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珈琲三昧

ドトールコーヒー/最新「 圓窓の珈琲小咄 」

このコーヒー小咄は
名古屋の富士コーヒー(株)の広報誌「富士コーヒーニュース」に
1979(昭和54)年から月に二つずつのペースで連載され
 現在も続いております
その数 今や 500以上
コーヒーだけの小咄としては世界に類をみない本です
その折ごとの世相も反映されてます


改めて ここに 転載いたします


名古屋には 五百なるもの 二つあり 珈琲小咄 圓窓落語

著 三遊亭 圓窓 / 制作 富士コーヒー(株)





この本の購入ご希望の方は、まず、『ensou@dab.hi-ho.ne.jp
にて、その旨をお知らせください。
 そのあと『1冊につき、送付手数料込み1310円』を『郵便
振替 三遊亭圓窓00100-1-164756』に郵便番号・住所・氏名・
電話/FAX番号を明記の上、郵送くださいませ。
 圓窓よりサイン入りの本を郵送いたします。

フジコーヒーニュース(名古屋・富士コーヒー梶jに連載中
http://www.fujicoffee-bean.com/10_monogatari.htmlに新作掲載中
www.ijockey.net で(その001〜)配信中
圓窓ブログ http://ensou-rakugo.at.webry.info/ でも掲載中





 珈琲小咄 032

  『OBコーヒー』

 ゴルフに凝っている男が二人。喫茶店に入って、コーヒーを飲みながらゴルフ談義。
 そのうちに一人が、ハッとした顔を上げて相手に言った。
「オイ! このコーヒーカップを持つ指は、グリップと同じだぜ」
 言われた男も納得したように言った。
「そう言えばそうだな。この感じでグラブを握りゃいいんだ」
 最初に言い出した男、ますます興奮して言った。
「君にもわかるかい? これなんだよ。このグリップで静かに振り上げて、素直に振り下ろしゃぁ……」
 と、コーヒーカップの中のコーヒーが飛び出し、斜め左のテーブルにいた女性にひっかかってしまった。
 女性が「キャーッ!」と悲鳴をあげた。
 が、男は女性に謝りもせず、ガッカリした顔で男に言った。
「やっぱり駄目だよ、OBだ」





     そのとき 圓窓は動いた

1974(昭和49)年11月15日
第11回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その32は[鉄拐(てっかい)]
仙人は指先一つで思い通りの物を出す。その仙人を訪ねて高尾山に向う人がいた。
(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))
2006・9・4



珈琲小咄 031

 『思い出した!』

 出社した彼は同僚に、得意気に語りかけた。
「昨晩、キャバレーへ行ったら、とてもいい女(こ)がついてくれてね。オレはちょ
いちょい通おうと思ってね」
「何という名前だい?」
「……、それが……、忘れちゃったんだよ」
「それじゃぁ、指名のしようがないだろう」
「彼女の名を聞かされたとき、コーヒーを連想したことは覚えてんだが……」
「ブルーマウンテンとかモカとか、そういう名前かい?」
「イヤ、違うな。喫茶店へ行きゃあ思い出すかもしれない」
「じゃあ、抜け出して行こうか」
 二人は喫茶店へ入った。
「どうだ、思い出したかい?」
「イヤ、まだだ」
 ウェイトレスがやってきたので、コーヒーを注文した。
「オイ、まだかい?」
「まだ、思い出さないよ」
 コーヒーが運ばれてきた。
 彼はそれを飲もうとして、カップを口に持ってくると、プーンと鼻に……。
「思い出した! カオリ(香り)という名前だ!」





    そのとき 圓窓は動いた

1974(昭和49)年11月15日
第11回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その31は[短命(たんめい)]
町内の評判の娘に来た養子、来た養子がみな早死に。果たして、その原因は?


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))
2006・9・4



珈琲小咄 030

 『犬もコーヒー党』

 来客があって、応接間はコーヒーの話でもちきりとなった。
「家中がコーヒー党でね。ワシは日に15杯は飲んでおる」
「奥様は?」
「10杯は飲むじゃろう」
「お子さんは?」
「5、6杯は飲んでるようじゃ」
「皆さん、コーヒー好きなんですね」
「この犬も飲むからね」
「犬もコーヒーを飲むんですか?」
「毎日、飲んでおる」
 客は犬の頭を見ながら問いかけた。
「日に何杯飲むんだい、君は?」
 すると、犬はシッポを振りながら
「ワン(一つ)!」





     そのとき 圓窓は動いた

1974(昭和49)年9月10日
第10回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その30は[転失気(てんしき)]
医者に言われたテンシキとはなんぞや? その言葉を盃と解釈した和尚。

(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 029

 『薄いんじゃない、無いんだ!』

 知ったかぶり、それに気取りの癖のある男が”アメリカン・コーヒー”という言葉
を耳にした。
 早速、喫茶店に入って、ウェイトレスの足を見ながら言った。
「君の足はとてもアメリカナイズされた感じがするねえ。そこでアメリカン・コーヒ
ーを頼むよ」
 男は運ばれてきたコーヒーを一口飲んだ途端に怒鳴った。
「オイ、君! なんだってこんな薄いコーヒーを持ってくるんだ!」
「アメリカンですから……」
 男はここではじめて”アメリカン・コーヒー”の意味を知ったのだが、もうあとに
は引けない。
「……、だけど、いくらアメリカンだって、これじゃあ薄すぎる!」
 ウェイトレスも負けちゃあいなかった。
「お客さんの頭の毛を見ながら入れたらしいんです。そのコーヒーは」





      そのとき 圓窓は動いた

1974(昭和49)年9月10日
第10回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その29は[締め込み(しめこみ)]
空き巣に入った泥棒がそのまま酒の相手をしてくれるようになったではないか!

(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 028

 『 コーヒー狂 』

 コーヒー好きが二人いた。
 二人は顔を合わせると、コーヒー談義をした。
 いつしか、その二人はコーヒー狂になっていた。
 会う度に、口角を泡をとばして己のコーヒー狂ぶりを披露しあった。
 そして、なおも二人はエスカレートして競いあった。
「オレは御飯にコーヒーをかけて食べてるんだぞ!」
「何の! 俺なんざぁ、コーヒーに御飯をぶち込んで食べてらぁな!」





     そのとき 圓窓は動いた

1974(昭和49)年9月10日
第10回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その28は[化物使い(ばけものつかい)]
人使いの荒い隠居がついに化け物まで使いこなす。化け物は音をあげた!

(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))


2005・12・19 UP

珈琲小咄 027

 『コーヒーも注文次第』

 喫茶店に男が二人、入ってくるとテーブルに着いた。
 ウェイトレスがやってきたので、一人の男は、何を注文しようかと考えた。
 すると、ウェイトレスが愛想よく言った。
「コーヒーはいかがでしょうか、お替わりができますよ」
「それはただかい?」
「ハイ、もちろん当店のサービスでございます」
「じゃあ、この男には一杯目のコーヒーを。オレには二杯目のコーヒーを持ってき
てくれ」





     そのとき 圓窓は動いた

1974(昭和49)年7月7日
第9回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その27は[一人酒盛(ひとりざかもり)]
酒好きを呼んでおいて一滴も与えず、自分だけで飲む酒の味は? いじめ酒か!


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 026

 『なぁんだ』

 夕食後、夫婦でコーヒーを飲んでいる。
「ねえ、あなたぁ……」
「なんだい、芳子」
「ねえ……」
 女房は亭主のそばへにじり寄って、唇を求めようとした。
「よしな、子供がくるぞ」
「二階で遊んでいるから大丈夫よ。ねえ、あなたぁ……」
 二つの唇が重なったとたん、子供が部屋に入ってきた。
「パパとママ、なにしてんの?」
 女房はあわてて亭主から離れて、
「パパはお仕事で疲れているので、コーヒー茶碗が持てないの。だから、ママがお口
でコーヒーを飲ませてあげてたのよ」
「なぁんだ、ボクはキスかと思った」





     そのとき 圓窓は動いた

1974(昭和49)年7月7日
第9回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その26は[将軍の賽(しょうぐんのさい)]
徳川幕府の某将軍がサイコロ博打に興味を持った。歴史家も知らない真実か……?


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 025

 『ソーッと飲みたい』

「君は、いまの彼女をどうやってくどいたんだ?」
「彼女は色が白いだろう。だから、『ボクはそのソフトクリームはソーッと食べたい
』と言ったら、
 彼女は『じゃあ、ホテルでやさしく食べて』って。二人はホテル行きさ」
「なるほど、そうやってくどくのか。オレもやってみよう。」


 翌日。
「どうしたい、うまくくどけたかい?」
「それが……、君のようにやったんだけど」
「駄目だったのかい?」
「彼女は海へ行ってきたので、体がコーヒー色に焼けてたんだ。そこで『ボクはそのコーヒーを
 ソーッと飲みたい』と言ったんだ」
「うまいこと言ったじゃねぇか。彼女はどうしたい?」
「『あっそう』って、背中の皮をとって、『水で飲みなさい』ってくれただけ……」





     そのとき 圓窓は動いた

1974(昭和49)年7月7日
第9回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その25は[お化け長屋(おばけながや)]
「この長屋にはお化けが出る」と言われりゃ住む人はいなかろう、が、いたのだ!


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 024

 『OBコーヒー』

 ゴルフに凝っている男が二人。喫茶店に入って、コーヒーを飲みながらゴルフ談義。
 そのうちに一人が、ハッとした顔を上げて相手に言った。
「オイ! このコーヒーカップを持つ指は、グリップと同じだぜ」
 言われた男も納得したように言った。
「そう言えばそうだな。この感じでグラブを握りゃいいんだ」
 最初に言い出した男、ますます興奮して言った。 
「君にもわかるかい? これなんだよ。このグリップで静かに振り上げて、素直に振
り下ろしゃあ……」
 と、コーヒーカップの中のコーヒーが飛び出し、斜め左のテーブルにいた女性にひ
っかかってしまった。
 女性が「キャーッ!」と悲鳴をあげた。
 が、男は女性に謝りもせず、ガッカリした顔で男に言った。
「やっぱり駄目だよ、OBだ」





     そのとき 圓窓は動いた

1974(昭和49)年5月14日
第8回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その24は[欠伸指南(あくびしなん)]
世の中に稽古事はどっさりある。月謝を取って欠伸を教えた人がいた!


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 023

 『末期のコーヒー』

 沢田家のおじいちゃんは一徹者。
 外国の流行にしっぽを振って喜ぶ日本の国情を憂い、横文字を一切嫌った。
 家族の者が、食後、コーヒーを飲んでも、おじいちゃんだけは番茶を飲み、そして
必ずこう言った。
「コーヒーなんざ、日本人の飲むものじゃあない。日本には昔からお茶があるじゃあ
ねえか」
 そんなおじいちゃんも歳には勝てず、米寿を祝った翌年、病床に臥し、今日か明日
かの命となった。
 おじいちゃんもそれと知ったか、家族の者を枕元に呼び、か細い声で言った。
「あたしの命も、もうこれまで……、生まれてこの方、頑としてコーヒーは飲まなか
ったが……、
 みんなが旨そうに飲んでいるのを見て……、本当はあたしも飲みたかった……、末
期のコーヒーを飲ましてくれ……」
 家族の者はみな涙を流して、おじいちゃんの言葉を聞いた。
 すぐに、老妻はコーヒーを沸かし、スプーンでコーヒーを口に含ませてやった。
 すると、どうだろう!
 おじいちゃんは、目をパッチリとあけ、ムックリ起き上がると、床から離れて歩き
出すではないか!
 家族一同が唖然としている中で、老妻がつぶやいた。
「コーヒーは眠気をさますというが、永遠の眠りをさますとは……」





     そのとき 圓窓は動いた

1974(昭和49)年5月14日
第8回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その23は[鼻の下(はなのした)]
鼻の下の長い女は助平だ、と昔からいわれている。本当なのか?


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 022

 『上には上』

 コーヒー好きの社長の家を、これまたコーヒー好きの社員が訪ねた。
「ヤー、よく来てくれたな。今、わしはコーヒー風呂から上がったところだ」
「コーヒー風呂?」
「湯舟にコーヒーを沸かし、それに漬かっておる。体の芯まで暖まっていいもんだ。
 君も入らんか?」
「ハッ、ありがとう存じます。入れさせて頂きます」


 その翌日の社長室。
 社長はその社員に訊いた。
「きのう、君の帰ったあと、わしはもう一度入ろうとしたんだが、湯舟にコーヒーは
無かった。
 君は入った後、栓を抜いてコーヒーを流してしまったのかね?」
「いいえ、漬かりながら飲ませていただきました」





     そのとき 圓窓は動いた

1974(昭和49)年5月14日
第8回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その22は[抜け雀(ぬけすずめ)]
絵に描かれた雀が抜け出すなんて、そんな馬鹿な、と思うでしょうが……


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))
2005・12・17 UP

珈琲小咄 021

 『不可能なブラック』

「私は一杯のコーヒーで三つの味を楽しむ。もちろん、他のカップなどに移したりし
ないでだよ。
 まず、三分の一はブラックで飲み。
 次に、シュガーを入れて三分の一を飲む。
 残った三分の一はクリームを入れて飲むのさ」
 これを聞いていたのが、何でも識ったか振りをする男。
 負けまいと気取って言った。
「僕も同じような飲み方をするのだが、君とはちょっと違うね」
「ふーん、どう違うんだい?」
「僕のは三分の一にクリームを入れ、次の三分の一にシュガーを入れて飲む」
「残った三分の一は?」
「勿論、ブラックで飲むのさ」





     そのとき 圓窓は動いた

1974(昭和49)年3月12日
第7回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その21は[首提灯(くびぢょうちん)]
リストラで首を切られて死んでたまるか。侍に首を切られた江戸っ子が走り出した。


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 020

 『フランス風』

 青年は、彼女のアパートにはじめて招待された。
 フランス好みの彼女は、食後にコーヒーを入れた。
「このカップは小さいね」
「これはフランス風で、デミタス・カップといって普通のより小さいのよ」
 コーヒーを飲み終え、二人は寝室に入った。
 彼女とははじめてのことゆえ、青年はすぐに果てた。
 彼女は青年の前のものを見て言った。
「マァ、小さくて可愛らしくなったわね、これ」
 青年は恥ずかしそうに言った。
「これもフランス好みで、いただいたあとはデミタスなんだ」





     そのとき 圓窓は動いた

1974(昭和49)年3月12日
第7回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その20は[寿限無(じゅげむ)]
名作の一つ。幼児のほうがすぐに覚えるという「長ぁい名前で出ています」


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 019

 『どうぞ どうぞ』

 ある喫茶店にスカッとした服装で人品のいい紳士が入ってきた。
「私はコーヒーが大好きでね。飲みたくなると、飛行機に乗って産地まで行くことに
しているんだ」
 ウェイトレスがびっくりして訊いた。
「どちらの方にいらっしゃいますか?」
「ブラジルのサントスもうまい。コロンビアのメデリンもいい。グァテマラへ行くと
 日本に帰るのがイヤになるほどだ。実は昨日、ジャマイカ島のブルーマウンテンを
飲んで日本へ帰ってきたところだ」
「マァ!」
「今日も飲みたくなったのだが、少々お金がないもんで、この店に来たんだが、飲ま
せてくれるかね」
「どうぞどうぞ。こんな店のコーヒーでよかったら」
 紳士はコーヒーを一杯飲むと、代金を払わず店を出て行こうとした。
「お客様、お代を?」
「無礼なことを言うな! 『お金がない。飲ませてくれるか』と言ったら
『どうぞ、どうぞ』と言ったではないか!」





     そのとき 圓窓は動いた

1974(昭和49)年3月12日
第7回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その19は[碁泥(ごどろ)]
碁の好きな泥棒が碁の好きな家へ忍び込んだら、打っているではないか!


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 018

『口喧嘩』

 ある日ある時。
 ある店のカウンターでブラックとカフェオーレが口喧嘩をはじめた。
「ヤイ、ブラック!」
「何だ、カフェオーレ!」
「お前はイヤに気取ってるぞ!」
「そんなつもりはないよ」
「そうじゃあない、たしかに気取っている。『通の人に愛されるのが俺だ』ってな顔
をしているじゃあねえか! 同じコーヒー仲間なのに何だってそんなに気取るんだ!」
「黙れ! カフェオーレ! まだ乳離れもしてねえくせに!」





     そのとき 圓窓は動いた

1974(昭和49)年1月8日
第6回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その18は[かつぎ屋(かつぎや)]
縁起を担ぐ人をかつぎ屋。生活のすべてをメデタ、メデタにしたいのだが……


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 017

『コーヒーを入れる前に』

 亭主はケチン坊。女房は何かにつけてガミガミ言われ、いつもイライラ、イライラ
している。
 ある朝、女房は台所でコーヒーを入れ、食卓へ運ぶ途中で落としてしまい、カップ
を割ってしまった。
「とんでもないことをしてくれたな! コーヒーを無駄にしたばかりじゃあない、カ
ップまで割ってしまって!」
「……」
「カップを割るんならコーヒーを入れる前にしなさい。そうすれば、コーヒーは無駄
にならないんだから!」
「……」
「もう一度、入れ直してきなさい!」
 女房は何も言わず台所へ行った。
 そして、カップをわざと割り、その中へコーヒーを入れて、食卓へ持ってきた。





     そのとき 圓窓は動いた

1974(昭和49)年1月8日
第6回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その17は[ほうじの茶(ほうじのちゃ)]
焙じるとお好みの声が聞こえてくるお茶。手に入れた太鼓持ち……


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 016

『コーヒーを飲むさ』

 街角の小さな喫茶店に、毎日欠かさずコーヒーを飲みにくる品のいい老人がいる。
 少なくとも一度、多くて三度、雨の日も風の日も必ずきて、その度においしそうに
コーヒーを飲む。
 ある日、ウェイトレスが老人に尋ねた。
「おじいさんはコーヒーがお好きなんですね。世の中で一番好きなものがコーヒーな
んでしょう?」
「イイヤ、一番好きなものはお金だね」
「ヘェ? じゃあ、そのお金でお屋敷でも建てるんですか?」
「そんなことはしないよ。そのお金でコーヒーを飲むのさ」





     そのとき 圓窓は動いた

1974(昭和49)年1月8日
第6回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その16は[石返し(いしがえし)]
ほのぼのとした親子の夜の小商人。それをいじめる浪人ども。果たして?
(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))
2005・12・3 UP

珈琲小咄 015

 『正しい物のとらえ方』

    今日は、女房の機嫌が悪そう。
    そこで亭主は、女房の機嫌をとろうと、コーヒーを入れてやった。
    女房はつまらなそうに飲みはじめた。
 亭主「どうだい? そのコーヒーはうまいだろう?」
 女房「マアマア、おいしいわね」
    女房は皮肉をこめて答えた。
 亭主「ボクは湯加減をみるのがうまいから、コーヒーもうまいんだよ」
 女房「そうじゃあないわよ」
 亭主「じゃ、コーヒー茶碗が良いからかな?」
 女房「そうでもないわ」
 亭主「じゃあ、ボクが入れてあげた砂糖の量が良かったからかな?」
 女房「ちがうのよ。要するに、あたしの飲み方がうまいのよ!」





     そのとき 圓窓は動いた

1973(昭和48)年11月13日
第5回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その15は[山号寺号(さんごうじごう)]
生きているうちにお寺と親しむためにもこの噺を聞こう。


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 014

 『新幹線の揺れ』

 新婚旅行らしいカップルが、新幹線の食堂で腹を満たし、仕上げにコーヒーを注文
した。
「あなた。新幹線って思ったより揺れるのね」
「この揺れがあるから、コーヒーはかきまわす必要がないんだよ」
「あなたって、面白いことを言うのね」
 そこへコーヒーが運ばれてきた。
 新婦が飲もうとすると、突然、列車が激しくゆれた。
「アラッ、コーヒーがこぼれたわ」
 新郎、ニッコリ笑って
「この新幹線は、かきまわしすぎるんだよ」





     そのとき 圓窓は動いた

1973(昭和48)年11月13日
第5回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その14は[穴泥(あなどろ)]
落語に登場する人間はみな善人。泥棒ですら善人である。


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 013

 『コーヒー通』

 ある喫茶店の常連客の一人は、いつもウィンナーコーヒーしか飲まない。
 それにいたずら好きでもある。
 ある日、ウィンナーコーヒーを運んできた新入りのウェイターをからかってやろう
と、ニヤニヤ笑いながら言った。
「君、このコーヒーにはスプーンがついてないじゃあないか。省エネのつもりかい?

 その新入りウェイター、オドオドするかと思いきや、ニッコリ笑って答えた。
「ハイ、お客様。本当のコーヒー通はご自分の指でかきまわしますので、ハイ」





     そのとき 圓窓は動いた

1973(昭和48)年11月13日
第5回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その13は[二十四孝(にじゅうしこう)]
親孝行をしろと言われて実行に移すが、ことごとく……。


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 012

 『左利き』 

 世の中には人をいじめて楽しむ人がいるもので。
 ある喫茶店に入ってきた男性がコーヒーを注文した。
 ウェイトレスがコーヒーを運んで来て、丁寧にテーブルの上においた。
 途端に、その男性が言った。
「このコーヒーカップの持つところは右側に付いてるねえ……」
「ハァ?」。
「私は左利きだから、困るんだよ。左側に付いてるカップにして下さい」
 すると、ウェイトレスがニッコリ笑って一言。
「お客様、テーブルの向う側にお座りになったら?」





     そのとき 圓窓は動いた

1973(昭和48)年9月4日
第4回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その12は[唐茄子屋(とうなすや)]
勘当された若旦那が立ち直るという、めったにないことだ。


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 011

 『つけてます』

 ある会社の退社後。
 プレイボーイと噂されている社員が、女子新入社員といっしょに駅まで歩く機会を
得た。
 男「コーヒーでも飲みませんか?」
 女「家のインスタントを飲みつけてますので……、外のは……」
 男「では、映画を見ましょうよ」
 女「家のテレビを見つけてますので……」
   プレイボーイはじれったくなって、女に言い寄った。
 男「ホテルへ行きましょう。君を抱きたいんだ!」
 女「家のベッドでやりつけていますので……」





     そのとき 圓窓は動いた

1973(昭和48)年9月4日
第4回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その11は[渋酒(しぶざけ)]
酒の呑み方も難しい。下手をすると縛られてしまう。気をつけよう。


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 010

 『1/2』

 陽射しの暑い午後、喫茶店に入ってテーブルに着くと、エキゾチックな感じの可愛
らしいウェイトレスが注文をとりに来た。
「御注文は?」
「コーヒー」
「ホットですか? 冷たいんですか?」
「オヤッ? 妙な訊き方をしたね。英語なら英語、日本語なら日本語に統一したらど
うだい?」
「いいんです。私、ハーフですから」





     そのとき 圓窓は動いた

1973(昭和48)年9月4日
第4回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その10は[目薬(めぐすり)]
目薬の付け方にもいろいろあるらしい。どんな?


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 009

『我慢? 自慢?』
 ある同窓会の流れで三人が喫茶店に入って、”コーヒー一杯でどのくらい座って居
られるか”という話題になった。
「私は一時間ぐらいは居るわ」
「オレはこのあいだ、高校野球のテレビを見ながら、三時間半も居たぞ」
「オレなんざあ、コーヒーはおろか、ジュース、紅茶、それに食事まで無料でさ、七
時間半は坐っていたね」
「それはどこの喫茶店だい?」
「ハワイ行きの飛行機さ」





     そのとき 圓窓は動いた

1973(昭和48)年7月3日
第3回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その9は[お血脈(おけちみゃく)]
信濃の善光寺に誰でも簡単に極楽往生できるというものがある。どんな?


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 008

 『美人とコーヒー』

 男は美人に甘いというが、喫茶店でもよく見られる光景。
 美人ウェイトレスが、コーヒーをテーブルに置くとき、カップをひっくり返してし
まった。
「すいません、お客さん。ズボンを汚してしまって」
「いいんだ、いいんだ。これは普段のズボンだから。家へ帰えりゃ幾つもあるんだ」
 しかし、熱いコーヒーは、ズボンを通したようで、足は赤くなっている。
「お客さん、足にヤケドでも……」
「いいんだよ、これは普段の足だから。家に帰えりゃ何本もあるんだ」





     そのとき 圓窓は動いた

1973(昭和48)年7月3日
第3回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その8は[匙加減(さじかげん)]
名奉行の大岡越前守の判決テクニックにも匙加減があった。どんな?


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 007

 『甘い仕事』

 ある喫茶店で、ウェイトレスが二人、声を落として話している。
「あのテーブルの四人のお客さん、随分シュガーを入れてるわよ」
「一人、5、6杯は入れてるわね」
「糖尿病になるわよ、あんなに入れたら」
「いくらタダだって……」
 そこへチーフがやってきて、二人に云った。
「あの四人は、あれで仕事をしているんだ。精糖会社の社員なんだよ」





     そのとき 圓窓は動いた

1973(昭和48)年7月3日
第3回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その7は[普段の袴(ふだんのはかま)]
煙草を吸っていて頭に火が点いてしまった。あなたなら、どうする?


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))



珈琲小咄 006

『試験勉強』

 中学一年の息子が英語の試験勉強をやっていると、親父が気を利かしてコーヒーを
入れて、部屋へ。
「良雄、疲れたろう。眠気ざましにコーヒーでも飲みなさい。きっと良い点がとれる
ぞ」
「ありがとう」
 翌日の夜、息子は仕事から帰ってきた親父に嬉しそうに云った。
「コーヒーのお陰で百点とったよ」
「そりゃあ良かったな」
「アメリカ人が英語ペラペラなのは、小さいうちからコーヒーを飲んでいるせいなん
だな、お父さん」





     そのとき 圓窓は動いた

1973(昭和48)年5月8日
第2回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
           圓窓五百噺 その6は[くしゃみ講釈(くしゃみごうしゃく)]
高座で講釈師がくしゃみを始めて止らなくなった。なぜか……?


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))


2005・11・23 UP

珈琲小咄 005

 『ペットと好み』

 コーヒー党のある作家。大変にそそっかしい。
 そこへ記者がきて、
「先生。ペットたちもコーヒーを飲むそうで……」
「みんな喜んでますよ」
「先生は、コーヒーを入れるのがお上手とか……」
「顔を見ただけでその人のコーヒーの好みがわかる。いま、君に合ったコーヒーを入
れてきてあげよう」


 そそっかしい先生は砂糖を入れるところを塩を入れてしまったことに気がつかなか
った。
「どうだね、あたしのいれたコーヒーは?」
「……、先生……。これはイヤに塩っぱいですね」
「ヤー、すまん。つい、飼っている海水魚に飲ませるくせが出ちまって……」





     そのとき 圓窓は動いた

1973(昭和48)年5月8日
第2回「圓窓五百噺を聴く会」
名古屋・含笑寺
             圓窓五百噺 その5は[六尺棒(ろくしゃくぼう)]
戸を開けてくれない父親に息子は一計を案じたが、果たして……?


(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))


2005・11・13 UP

珈琲小咄 004

 

『アメリカン』

 ある男が医者のところへ相談に来た。
「先生。あたしはず〜っと女房の尻に敷かれ通しなんです。
 女房の口癖が『あなたの給料はコーヒーと同じでアメリカンね!』でして、
結婚してからず〜と、のべつ幕なしに聞かされております。
 子供でも生まれれば、女房も少しはおとなしくなると思うのですが、結婚
して五年、いまだにできないんです」
「なるほど。できない原因は、奥さんのほうにでも……?」
「そんなことは私の口から女房にきけません……。とりあえず、先生に私の
ほうを調べてほしいのですが」
「わかりました。調べてみましょう」


 調べ終えて、医者が男に言った。
「ご主人、これもアメリカンですな」





閑 話 休 題


     そのとき 圓窓は動いた


1973(昭和48)年3月13日 名古屋・含笑寺
第2回「圓窓五百噺を聴く会」
圓窓五百噺 その4は[五月幟(ごがつのぼり)]
初節句の祝いに貰った金を懐に父親は表へ出たが……、果たして?
(( 圓窓五百噺のゴールインは、2001(平成13)年3月9日 ))
(( 第168回「圓窓五百噺を聴く会」の創作[五百羅漢]でした ))


五月幟]の梗概は圓窓五百噺付録袋/圓窓五百噺ダイジェスト/五月幟
[五月幟]の関連は評判の落語会/圓窓系定例落語会/圓窓五百噺を聴く会/圓窓五百噺の足跡/五月幟
圓窓落語大百科事典/評判の落語会/圓窓系定例落語会
/圓窓コミカレ五百噺/コミカレ見聞読13/五月幟


2003・12・8 UP

珈琲小咄 003


 『ツーコーヒー』


 親子連れらしい二人が喫茶店に入ってきた。
 故郷から名古屋見物に出てきた父親を、サラリーマンになった息子が案内をしてい
るようだ。
 学生時代、喫茶店でアルバイトの経験のある息子は「TWO COFFEE」と注
文をした。
 運ばれてきた珈琲を飲みながら、親子は楽しそうに思い出話に花を咲かせた。


 翌年、また名古屋へ出てきた父親は一人で喫茶店に入って、女の子に注文した。
「すいませんが、ツーコーヒーをひとつ」





閑 話 休 題


     そのとき 圓窓は動いた


 
           1973(昭和48)年3月13日 名古屋・含笑寺
第1回「圓窓五百噺を聴く会」スタート
                 圓窓五百噺 その3は[蕎麦清(そばせい)]
もり蕎麦の食いっこで50に挑戦をした男がいた。果たして?
[蕎麦清]の梗概は圓窓五百噺付録袋/圓窓五百噺ダイジェスト/蕎麦清
[蕎麦清]の関連は評判の落語会/圓窓系定例落語会/圓窓五百噺を聴く会/圓窓五百噺の足跡
評判の落語会/圓窓系定例落語会/保善寺仏笑咄/011125
評判の落語会/各地の定期落語会/岐阜落語を聴く会/020216
2003・2・?? UP

珈琲小咄 002


 『いちばんホッとする』


 夫の仕事に対して女房は、慰労の念をもたなければいけない。
 その念があればこそ、女房のいれたコーヒーは一段と旨く飲めるというもの。
 仕事の疲れはたちどころに去っていくし、また改めて女房に惚れ直したりもする。
 こうなると、亭主はお世辞の一つも言わなければ……。
「コーヒと女房は同じようなもの。良いものもあれば、悪いものもある」
「あたしはどっちなの?」
「もちろん、良いほうさ」
「うれしい!」
「コーヒーも女房も選び方ひとつだ。あたしは自信をもって君を選んだのだ」
「あたしは、幸せ者ね。あなたも幸せ?」
「そうさ。だから、コーヒーを見ると君を思い出し、君を見るとコーヒーを思い出
すね」
「どっちも見ないときは?」
「いちばんホッとするんだよ」





閑 話 休 題


     そのとき 圓窓は動いた

 
1973(昭和48)年 名古屋含笑寺で「圓窓五百噺を聴く会」スタート
             圓窓五百噺 その2は[ニ番煎じ(にばんせんじ)]
             つらい火の用心の夜回りを楽しむ法がある。さて…。
[ニ番煎じ]の梗概は圓窓五百噺付録袋/圓窓五百噺ダイジェスト/ニ番煎じ
[ニ番煎じ]の関連は評判の落語会/圓窓系定例落語会/圓窓五百噺を聴く会/圓窓五百噺の足跡
2003・2・18 UP

珈琲小咄 001


 『忘れられないもの』


 お互いに愛を感じ合った頃のコーヒーの味と香りは、一生、忘れられないもの
らしい。
 女は変わらぬ愛を求める。だが、男は……。
 ある夫婦がコーヒーを飲んでいる。
「あなた。コーヒーを飲んで、なにか思い出さない?」
「ウーン、なんだい?」
「十年前、あたしをデートに誘って、喫茶店でコーヒーを飲みながら、あたしに
言った言葉よ。忘れた?」
「へー? なにか言ったかな……」
「言ったわよ、恥ずかしそうに。あたし、とっても嬉しかったわ」
「コーヒーを飲みながら……? アッ、思い出した。『このコーヒー代、貸して
くれって言ったっけ」





閑 話 休 題


     そのとき 圓窓は動いた

 
1973(昭和48)年 名古屋含笑寺で「圓窓五百噺を聴く会」スタート
             圓窓五百噺 その1は[半分垢(はんぶんあか)]
世の中は世辞愛嬌。さて、力士の女房はどうなのか?
[半分垢]の梗概は圓窓五百噺付録袋/圓窓五百噺ダイジェスト/半分垢
[半分垢]の関連は評判の落語会/圓窓系定例落語会/圓窓五百噺を聴く会/圓窓五百噺の足跡
評判の落語会/単発の落語会/圓窓五百噺達成記念落語会/ぷろぐらむ
評判の落語会/単発の落語会/圓窓五百噺達成記念落語会/客席からじっくりと
評判の落語会/単発の落語会/圓窓五百噺達成記念落語会/まどべの楽屋レポ
評判の落語会/圓窓系定例落語会/落語とギターの2人会/020316
評判の落語会/圓窓系定例落語会/圓窓商人噺を聞く会/010830

     そのとき 歴史は動いた

     

    1979(昭和54)年「富士コーヒーニュース」創刊
    1979(昭和54)年 木曾御岳が有史以来 初の噴火

    2003・2・6 UP