圓窓五百噺ダイジェスト(ら行)

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雷月日(らいがっぴ)

圓窓五百噺ダイジェスト 82 [雷月日(らいがっぴ)]

 お日さまがお月さまの所へ来て悩みを打ち明けた。
「あたしの子供は九人だと思ってたら、『隠し子が三人いる。ケレス、カロン、20
03UB313という名前だそうで。認知をしなさい』って言われてびっくりしたら、
その十日後、もっと驚いたよ。『隠し子のことはなかったことにする。そして、末っ
子の冥王星を籍から抜きなさい』って。ひどい話だよ。とりあえず、ひと目、会って
おきたいと思ってね。一人じゃ照れ臭いから一緒に行ってくれないかな」
「あたしは太陽家の果まで知りませんよ」
「じゃ、地球の細木数子に相談してみようかな?」
「あたしは地球の周りを回ってるだけで、まだ行ったことありませんで。雷さんに案
内してもらいましょうか? ときどき地球に落ちてますから」
「じゃぁそうしよう」
 雷さんの所へやってきて、相談に乗ってもらった。
 雷さんに案内されてやってきたのは、日本の浅草。雷門をくぐって観音さんまをお
参りして宿に入った。
 その晩は、この三人は遅くまで飲めや唄えやのドンチャン騒ぎをして、やっとそれ
ぞれの部屋で床についた。
 あくる日、女中さんが起しにきた。
「雷さま。もうお昼過ぎてますよ。お起きくださいませ」
「あぁぁ、よく寝た。寝坊してしまったな。お月さんとお日さんはまだ寝ているだろ
う?」
「今朝早くにお立ちになりました?」
「立った? 月日の立つのは早いなぁ」
「で、雷さまはいつお立ちです?」
「あたしは夕立ちだよ」

(圓窓のひとこと備考)
 元々、小咄なのでマクラで振ることが多くて、楽屋帳に付けることもないようなの
で、そのタイトルもはっきりしていない。そこで、年月日をもじって雷月日とした。
ちょうど、惑星を13とするというニュースを知ったので、タイミングもいいし、こ
の先、肉付けをしていこうと思っている。
2006・8・26 UP