓窓
4月 9日
足跡を波崩しくる啄木忌            圓窓
今日で最後手渡される石榴の実         かなめ
4月10日
柏餅差し出す母の手は白し           かなめ
寄り道の子の駆け去りぬ春の風         圓窓
4月11日
花冷えや長湯のあとの燗冷まし         圓窓
花吹雪雨と変わりて急ぎ足           かなめ
4月12日
一斉に起されて下車花疲れ           圓窓
見上げれば葉桜の傘木陰かな          かなめ
4月13日花冷や孫寝返りて縮まりぬ      圓窓
三日月や雲がかかりてさらにやせ        かなめ
4月13日
花冷や孫寝返りて縮まりぬ           圓窓
三日月や雲がかかりてさらにやせ        かなめ
4月14日
飛花一片土へ還さぬアスファルト        圓窓
校庭のジャングルジムより残花かな       かなめ
4月15日
声変はりなんのそのとて春の鳥         圓窓
ファッションの本を読みたし朧月        かなめ
4月16日
古草や脛に傷もつ友とゐて           圓窓
コーヒー飲む窓の先に鯉のぼり         かなめ
4月17日
地蔵堂句会
花冷えや恋には固き筆の先           圓窓
春しぐれ木々よみがえる家路かな        かな女
花みづき母にこやかに手招きす         かな女
夜桜や川面映して四百年            かな女
花吹雪雨と変わりて急ぎ足           かな女
コーヒーを飲む窓の先鯉のぼり         かな女
4月17日
なによりのミモザの香り里帰り         圓窓
弟と背比べせし花菖蒲             かな女
4月18日
友の死を病床で聞く春の雷           圓窓
万緑や宿の亭主の迎え声            圓窓
葉桜や友と奏でるブラームス          かな女
4月19日
老いの手の水菜を刻む音清し          圓窓
不揃いの銀紙にあり水羊羹           かな女
4月20日
息つぎに庭見渡すや草むしり          圓窓
新入生ジャンケン列車で駆け回り        かな女
4月21日
戻るなり足袋脱ぎ疲れ追い出しぬ        圓窓
野球帽苺畑に見え隠れ             かな女
4月22日
聖書閉づえにしだ金雀枝揺るる鞭のごと     圓窓
夏衣何着ていたか一年前            かな女
4月23日
掌の空蝉かさと動きけり            圓窓
地下鉄にたんぽぽの綿ふうわりと        かな女
4月24日
闇を斬る蛍火直ぐな線ならず          圓窓
春塵のテニスボールを押しにけり        かな女
4月25日
夏めくや夜遊びの影すれ違う          圓窓
店先に並ぶ不揃いのちまきかな         かな女
4月26日
雷になりて裸の子を叱る            圓窓
春雷や鼓笛パレード始まらん          かな女
4月27日
つちふるや異国の土に差別なし         圓窓
仕事運テレビ気になる朝寝かな         かな女
セルを着て袂より出す煙草かな         ナミ
4月28日
忘れゐしこと忘れをる暮春かな         圓窓
すずかけの花を思ひし昼下がり         かな女
北窓を開く北窓側の声             ナミ
4月29日
重さうな色突き上げてチューリップ       圓窓
母の日や退職葉書の手伝いし          かな女
ゴールデンウィークまず庭掃除         ナミ
4月30日
覚へなきハンカチ女房に洗はれて        圓窓
また明日母の忘れし浅蜊汁           かな女
中門に大きな草履青嵐             ナミ
2006.11.22 UP







2005年3月(弥生)御蔵山一日一句
2005年3月27日
 今までに何度か挫折を繰り返してきた一日一句を改めてスタートさせた。
地蔵堂句会に参加を表明した「かなめさん」を誘って……。
「圓窓」にとって、この日を「御蔵山一日一句」のスタート記念日としたい。





3月27日
言ひたくもなきこと言ひし春の雪       圓窓
春風に涙ひとすじ門出かな          かなめ
3月28日
咲き誇る音黙したり花の山          圓窓
梅の香に包まれ浮かぶ母の顔         かなめ
3月29日
校舎裏椿見つけし子らの声          圓窓
片隅の椿に子らは笑みこぼれ         かなめ
3月30日
仏壇を開ければふわり春蚊出づ        圓窓
こいのぼり両手を伸して近づく子       かなめ
3月31日
芽立ち時涙涙の別れかな           かなめ
校長の去りし日桜咲かむとす         圓窓
2006.11.12 UP