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第60回 『"熊本落語長屋"30周年記念 落語を聴く会』 |
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2001・10・27(土) 18:30 開演 熊本市 法泉寺 |
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落語に 浮世絵の世界 |
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文 チャッキー |
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27日は、待ちに待った圓窓師匠の熊本での独演会でした。 体調を崩していらしたので、どうなるのか、来てもらえるのかしらと、顔を見るま で心配でした。 11:25 熊本空港に師匠到着 熱があるらしく赤い顔で、9月の萬窓師匠の披露パーティでお会いしたときに比べ ると、だいぶ痩せられたようです。 [柳田格之進]は1時間以上もの熱演でした。 印象に残ったのは、番頭と格之進の再会のシーン。 ちらほらと舞い始めた雪がやがて本降りとなり、辺り一面の雪化粧。そのなかを革 の羽織を着た番頭と、立派な身なりの格之進が出会う。 安藤広重の浮世絵の世界のようでした。 それと、格之進が50両の算段をした回想シーン(仮名さんが照明係として活躍)。 普通(他の噺家)は番頭が帰るとすぐに娘と相談する場面になるのだが、圓窓師匠 は「どうやって50両用立てたか」を、主人と番頭に説明する形で最後に持っていき、 しかも、その過去を実際に演じて、聞き手が推理できるようにしたのです。 そして、主人・番頭の微妙な心理描写……、まだまだ書き足りない(いまだに興奮 がさめていません)のですが、あまり長くなると、文章力の無さが一層露見しますん で、これくらいにして……。 とにかく、凄い迫力でした。 師匠の熱演(本当に熱があったと思う)対し、足をくずして聴いていました。 申しわけなかったです。次回までには正座の練習をしておきます。 風邪で辛かったでしょうに、打ち上げまでお付き合いいただきました。 本当にありがとうございました。またのご来熊、お待ちしています。 仮名さんには、遠方よりお出で頂いたうえに、グッズ販売や照明係りまで、お手伝 いいただき、ありがとうございました。 |
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30年続けて 良かった |
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文 熊本落語長屋世話人 上田博司 |
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円窓師匠様 昨日の例会、大変お世話になりました。 30年続けて良かった、、、、、このひとことです。 30年の想いはもとよりですが、昨夜の師匠の迫力と食い入るように聴き入るお客 さんが創り出す緊迫した雰囲気は、身震いするほどの感動でした。 貴重な噺を聴けた喜びと、お客さんの本当に満足した声に世話人としても忘れがた い一夜となりました。 また、子どもの噺にもお付き合いいただきまして、ありがとうございました。大事 に付き合っていこうと思っています。 |
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例会の興奮さめやらず |
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文 熊本落語長屋 上田博司 |
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メールありがとうございました。 いまだ例会の興奮さめやらぬほど参加されたかたの反響はすごいものです。 はじめて生の落語への出会いの方もいらっしゃいました。 師匠の噺がはじめての出会いと言うのも、大変幸せな方もいらっしゃるものです。 さて、本日師匠あてに封書を投函したのですが、失礼ながら手紙文を同封しないま ま投函してしまいました。 地元の新聞記事だけ同封したようです。慌ててしまい失礼いたしました。お詫び方 々お知らせいたします。 体調も戻りつつあるとのこと、安堵いたしました。 季節柄お気をつけ下さいませ。 |
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その時 電気は消された! |
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追っかけ親子 肥後の夜噺 |
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文 仮名 |
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今回の追っかけ旅は、熊本県の熊本市。 追っかけるは、もちろん圓窓師匠。熊本の落語会にはるばるご出馬との情報をいた だき、隣県鹿児島に住む私が出張らないわけにはいかないよね。 でも、隣県とは言いながら遠いなぁ。熊本に到着したのは、自宅を出てからなんと 5時間半後。コースを変えて飛行機に乗ると、上野鈴本演芸場まで余裕で行き着ける 時間になる。 当の落語会は夕方6時30分から。「早めに行って熊本散策でもしよう」という師 匠の口車に乗って、ちゃうちゃう、お誘いにひかれて、朝早い高速バスの便を予約し たものの、師匠の体調不良で散策はキャンセル。 こんないい女と出歩けるチャンスを棒に振るなんざぁ、師匠もつくづく不運なお方 だね。でも、熊本入りしてすぐにホテルで休むおつもりだなんて、よっぽどお悪いの かしら? 今夜の会は3席もあるのに。心配で小さな胸がシクシクと痛んできた。 師匠、夕方までどうぞごゆっくりお休みくださいませ。 さて、”熊本と落語”と聞いて連想されるは、知る人ぞ知る”桂花ラーメン”。新 宿末広亭のすぐ近くにある桂花ラーメンは、熊本が本店のはず。かつて私がまだ東京 のギャル(!)だった頃、末広亭に入る前の腹ごしらえをした青春の味。 あの気持ちをもう一度味わいたいという誘惑には勝てない。臭いを撒き散らすニン ニクいっぱいの桂花ラーメンをペロリと平らげて、すっかりごきげんの熊本の旅の幕 は、いよいよ切って落とされた。チャチャン! 近くの夏目漱石旧居を訪ね、お決まりの熊本城をゆっくり回った頃には、親と待ち 合わせの時間がくる。そう、今回は『私の師匠』を親にも聞かせるべく、別の用で出 歩いている両親を熊本まで引っ張り込んできた。 「何しに行くんだい? 落語ォ? そんな物好きなことしてないで、人並みの人生を 送ってくれないもんかねぇ」と、追っかけ旅の出発に毎度聞かされる親の愚痴。いい 落語を一席聞かせておけば、次からは文句を言わずに送り出してくれるに違いないと いう目論見。 宿で落ち合ってからも「上着を車に忘れたのは、お父さんのせいだ!」とけんかを している両親。このしょうもない二人を、我が敬愛する師匠の元へ連れていかなけれ ばならない私って、不幸だわぁ。 と、その時、師匠の出囃子〔新浦島〕が聞こえる。 そう、〔新浦島〕は私が苦労して入力した携帯メールの着信音。発信者は・・・、 なんと圓窓師匠! 「今日の出し物の〔柳田格之進〕で照明を手伝って」と。 ・・・ってことは、私はその長編人情噺をゆっくり客席で聞くってわけにはいかな いんですね。とほほほほ。 その照明の打ち合わせのため、しょうがないので、もとい、喜び勇んで、早めに会 場の法泉寺へ乗り込む私たち。川沿いの道路脇にすぐ階段と本堂のあるこのお寺には、 師匠はまだご到着でない様子。 お体は大丈夫なのかしら。しくしく。(胸が痛む音) 本堂は、思いのほか、広い。きちんと敷き詰められた座布団の客席、前から2〜3 列目、中心から2〜3席ずれた特等席を確保する。場馴れしない両親は落ち着かない 様子。 と、入り口で聞きなれた声がする。師匠がご無事にご到着の様子。お声は普段とさ ほど変わらないよう。あぁ、一安心でございます。 さて、本堂の電灯のスイッチをパチパチと、照明の打ち合わせが始まる。 私が今回照明係りに命じられたのは、カワイイからかな? うふっ。 えっ? 違うの? 「仮名さん(私の名前)は、以前あたしの〔柳田格之新〕のテープを文字に起こした でしょ? で、噺の流れをわかっているから、仮名さんに頼むのが安心なの」 ちぇっ。。。。 でも師匠、私、流れなんざ覚えていないんですけど・・・。 師匠の指示、「あの、回想場面に入るところがあったでしょう?」 はて? あったような、なかったような・・・。 「碁盤をバシッと切る前に、格之進が言うんだよ。・・・あれ? 何て言うんだっけ な?あれれ? どういう流れだったっけな?」 ちょっとぉ、師匠、考えてる場合じゃないでしょ。あぁた、これからその噺を一人 でお演りになるんでしょ? そんなこって、一席おできになるんですか? あぁっ、どこまで私を心配させるんでしょう、この方は。 「大事なきっかけだから、確認しておこう」と、楽屋へ下りることに。 ん? ダイジナキッカケ? そんな、大事なことなの? もしかして、電気を消す タイミングが違ったら、ただの照明不良でかえって客席の気が散るばかり? このし んみりした噺に、そんな邪魔を入れるわけにはいかないよね。やっだぁ、責任重大じ ゃん。師匠、毎度言うようですけども、私はズブの素人なんです。そんな緊張には慣 れていないんですぅ。ふぇ〜〜〜ん。 楽屋には、なんと関山先生が座っていらっしゃる。 「あぁ、あなたは鹿児島の・・・」と関山先生。 まぁ、覚えていてくださって、感激でございます。 「今日も遠路はるばる来て下さって・・・」と再び先生。 いえ、遠路は関山先生の方でございます。 「今日は照明を手伝ってくれるんですよ」と、師匠は先生に話しつつ、ノートを取り 出して私に噺の段取りを説明し始める。 「ねっ? わかったでしょう?」 「えぇ〜っと、"冥土の土産に聞かせてやるわ!"で、消すんですね。えぇ〜っ、・・・ どこで消すんでしたっけ? あの、何かに書いてくださいません?」とおろおろする 私。 「はっはっはっはっ!」 あの、関山先生、笑ってる場合じゃないんです。これは大変なことなんですよ。私 はただの観客なんです。ただの観客。それなのにこんな役目を与えられて、ゆっくり 噺を聞けないよぉ。うぇ〜〜ん。 私の隠れた涙をよそに、落語会は着実に開始の時間を迎える。 前座は小学生の男の子。緑の着物をきちんと着こなした『きよら亭うどん』君が高 座に上がる。出し物は〔ぞろぞろ〕。 声変わりのしない高い声での高座。その口調のこまっしゃくれて楽しいこと! 申 し訳ないけど、寄席に上がる前座さんよりしっかりしている感じ。圓窓師匠は、高座 の脇でメモをとりながら噺を聞いている。その師匠の存在に緊張する様子さえ、うど ん君には見られない。 うどん君の演じるお爺さんとお婆さん、それぞれに口調が違う。性格分けが自分な りにできているということかな。顔の向きもきちんとやり分けている。教科書に載っ ていないくすぐりも、随所にちりばめてある。 よどむことなく、長い一席をやり終えた。すごいの一言。私にはこんなに立派な高 座はとても勤められないよ。(当たり前だ) 口演を終えたうどん君を高座に座らせたままで、師匠がインタビューをお始めにな り、うどん君の一端が明らかになる。 なんと小学3年生だという。私はてっきり、師匠の落語の教科書を使っている4年 生がその教科書を覚えて出し物にしただけなのかと思っていたら、好きでやっている だけとのこと。熊本では師匠の落語の載った教科書は採用していないらしい。しかも、 うどん君には他にも持ちネタがいくつかあるという。師匠の質問への当意即妙の返事 も堂々たるもの。 極めつけは、将来の夢。 「大人になったら何になりたいの?」と尋ねる師匠に、 「落語のできる天文学者」! その将来への不安は、”昼に落語をやって夜に星を見ると、睡眠時間が無くなって しまうこと”らしい。こんな子供がいるなんて、日本の将来は明るい。 会場を沸かせたうどん君が退場し、うどん君の落語の師でもあるらしい世話人代表 上田さんのご挨拶。 今回の落語会は「熊本落語長屋」主催で、名前は「落語を聴く会」。その名前も、 今年がその会の30周年であることも、会場へ来て初めて知った私。穴があったら入 りたい。 同じ世話人で30年やってこられた由。上田さんは現役の小学校の校長先生だとい う。ということは、始めた頃は世話人の皆様は20代のはず。言っては悪いが、熊本 も鹿児島とさして変わらぬ九州の田舎。そこの若者が落語に魅せられて”地元で聴こ う!”と始めたであろう会。それが年に2回ずつで30年も続いているとは、なんと すばらしいこと。 「世話人の中で『もう止めよう』と誰かがいいだすのを待っているような状況で・・ ・」と上田さんのさりげない笑い話の中に、皆さんのご苦労が垣間見える。「鹿児島 は田舎だから」と文句たらたら中年を迎えようとする日ごろの自分が、ただただ恥ず かしい。この会の30周年に五百噺達成の師匠が呼ばれ、その時に自分が同席させて いただけることに、また深く感謝。 上田さんのご挨拶は、それでも、30年続けるすごさや苦労話を語ることもなく淡 々と終わろうとする。 「では、9時まで圓窓師匠の落語をお楽しみください」 ん〜っ、9時までに終わらないんじゃないかな。だって、圓窓師匠だもん。(笑) さて、いよいよ圓窓師匠のご登場。 待っっってました!!! 一席目は〔おはぎ大好き〕。 「日本の昔話は残酷です。油のたぎった鍋に高齢者を入れちゃうんですから」 「みなさん、この話、ご存知ない? なら、こっちのもんだ」 と、お得意のマクラが、私の親父にもうけている。よっしゃあ! お重箱のあんこを指で集める仕草もピカイチ。 すると、横に座っている母が得意げに話しかけてくる。 「プログラムの順番はお地蔵さんやっとに、師匠はまっごやったね。(訳:プログラ ムの順番は〔戯れ地蔵〕なのに、師匠はお間違えになってるね)」 あのね、その前の〔ぞろぞろ〕がお爺さんとお婆さんの噺だったでしょ。だから同 じようにお爺さんお婆さんの噺が続くのを避けて、師匠が敢えてプログラムを替えら れたわけよ。・・・なぁんてことがわかる私って、エライッ! でも、師匠のことだからプログラムを見てないってことも十分ありえるから、恐い よね。(おいおいっ) 続いて関山先生のご登場。内容は、名古屋の五百噺の時のをご参照ください。(お い、いいのかい、そんなことして) (リンクごっこ:圓窓五百噺を聴く会(最終168回)/はなし 関山和夫) 師匠の二席目、〔戯れ地蔵〕。テンポは快調だけれど、師匠、お声がだんだんかす れてきてますよ。暑くもないのに汗もびっしょりで、お顔から着物にポタポタと・・ ・。まさか冷や汗? こんな調子で〔柳田・・・〕なんか無理じゃありません? しくしくしく。(再び胸が痛む音) 中入りとなって、私はチャッキーさんを冷やかしに受付へ。 落語の載った教科書入りの圓窓グッズ袋は、快調に売れてゆく。 一方、世話人さんたちは時間配分が気になっていらっしゃるご様子。時は既に8時 15分。藁をもつかむお気持ちか、私ごときに「師匠の〔柳田格之進〕、何分ぐらい ですかね?」とお尋ねになる。前に聞いたテープは1時間以上あったような気がする けど、でも、気のせいかもしれないし・・・ 「40分か50分だと思います」 「じゃ、9時までに終わるかな」 あらららら、1時間だったらどうしようかな・・・。 やばくなってきたので、私は照明の準備にかからせていただきます。 電気のスイッチは、高座の下手袖にあたる位置。襖を閉めて客席から私が見えない ようにして、どったりと座る。 「お茶、熱いよなぁ、熱いよ」と心配げに独りごちながら世話人さんが高座へお茶を 運ぶ。 師匠、袖へおいでになる。「声、疲れてきちゃったよ」とつぶやかれる師匠。しく しく。(同上) 高座に上がられるなり、「ここで何を演るか考える時は、風邪などひいていなかっ たものですから・・・」 おや、師匠、そうやって理由を説明しつつ他のお噺に変えられますか? その方が いいかもしれませんね。 「普通1時間以上かかる噺なんですが、お客さんが良ければ2時間ぐらいの噺になり ます」え? お演りになるのですか? マジ? かくして、〔柳田格之進〕、始まり、はじまりぃ。 私見なのだけれど、師匠の地の部分の語り口は天下一品なんじゃないかと思う。口 跡の確かな人、テンポのいい人など、すばらしい噺家さんは他にもたくさんいらっし ゃるけれど、地を語らせて圓窓師匠の右に出る人があるだろうか。 (もちろん、師匠の調子のいいときの語りだけど)(こらっ!) 民話などを題材にして師匠が創られた噺は地の部分が多いけれど、それ故に、圓窓 師匠以外の人では語りきれない噺も多いのではないかなといつも思う。 そんな師匠に、〔柳田格之進〕は、またすごくよく合う。 噺の筋は、いつものように他の方へおまかせしよう。(たまには自分でやれ!) (リンクごっこ:圓窓五百噺ダイジェスト/柳田格之進) 心配していたお声の方も、噺が進むほどに不思議と快方へ向かっているよう。ハリ のあるいいお声が、さっきより戻っている感じ。よかった、よかった。 娘のお絹が「吉原へ身を売る」と父親の格之進を説得するくだり、お店(たな)の 主従が互いをかばいあうくだりでは、客席に洟をすする音しきり。 下座で落ち着かない私の気持ちをよそに、照明いじりの出番も近づいてくる。 格之進がお店の主人と再会し、無念の思いでお金工面の情況を回想する場面。落語 に回想シーンは少ない。師匠創出の回想の演出を、暗い照明で、より回想らしく高座 演出しようというご計画。タイミングよく照明のオンオフができたのかどうかは、こ れを読む人のご想像におまかせしよう。 ラストは、自分の無念をそれで収めようとする格之進の一太刀。 「”なれば改めて(おまえたちの首を)刎ねてつかわす。エーイッ!”・・・床の間 のもう一つの新しい碁盤が、真っ二つに割れました・・・」 既成の、娘が請け出されて若旦那と所帯を持つものとは一味違う、ピシッとした落 語らしい締め。私は今日の筋のほうが好き。所要時間70分。 いつにもまして、お見事な一席でございました。 最後は会場のみなさんで3本締め。 何を祝っての締めだったのか、よく聞いてなかったんだけれど(こらこらっ)、い ずれにしましても、熊本落語長屋の30周年おめでとうございます。みなさんのご苦 労が確実に落語文化の大きな一翼を担っていること、露ほども疑いません。それが、 「文化の云々のため」でなく、「落語が好き」という一見地味な情熱に支えられてき たことに、また深い感動をおぼえます。 ずっと店賃ゼロで本堂を貸してくださっているという住職さん、ありがとうござい ます。このようなご理解とご協力があってはじめて継続できること、改めて思い知ら されます。これからもよろしくご協力の程を、一落語ファンとして、心よりお願い申 し上げます。 関山先生もお元気なご様子で、何よりです。今回のプログラムへのお祝いのお言葉、 落語史に残る名文だと思います。 そして、師匠の五百噺の達成、何度でもお祝い申し上げます。 熊本落語長屋関係の皆様のご苦労に、感謝と、今後の更なる発展をお祈りしながら ・・・ それ、チャチャチャン、チャチャチャン、チャチャチャンチャン!!! お開きのあと、私たちは親子で楽屋へご挨拶。 トントン(ノックの音)「師匠、入ってもよろしいですか?」 「はい、どうぞ」 では、失礼をいたしまして・・・あの・・・「どうぞ」って、師匠・・・・ 師匠がそこに肌着一枚でいらしたことは、師匠の名誉のため、肥後藩の秘密にして おこう。嫁入り前の私の目の毒になったなんてことも、決して口外すまい。薩摩の女は、 忍耐が肝要なのだから。 後刻、「あげな格好をしちょいやって、たまがったぁよ(訳は無用)」という母と、 ”川崎さんへ”と書かれたサイン色紙をいただいてご機嫌の父。 あなた達は幸せだねえ、こんな第一級の落語会に招待する親孝行な娘を持ってるん だから。 「師匠は、麦わら帽子でもかぶせたら、鹿児島にいるおじさんと変わらんねぇ」との 父の発言。これは”あんな落語をするすごい人が、ちっとも気取っていない”という 最大級の誉め言葉なのだけれども、誤解を招く恐れもあるので、師匠には伝えないで おこう。 はからずもおめでたい打ち上げの席にまでお招きいただいた私は、恐悦至極。 かくして夜は更け、お世話人の方にご手配いただいた宿で一夜を明かし、幸せな親 子は熊本をあとにした。 熊本の皆様、すばらしい夜をありがとうございました。 |
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2001.11.21 UP |